ヒロイック・ファンタジー小説「兄弟と古屋敷」
第一幕 私たちの廃屋探検も、これで最後の一部屋だ。かつての客用寝室もまた、軋みや腐食、カビ臭さと薄暗さに満ちていた。
金になりそうな家具調度は、全て失われている。唯一、残っていたのは玻璃の姿見だ。当時も今も硝子で作った鏡は貴重品である。競売のために持ち出すには壊れやすい厄介物とみなされたのだろうか?
祖父の遺産目録に目を通して、玻璃鏡のことは知っていた。だが、実物を見るのは初めてだった。
なんとはなく鏡を見つめると、兄さんが剣を振りかぶる様子が映っていた。ちょっとした