ヒロイック・ファンタジー小説「兄弟と追手達」
騎馬遊牧民の兄弟が怪物を退治したと、証拠なしで言い張り賞金をせしめた。ところが、兄弟には追っ手が差し向けられた。仕留めたはずの怪物が実は生きていたのだろうと推測した兄弟は、騎馬遊牧民の騎射術を活かせる山の狭い桟道を、逃走経路に選ぶ。
第一幕 アーク兄弟は山道を登っている。蒸し暑い南国の密林が、高燥たる北国の草原育ちの二戦士に、大きな試練を与えていた。
兄弟が引いている二頭の馬には、重そうな箱が二つずつ括りつけてある。
山の高さと険しさをおそれて猿も鳥も引き返すという伝説