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ホルベックの男たちは女が何であるかを知っている

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イングランド北部の都市・リーズは観光都市であり文化と芸術の街でもある一方、市内のホルベック地区には買春街があり、そこでのあからさまな女性蔑視が日常の一部になっている。リーズでは、性別のセルフID制度を受けいれたことで何が起きているのか。


訳:TB

これはリーズ市会議員サラ・フィールド〔元労働党で現在は無所属〕による素晴らしいスピーチです。彼女の許可を得てここに転載します。

(13 September 2020, Graham Linehan)

 みなさんこんにちは。
 まず最初に、今日この場を設けてくれたすべての人に、パネリストの方に、私をこの場に招いてくれたリーズ・スピナーズ〔リーズ市のラディカル・フェミニストの団体〕に感謝申し上げます。

 「性別に基づく(sex based)権利宣言」については、パネリストの中の素晴らしい学者のみなさんが話すことになりますが、私は紹介を兼ねて、リーズ市について、そして私がここに招かれた理由について少しお話しします。
 まずマムズネット・フェミニズム掲示板の多くの女性に感謝したいと思います。みなさんはいつも私に力とインスピレーションを与えてくれます。

 3年ほど前、私が〔リーズ市議会に〕初当選して間もないころ、リーズの一女性から相談を受けました。彼女の6歳の娘が、地元のガールスカウトに手伝いとして参加するのを認められていた17歳の男性に暴言を吐かれ、その後暴力を振るわれたというのです。その男の子がなぜガールスカウトに参加していたかというと、女性を自認していると言ったからでした。この6歳の女の子はいったい何をしたのでしょうか? 彼に男の子かどうか尋ねたのです。そして、この6歳の少女は、グループ全体の前で一人で立たされ、彼に謝罪させられました。

 私には理解できませんでした。それで私は調べ始めました。そしてジェンダー・クリティカルという考え方やラディカル・フェミニズムへの道を見出したのです。以下に述べることは、その中で明らかになったことです。
 地球上のすべての人は個性的です。何を着ていようが私は気にしませんし、人々が誰を愛そうと、誰とセックスしようと、双方が同意した大人であるかぎり、気にしません。

 しかし、「女性として生きる」と言える何かがあるわけではありません。私たちは女性です。そして私たちを女性にしているのは、女性としての生物学的構造です。それが私たちの性別(sex)なのです。そして生物学的な性別は、私たちの身体のすべての細胞で観察可能です。そして、私たちの性別こそが、私たちを一個の集団(class)にしているのです。男性からの暴力に対して固有の脆弱性をつくり出しているのが、私たちの性別です。私たちの性別は、再生産労働のすべての負担を私たちが負うことを意味します。女性が集団として直面している構造的抑圧は性別のせいなのです。だからこそ、すべての女性が、性別で分離された空間に対する法的保障を必要とするのです。

 当人の主観的な気持ち〔自分は女であるという観念〕に基づいて男性を女性としてカテゴライズすることは、およそ倫理的なものではありません。そうすることは、女性という性別はもはや法的な保護や法的な意味を持たず、代わりに破壊的で退行的なジェンダー・ステレオタイプに還元されることを意味します。
 女性を定義することができないのであれば、女性を擁護することはできません。

 このことをきっかけに、私はリーズ市議会とのやり取りをするようになりました。よく知られていることですが、リーズ市議会は昨年、ジェンダー承認法の改正を議論するための集会を開催するのを妨げました。ウイメンズ・プレイスUK(WPUK)〔イギリスを代表するジェンダー・クリティカル派女性団体〕の集会の開催が取り下げられたとき、私は一人の労働党市議からのメールを読み、その後、立て続けにさまざまな回答や行動を目にしましたが、それらは物事を明確にすることを求めるものでも、他の何らかの見解を求めるものでもなく、ただ〔WPUKに対する〕憎悪に満ちた決めつけをただ盲目的に受け入れるものでした。そして、それが女性を解雇し、脅迫し、沈黙するための絶好の口実になっていることが私にとって明らかになりました。

