見出し画像

スター・ウォーズ ゲーム研究本を出すために 第1回 『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』『スター・ウォーズ ジェダイ:サバイバー』

【執筆者:畑史進 (ハタフミノブ)】

Twitter:https://x.com/hata_fuminobu

Instagram:https://www.instagram.com/fuminobu_hata/

というわけで突発のコラム。

これはいったいぜんたいどういうものかというと、「ゲームになった映画たち」著書でうちの社長のジャンクハンター吉田が「お前に俺が生きている間にスター・ウォーズゲームの研究本を出してもらいたい」という最後のジェダイならぬ最期の願いを果たすために筆を取るというもの。

数年前から話としては上がっていたものの執筆するのも時間はかかるし、資料集めにも膨大な費用がかかるとあまり旨味はない。本音をぶちまけると毎週のレギュラー番組も第ほんやら企画を口頭で伝えてあとは出演に専念し、毎日の更新やその他雑務も若手に任せて執筆に専念したいが・・・人でも金もない!そういった具合なので生活費の足しに色んなメディアに提案しまくったが昨今のゲームメディア、映画メディアは広告媒体としての側面が強いのでこういった研究的コラムは見向きもしない。もう時間もあまりないのでこういった手合とは手を組まずに自分からさっさとやってしまったほうが良いだろうということで明日にも破産しそうなジリ貧ではあるけど書くことにした。

将来的には本として残したいと思うので興味のある出版社は声をかけてほしい。

あと、極力使用する画像はAmazonの商品ページから引っ張ってくるのでご容赦を。

このコラムでは現代の若者たちに世代に興味を持ってもらえるよう時代を遡る形でスター・ウォーズゲームを紹介していくので、レトロなゲーマーは今しばらく我慢していただきたい。(本音:レトロなゲーマーで直ぐに噛みついてきて出鼻をくじかれるのも嫌な気持ちなのでというところ)

ゲームは概要のあとに簡単な筆者の寸評を書くという形式で行く。また、『スター・ウォーズ』の映画シリーズについては皆内容は把握しているという前提で書き進めていくのでその点もご容赦願いたい。

■『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』(2019年)『スター・ウォーズ ジェダイ:サバイバー』(2023年)

『ジェダイ:フォールン・オーダー』『ジェダイ:サバイバー』はRespawn Entertainment(リスポーン・エンターテインメント)制作、発売元はエレクトロニック・アーツのアクションゲーム。タイトルに共通してジェダイと書いてあることからこれらを「ジェダイシリーズ」と仮に呼称する。

本作は『エピソード3 シスの復讐』と『エピソード4 新たなる希望』の間を描く作品となっていて、主人公はカル・ケスティスという元パダワン。この『エピソード3』と『エピソード4』は19年の空白の時間(とはいっても最近は『反乱者たち』だの『バッド・バッチ』でずいぶん埋められてきているが・・・)が空いているのでスピンオフストーリーを作るにはもってこい。

カルは自身のマスターと共にオーダー66時には別の宇宙船にいたところ、クローン兵の異変を察知したマスターの機転から粛清を逃れることができた。その後、カルは惑星ブラッカというジャンクまみれの惑星で解体作業に励んでいる中、同僚が労災事故に遭いそうになったところをフォースで救出。これが仇となって帝国軍尋問官のセカンド・シスターにストーキングされるというところから物語が始まる。

簡単に尋問官というのを紹介すると、スピンオフアニメの『反乱者たち』から登場したダース・ベイダー直属の部隊。オーダー66というジェダイの殲滅命令以降、生き残ったジェダイを追い回して殺害していく部隊だと思えば良い。ジェダイの情報を掴むためなら一般人の拷問や殺害もやむ無しというスタンス。名前にセカンドとついているように入ってきた順に数字が与えられ、男の場合はブラザー、女の場合はシスターと兄弟の契りのような感じを見せつつも基本的に理念はシスなのでお互いのことを見下しあっている。ちなみにファーストというのは存在せず、大尋問官という特別な役職になっており実質ベイダーの右腕的な立ち位置。元ジェダイでクローン大戦を機にダークサイドに堕ちたジェダイの再就職先だと思えば良し。

設定の解説で大いに脱線してしまったが、『ジェダイ:フォールン・オーダー』はディズニー傘下に入ったストーリーの練られたスター・ウォーズゲームとしてかなり注目が集まった。この前には『フォース・アンリーシュド2』という作品が話題になり、衝撃的な結末から続きに注目が集まっていた矢先の買収による中断だったので、スター・ウォーズファンにとっては注目タイトルの一つだった。

