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あーくれぼ2020 全5部門の実況を担当して

「ARCREVO JAPAN ONLINE 2020」とは、アークシステムワークスが主催する格闘ゲームのオンライン大会である。

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この記事をご覧頂きありがとうございます。所謂eスポーツキャスターとしてゲームイベントの実況やMCを行っているふーひと申します。格ゲーデビューはメルブラでした。

先日、10/10~10/24間の土日計5日をかけて「ARCREVO JAPAN ONLINE 2020(以下あーくれぼ)」という格ゲーの大会が行われました。めちゃくちゃ面白かったんですが、その場において全日程・全タイトルのMCと実況を務めさせて頂きました。

この「全タイトルの実況を1人で担当した」という経験が、僕にとってすごく貴重かつ格ゲーシーンでも中々前例の無い出来事だった(と思う)ので、経緯とかどう準備をしたかを纏めてみようとnoteを開いています。長すぎないようにしていきたいと思うので何卒お付き合いお願い致します。

最初は何かの間違いだと思った

8月下旬頃、所属しているウェルプレイドからこんな連絡が来ました。
「あーくれぼ全タイトルでMC・実況での出演依頼が来ています!」
それに対する僕の返答は
「どっか食い違ってる気がするのでもう一度確認をお願いできますか??」
でした。失礼ですね。

何故食い違いを疑ったかというと、あーくれぼは
「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r](以下UNI)」
「BLAZBLUE CENTRALFICTION(以下BBCF)
「GUILTY GEAR Xrd REV 2(以下GG)」
「グランブルーファンタジー ヴァーサス(以下GBVS)」
「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE(以下BBTAG)」
の合計5タイトルで行われます。
BBTAGは過去公式大会やEVO2019で実況させて頂いた事があり納得だったのですが、他4タイトルに関しては実況経験は全てゼロに等しく、プレイ経験もGBVSは発売してしばらくプレイしましたが、他3つはほぼ未経験でした。
実況経験が無い事は(依頼経験が無い事から)アークさんも解っていると思っていたし、そもそも全部のタイトルを1人に任せる事自体がかなり考えづらかった。たぶん普通は全部別々の人がやる。

ただ結論としては依頼内容は全て真実で、依頼を受けるか受けないかはかなり悩みました。
経験のあるBBTAGはともかく、GBVSは新作格ゲーとして注目度が高い作品。更に残りのUNI・BBCF・GGはタイトルの歴史も深く、シーンと共に歩んできた多くのユーザーに愛されている作品です。
ぶっちゃけ自分の好きなタイトルの大会を、初めましての人が良く知らないまま適当に喋ってたらちょっとイヤじゃないですか?僕ならイヤ。
だから喋るならファンの人に胸を張れるくらい調べて臨みたいと思っているのですが、これ程のタイトルを5個並行に進めて調べきれる自信がありませんでした。

自信は無かったんですが、それ以上にこんな大役を依頼してもらえる事が嬉しかった気持ちがありました。正直アークさんにとっても超ハイリスクな決断だろうなと思いましたし、それでも任せる決断を頂けた事。そして依頼時にアークさんから添えて頂いた「ふーひ様が最適任のお仕事だと思っております」という一文がハチャメチャに嬉しく承諾を決意しました。
この時点で確か8/25日。本番は10/10からなので、「約1か月半で格ゲー5タイトルを仕上げられるかチャレンジ」が始まりました。

1か月半の受験勉強

準備をするにあたって最初に決めた事は「BBTAGは最終週に準備しよう」でした。
過去経験がある事と、BBTAGは最終種目(10/24)でありその前のGBVS(10/18)から約1週間ある事、UNIとBBCFを調べれば必然TAGにも生きる事から、BBTAGは最後の1週間でオールインする事を決意。
その上で準備する内容は
「キャラクターの動きだけは確実に追えるようにする」
事に絞りました。即ち「技を覚える」と「ゲームスピードに慣れる」ですね。1タイトルにかけれる時間が約10日程度だったので、プレイヤーや歴史を掘るのは余裕があったらにしようって感じです。

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という訳でまずは技をメモしたノートを作ります。これは準備にも使うし本番にも使うのでゲームのトレーニングモードを使って技を出しながら、無心で全キャラの技の名前と性能をメモって覚えていきます。ノートを見た人からは等しく「受験じゃん」と評価頂きました。

いりょう

GBVSは原作設定もこっそり書いたりしました。小ネタは繋ぎに使えるので大事。ちなみに手書きなのはなんとなくスマホで打ち込むより覚えやすい気がするから。字が汚いのはほんとに見逃してください。
ノートが出来上がったら実況の練習を開始します。BBTAGは昔ノート作ってたのでほぼ追記は無し。ありがとう過去の僕。

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練習するときはこんな感じ。携帯を使って過去の大会動画を再生し、それを見ながらひたすら実況します。最初はとにかく通常技(立ちC等)・コマンド技の名前だけを言っていき、言えなかったり間違えたりしたらその都度止め、ノート見たりゲーム内で技を出して確認したら巻き戻してを繰り返します。

そして大体技は言えるようになってきたなと実感したら、次は技名を言うことを封印して実況します。流石に全てのタイトルの技を覚え切れる自信は無かったので、万一本番中技を忘れても別の言葉でカバー出来るようにする練習です。技名忘れて黙り込んでしまった、だけは避けなければなりません。
僕はこれまで技を言うスタイルを続けてきましたが、言わずに実況する方がより多くの言葉を伝えられる面もあり、個人的にも良い練習になりました。

