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#38 ホルンの音楽は空間で奏でます。まずは響きを確認しよう

ホルンって、他の楽器よりもよほど空間に左右されるところがあります。
自分の後ろに音が出て、後ろの反響板やら壁やら何かにぶつかって跳ね返った音が主成分となるので、本当に致し方ない部分があります。

昔、とあるオーケストラのホール練習があったことをすごく覚えているのですが、ホールって響くイメージがあるじゃないですか。しかも初めてのホールだったのでワクワクして現地に向かったら、演劇用のホールだったんですよね。そう、なんと反響板ナシ!その舞台面での合奏練習!!

舞台向かって下手後ろに配置されたホルンパートの音は、オーケストラのはるか後ろの、ホールのずっと奥の方まで音が飛んでいき、機材か何かに当たって拡散し、手応え何もナシ。もう泣くしかありませんでした。

そういうところで吹くと、自分が吹いた音が自分に跳ね返ってこないので、いつも以上に無理して吹いてしまうんですね。そうして無理するとアンブシュアも壊すし、疲労感しか残らずの最悪のホール練習だったのを覚えています。

あと、注意したいのが暗幕やカーテン等のたぐい。
練習場やホールに設置されていることがけっこう多いですが、しっかりとホルンの音を吸ってしまい、響かなくしてくれます。これもホルン吹きの敵です。

暗幕やカーテンが閉まっている場合、普通に開けるだけで、かなり響きを吸われるのを防ぐことができます。まあ、どうしても閉めないといけない時は仕方ないですが。

ということで、ホルンを吹くときはまず空間の響きを確認しましょう。
まず後ろを見て、跳ね返ってくれそうな壁まで何mあるかを見ます。跳ね返ってくれそうな材質かどうかもチェックします。音が跳ね返りそうな道筋にある暗幕やカーテンは、開けられれば開けましょう。

たまにあるのが、ちょっと大きめの広さの練習室で、前の壁から順に弦楽器が並び、その後ろに管楽器が陣取り、結果として部屋の後ろ側ががら空きな状態になるレイアウト。
ホルンとしては苦痛までは行きませんが、違和感のある練習になってしまいます。響きが跳ね返る壁がむっちゃ遠いわけですからね。

次に合奏前に実際にホルンを吹いてみます。どこまで響いてくれるのか、もしくはデッド(響かない場所)なのかを、pからffまで吹いてみて、自分に跳ね返ってくる音をチェックし、なんとなくのイメージをインプットします。この作業が重要なのです。

例えばその場所が全然響かないのであれば、「今日はしょうがないな笑」と判断し、コンパクトに吹く代わりに、演奏技術の方に注力して練習をこなすこともできます。無理にいつも通りのオーケストラ練習をする必要はないのです。

響く会場であれば、「今日はホルンパートみんなが合わさった響きをチェックしよう!」と言って、ガンガン音を出してみるのもいいでしょう。そういう会場は、ガンガン吹いても疲れないものです。ちょっと楽に吹くだけで、音が伸びやかに飛んでいきます。ホルン吹きの醍醐味ですよね。

今、自分がいる空間を把握する。それを味方につけて、ホルンを吹く。
ぜひそんなクセを付けて欲しいと思います。

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