 その集会は、法律の変更案と政府の諮問協議会を議論するためのものでした。その目的は、トランスの人々に何が最善かを伝えることではなく、女性にとって何が最善かを政治家や法律家に伝えることでした。セルフIDについて疑問を持っている人々の大多数は、生涯にわたる左翼的傾向のレズビアン、労働組合員、LGBアライであり、またさまざまな信仰を持つ人やいかなる信仰も持たない人たちです。私たちに向けられている諸非難――トランスフォビア、差別主義者(bigot)、TERF、宗教原理主義者、ヘイト説教者――はまったくのナンセンスです。そして、私はもうそうした非難をたっぷり受けてきました。

 言っておかなければなりませんが、ジェンダー・クリティカル派の女性たちに対するホモフォビアという非難を私は最も強い言葉できっぱり退けます。彼女たちのかなりの部分はレズビアンです。私はレズビアンの姉妹を支持します。私が何年にもわたってLGBコミュニティと連帯してきたように。

 リーズ市議会はセルフID制〔自認だけで性別を変更できること〕を導入しました。リーズ市議会のすべてのサービスや部署で、誰でも簡単なオンラインフォームに記入することで、性別や「ジェンダー表記」を変更することができます。

 情報公開法(FOI)に基づいて、〔セルフID制の導入による〕平等影響アセスメント〔何らかの政策を導入した場合に、環境アセスメントのように、平等にどのような影響を及ぼすかを当局側が調査すること〕がいかなるものかを問い合わせたところ、当局はその点に関して何もしていないと言ってきました。同じくFOIに基づいて、これが性別によって区切られたサービスやスペースにどのような影響を与えるのか問い合わせたところ、リーズ市議会にはそのようなスペースやサービスは存在しないと言われました。異性装(cross-dressing)は議会の方針で保護された特性として明確に定義されているので、FOIに基づいて、それでは女性と男性の服装に関する包括的リストを知りたいと尋ねると、そのようなリストは存在しないと言われました。女性の定義を尋ねたところ、そのような定義は存在しないと言われました。

 ということは、明らかに、この市の男性は、女性の更衣室、トイレ、レジャー施設、サポートグループやサービスを利用することができるということです。すなわち、女性たちが脆弱な状態にあり、トラウマを抱えた状態でいたり、服を脱いでいたり、眠ったりするどのような場所にも彼らはアクセスできるのです。なぜなら、男性は、ある時点で、自分が女性であると感じたら女性とみなされるからです。「女性である」ということ――市議会は定義できないと言いましたが――には、女性もまた着るかもしれないし着ないかもしれない服装を着たことがあるというだけの場合も含まれるのです。

 しかし、女性たちはそのスペースを勝ちとるためにさんざん戦ってきたのですから、それはそもそも市議会が明け渡すべきものではありません。
 それは不条理かつ危険であり、全国の何百万人もの女性たちが、もうたくさんだと言っています。自認によって被抑圧集団に入ることができないのは、自認によって被抑圧集団から出ることができないのと同じです。そして、女性は世界中で、女性に固有の仕方で抑圧されています。リプロダクティブ・ヘルスと自律性、女性性器切除(FGM)、暴力、レイプ、児童婚、選挙権剥奪、出産での死、産後の病気、教育へのアクセス拒否、低賃金、化学物質による避妊、性的人身売買、代理出産、ポルノ、売買春、客体化。

 リーズ市の刑務所や出所後サービスセンターにいる女性たちが、恐怖と絶望に駆られて私に連絡してきました。彼女たちをレイプで脅し、暴行し、女根と称するペニスを繰り返し見せつけ、愚弄する男たちといっしょに閉じ込められているからです。この男たちは、制度を欺き、ホルモン剤をトイレに流しているのです。