この練習をしていく上で大事な事が見る動画選びで、出来るだけ公式大会や大型の店舗大会、もしくは上位プレイヤーの配信等実況解説がある・有識者が喋っているものを選びました。
大会の解説ではシステムを絡めた読み合いや状況の有利不利、キャラクターのテクニックや技の持つ隠れた仕様について触れている事が多く、ただトレモで技を出すだけでは知る事の出来ない情報を拾えるからです。
特に状況毎の読み合いとかは本来プレイを続けながら学んでいくものですが、プレイヤーとして経験を積む時間は今回無かったので、このあたりの情報を浅いながらも得られた事は大きかったです。知識を見返せる形で残してくれた全ての人にありがとう…

そして各タイトルの前日はやる事を変えます。まずは「全キャラクターの技出し」をして技の最終確認をします。
そしてそれが終わったらおまちかね「プレイヤー情報を時間の許す限り調べる」フェイズに突入します。

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より字が醜くなっている事をお詫び致します。まずは直近1年くらいの大会結果を調べてTOP8までをメモります。この時誰に負けたか、誰と戦ったかの情報まで見つけられるとベストです。 この人は直近の大会で優勝してる人です、この2人は昔の大会でも戦いその時は〇〇選手が勝利していますとかは一言付け加えるだけで結構アツイと思うんですよね。

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加えてプレイヤー個人を簡潔に調べます。Twitterアカウントを見つけ、持ちキャラやゲーム歴、その他紹介しても良さそうなツイート(自身でも大会開いてるプレイヤーですとか)があればメモります。この辺の情報も深追いはせず1人1分くらいを目標に。これが全て終了するか、深夜2時半を回るまでやりました。2時半回ったらもう何とかなる事を祈りながら寝る。

そして当日へ

当日は電車で大会動画を見つつ、現場に着いたら後は腹を括ってやるだけでした。幸いにもコメントは暖かく、解説の方はどの部門も詳しい&優しいで、助けてもらいながら楽しく喋らせて頂きました。

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各回の食レポ実況もみどころ。UNI解説の鴨音さんとは、自分がメルブラで格ゲーデビューしてた事もありお会いできてかなり嬉しかったです。
このまま各部門の魅力を語る会といきたい所ですが、超絶長くなってしまうので各部門のアーカイブだけ残していきます。どの部門も面白さは保証致しますので、是非ひとつでもご覧頂ければと思います。

「UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late[cl-r]」→https://youtu.be/-go-IIi4PXQ
「BLAZBLUE CENTRALFICTION」→https://youtu.be/Zt1rzS1zyPg
「GUILTY GEAR Xrd REV 2」→https://youtu.be/5t7iWZtf6K4
「グランブルーファンタジー ヴァーサス」→https://youtu.be/aiLwBZposUs
「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」→https://youtu.be/J36CLOLzAZI

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本番には各タイトルで作ったノートと、ノートをコピーしたものを持ち込みました。格ゲーは(今回はTAG以外)1対1で画面に2キャラ存在するので、2冊あった方が効率が良いですね。
流石に試合中見たりは出来ませんが、試合の間やラウンド間の切り替え中等、要所でチラ見してカンニングしていました。
ちなみに余談ですが、UNI(21キャラ)+BBCF(36)+GG(25)+GBVS(17)+BBTAG(からBBとUNIキャラを除いて22キャラ)で合計121キャラ。
すっごい雑に数えて1キャラの平均技数10個くらいだと思うので121×10で大体1210個の技を覚えました。やったーーーーー。

あとがき

大体こんな感じで1か月半やってました!大変ではありましたが、これまで触れて来なかった格ゲーを調べてくのは楽しかったです。10月中は緊張しっぱなしでしたが、終われば立派なあーくれぼロス。しんよこ行きたい。

通して感じた事として、全部門でユーザーさんが超優しかったです。多少のネガティブな意見は覚悟していたんですが、配信中のコメントは勿論Twitterで思いつく限りのエゴサを尽くしても実況についてポジティブな意見ばかりで、1日が終わるごとに活力を頂いていました。
僕は新しいタイトルを喋る時ファンの皆さんに受け入れてもらえるかをかなり気にしていて、昔はそこの自信が無くお断りしてしまったタイトルとかもあったのですが、良い意味でそこのハードルを皆さんに下げて頂けたような気持ちです。勿論、浅くても良いという話では無いのでそこは勘違いしてはいけませんが。


僕は今後も色々なジャンルの実況に挑戦していくつもりです。いつか「世界で一番多くのタイトルを実況したキャスター」みたいな肩書を目指したいなとぼんやりながら思っています。
そのために必要な、限られた時間で準備する方法やそもそもの自信等、色々なものを今回得られました。ご縁があった5つのタイトルについても、めっちゃ楽しかったのでまた喋る機会を頂けたら嬉しいですね。

改めて、全部門の実況というほぼ前例の無い大役を任せてくれたアークシステムワークス様、各部門の解説者の方々、熱い試合を見せてくれたプレイヤーの皆様と、自分を暖かく受け入れてくれた視聴者の皆様。
加えて、今回調べるのにあたりユーザーさんが作った攻略サイトやyoutubeの大会動画等多くのものを参考にさせて頂きました。知識・歴史を残してくださった皆様、全ての方々に感謝しています。
本当にありがとうございました。

今後も頂いたご縁を大事にしつつ、どんどん新しいタイトルにも挑戦行くつもりですので、何卒よろしくお願いいたします。
あ、良かったらTwitterフォローしてくれると!とても!嬉しい!!です!!→https://twitter.com/Fuuhi78

それではまた。

はいけい


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