そういった事もあってか、尋問官という新組織の「セカンド・シスター」の登場はかなりの大盤振る舞いだったことがうかがえる。

ゲームの方はというと、いわゆる『ダークソウル』を想起させるいわゆる「ソウルライク」と言われるヒットアンドアウェイが要求される高難易度なアクションゲームに、『トゥームレイダー』もしくは『アンチャーテッド』のような探索型アクションゲームが融合したような作りでスター・ウォーズゲームとしては新しい試みを持ち込んだ意欲的な作品だった。

映画シリーズでもよく見られるような相手の攻撃を弾く、ブラスター弾を反射させるには防御、もしくは相手の攻撃に合わせてタイミングよく防御をすることで弾く「パリィ」で再現、追体験することができる。ライトセーバーアクションも豊富で映画、特に『エピソード1』から『エピソード3』のプリクエル・トリロジーを意識しつつも、ルーク・スカイウォーカーやアレック・ギネスのオビ=ワン・ケノービの野暮ったいアクションがちょうどいい塩梅で融合したようなモーションでどの世代にもアプローチしているのが分かる。近年のアクションゲームのようにスキルポイントを消費して自分のプレイスタイルに合わせて成長させられるのも時代の変化を感じられる作品になっていた。

『ジェダイ:フォールン・オーダー』の終盤ではダース・モールのようなダブルブレードライトセーバーや、二刀流も扱えるようになるなど原作ファンの心の掴み方をよく分かっていると感じられた。

続く『ジェダイ:サバイバー』では最初から自分のライトセーバースタイルを選ぶことができたのはシリーズとしての整合性が取れていて良かったと思う。

ただ難点だったのがステージ探索。さっきこのゲームを紹介するときに『トゥームレイダー』や『アンチャーテッド』と書いてピンときた人もいるだろうが、この手の探索型ゲームにつきまとう「どこ行けば良いんだゲー」感が強いのは否めない。例えば壁張り付いている蔦を掴んで移動するステージなんかが特にそうで、さっきまで掴んでいた蔦と掴めない蔦の違いがあまりないのは序の口。「お前明らかにそれは掴んで移動できるだろ!」って見た目のフェンスにしがみつきもしないのは理不尽感マックス。『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』なんかを遊んでいたプレイヤーだったらモヤモヤ感が残ること間違いなし。


(さんざん苦労して寄り道しても大したものが得られないのもなぁ・・・)

また、マップ表示もかなり独特で、『スター・ウォーズ』おなじみのホログラムテイストの立体的なマップが表示されるのだが、これがまぁ「今俺はどこにいるんだ?」とややこしいことこの上なし。

あと、1作目は「フォースの使い方を忘れてしまったジェダイ」とゲームのご都合にガッツリ合わせた作りになっているので、ストーリーとキャラクター、プレイヤーの成長がシンクロしていて面白いと感じるのだが・・・なんと2作目では前作覚えたフォースのスキルが何の説明もなく最低レベルに落ちている!

おいおいお前、低レベルクリアでもしたのかよ!っていうくらいのフォースの忘れっぷりでただでさえフォースを使うのが不自由なくせにフォースのスキルスタートが1作目と2作目のスタート時点が全く一緒な点には腰を抜かした。

先ほど「フォースを使うのが不自由」と書いたが、このゲームでフォースを使うにはフォースゲージというRPGで言うところのMPを消費して使うことになるのだが、回復手段が休憩ポイントか相手の攻撃をタイミングよく弾く「パリィ」か、ライトセーバーでの攻撃くらいしか無い。そのため、フォースを使って身を守るジェダイがフォースの使い所を気にしながら冒険するゲームになっているのでどうも「『スター・ウォーズ』を遊んでいる」という感じにならない。

不満タラタラのように思えるかもしれないが、実はパリィという防御システム自体はジェダイの信条にあっていてそれなりに評価している。ジェダイはフォースを民のため、自分の身を守るために使うので、ジェダイ追体験としては間違っていない。ただ、ゲームとしてはテンポを悪くする負の側面が強いのもこの「パリィ」というシステム。受け身になるので相手(CPU)のいつ攻撃してくるかわからない攻撃待ちになることが多くなる。その上、相手もガードゲージという攻撃を受け付けない鋼体を持っていて、ガードゲージを削りきったあとにようやくHPにダメージが入れられるようになる。終盤になってくるとこの鋼体剥がしに時間がかかって、一回の戦闘が平気で5分くらい吹っ飛ぶし、複数体一気に相手にする戦いになると何度も死ぬ羽目になる。これが心地いい!と思うマゾっ気満点のプレイヤーなら楽しめるが・・・