 私たちの統計は歪められ、性別に基づく規定や割り当てが作られた当の原因である不平等に異議申し立てする能力を提供してくれる分析ツールを、失うことになるでしょう。
 そしてもちろん、リーズ市にはミソジニーのより広範な暗部があります。買春されやせ細り依存症に陥った女性たちのいわゆる「管理地域」〔赤線地帯〕は、リーズ市の目玉商品です。ここ数ヶ月の間に、私はホルベックを2回訪れました。1回目は夜で、何人かの男たちが路上に停めた車の中で公然とポルノを見ながら、クスリでふらついている女たちをたった5ポンドで使用して、捨て去るのを目にしました。昼間、午後2時に新鮮な空気を吸うために車のそばに立っていただけなのに、10分で3回も買春男たちに声をかけられました。リーズ市は何十万ポンドもの税金を使って、男たちが街で最も弱い立場にある女性の薬漬けの体を買えるようにしてやっているのです。ホルベックの男たちは女がどういうものかを知っています。

 「あなたがもし間違った体に生まれてきたらどう感じる?」とよく聞かれます。そして私は、覚えているかぎり毎日のようにそう感じていると答えます。店に入ったり、テレビをつけたり、雑誌を開いたり、ネットにアクセスするだけで、女性は、「ビキニの似合うボディをゲットしよう」「12週間で念願のクリスマス・ボディに」「あなたが夢見るボディを手に入れよう」「20歳若いボディを」「あなたが望むボディを」という言葉の暴力にさらされます。ボトックス、整形手術、脱毛、フォトショップ、日々の化粧、ヴァギナの整形さえ。ええ、十分わかっています。

 私はすべての男性がレイプ魔だとは思っていないし、すべての男が本質的に暴力的だとか、気色悪いとか、堕落しているとは思っていません。私は父と兄と9歳の息子を愛しています。しかし性暴力の98%は男性によるものです。そして、善人と悪人とを見分ける方法はいまだ存在しませんし、これからもずっとそうです。だからこそ私たちには、独自の空間とサービスと境界が必要なのです。私たちのプライバシー、私たちの尊厳、私たちの安全のためにです。だからこそ私たちは一般的に男性が私たちのスペースに入ることを阻む社会的規範を維持する必要があるのであり、そうしようとする男たちに異議申し立てをする確たる自信を維持する必要があるのです。悪い男は女性や少女に近づくためなら何でもします。だからこそ、世界中のあらゆる機関に、権力とアクセスを利用して私たちを虐待しようとする者たちが集まってくるのです。彼らが学校や介護システム、教会や家族でそれをするならば、刑務所やトイレ、避難所や更衣室でも必ずやるでしょう。そしてすでにそうなっています。

 危険な男性という少数派から女性(females)を守るという点から見ると、男性が女性と自認したからといってこれらの理由がなくなるわけではありません。そして、自認しさえすれば、男性がオンラインフォームを使ってぞんざいな事務手続きをするだけで、境界を守る門番、セーフガード、要件が無効になってしまうのです。

 自分が男らしさ(マスキュリティ)の中に閉じ込められ苦しんでいると感じている男性たちには本当に同情します。しかし、それは男たち自身が解体し、破壊し、覆すべきものです。そしてすでにそれをやっている男たちはいます。トランスセクシュアル(性転換者)やクロスドレッサー(異性装者)、そしてそのアライたちであり、すべての人にダメージを与える男性ステレオタイプに反対する人々です。しかし、それを推進することは女性の道徳的義務ではありません。あなたのフェミニズムが、女性の物質的条件よりも男性の内面的な自認を優先させるならば、あなたはフェミニストではありません。構造的でシステム的な抑圧の世界で、男性による暴力が蔓延している世界で、私たちには自分たちのために立ち上がる義務があり、それは他のすべての女性たちに負っている義務であり、私たち以前に闘ってきたすべてのフェミニストの遺産に負っている義務なのです。

 本日はありがとうございました。


原文はこちら👇
▶️ https://grahamlinehan.substack.com/p/men-know-what-a-woman-is-in-holbeck



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コメント (1)
とても心に響く記事でした
昨今のLGBT平等法提案などいう恐ろしい流れの中で勇気をもらえました
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