一応、救済策(?)なのか、ステージによっては真面目に戦闘せずにフォースプッシュで相手を崖に突き落としたりして一層する場面もあるが、ごく少ない場面な上フォースの回復手段が凄く限られている上に連続した戦闘の後にフォースが無いじゃん!ってことでこのゲームのシステム的な負の部分が強く感じられてしまうのが残念。これは『ジェダイ:サバイバー』でも共通しているので、今から遊ぶ人は肝に銘じてプレイしてほしい。

これらのどうしてもネガティブな要素が筆者にとって強く感じられてしまうのが、また後の回に紹介する『フォース・アンリーシュド』という存在。「フォースの開放」というタイトルのようにフォースをMPを消費で使っても時間経過で全開まで回復するのでバシバシ使えたゲームの後のこの作品なのでフォースへのフラストレーションが半端ない!

ただ、このゲームはキャスティングには力を入れていて、可能な限りスター・ウォーズ俳優を出そうとしているのは高評価ポイント。『ジェダイ:フォールン・オーダー』では『ローグ・ワン』に出てきたソウ・ゲレラのフォレスト・ウィテカーを起用し、ダース・シディアスは現在ダース・モールの声を担当しているサム・ウィットワー。『ジェダイ:サバイバー』ではジャンゴ・フェット以来、クローン兵の顔となり息子のボバ・フェットまで担うようになったテムエラ・モリソンが務めている。

原語版を遊ぶにはハードの言語設定を英語にする必要があるがやる価値はあり!

その他のストーリーも超ざっくりと紹介すると、このゲームは厄介なことに“ダソミアの魔女”っていうのが出てくる。これは『クローン・ウォーズ』に登場したダークサイドのフォースを魔術として扱っている一味で、近年のスピンオフ作品では『アコライト』という作品でもダソミアでは無いけど同じように魔術を使う一味が出てきていてここ最近の『スター・ウォーズ』のトレンド。端折って説明するとダース・モールもこのダソミアってところの出身でダソミアの魔術が影響しているってのもあるんだけど、このダソミアはクローン大戦中にダース・シディアス、ドゥークー伯爵、そしてグリーヴァス将軍率いるドロイド軍の侵攻によって滅ぼされちゃった。本来これはアニメ『クローン・ウォーズ』で描かれるはずだったんだけど、ディズニー買収で封印された後にコミック『ダース・モール:ダソミアの後継者』で描かれた。このいざこざの背景を知らないと『ジェダイ:フォールン・オーダー』でのダソミアステージやダソミア人が出てきても突発感が否めない感じになっているのが残念。

他にも『ジェダイ:サバイバー』本編前を描いた「ダークテンプル」って漫画もあるんだけど、これはシアというカルのマスターと、そのシアのマスター、イーノ・コルドヴァがジェダイ評議会の危機を察知するっていう話だけど、さんざん煽っておきながらゲームでは結構さらっと流されて「予習は一体何だったんじゃい!」となったのを覚えてる。


これは最近の『スター・ウォーズ』スピンオフあるあるなんだけど、割とオビ=ワン、ルーク、アソーカ、ベイダー以外のスピンオフ作品って繋がりがありそうで全く無い、寧ろ観なくても成立します。っていう作りになっていて、ゲームとかコミックになってくると連携も何もあったものじゃないって感じになっているからもう少し、予習した人にはなんとかしてほしかった。

加えてこのゲーム2作目の『ジェダイ:サバイバー』ではアナキン・スカイウォーカーが発見されるより遥か前の「ハイ・リパブリック時代」のことに触れることも出てきて、いよいよ『スター・ウォーズ』のスカイウォーカー・サーガ離れを匂わせている。そのくせ現在公開中の『アコライト』ではあまりこのゲーム作品との共通点も匂わせも無いので余計になんだかなぁと感じてしまう。考察系YouTuberが頑張っているけど、徒労に終わると思うんだよなぁ・・・

あとどうしても個人的に不満なのがダース・ベイダー問題。

ダース・ベイダーみたいな強キャラはボスにもってこいだっていうのは分かるんだけど、こいつは倒しても絶対にストーリーのご都合で死ぬことは無いから頑張ってHPを削りきってもムービーで逆転されるから意味が無いし、何より圧倒的強者でいてほしいのに変なジェダイにボコボコにされたり、不意を突かれるのは見ていてもプレイしていてもなんだかなぁと思うんだよ。

ちなみに1作目はベイダーから逃げるって作りになっているから好感持てるけど、2作目は・・・


(ラスボスの動機にビビったのは間違いない)

あまりにもスピンオフのゲーム作品でやられすぎて品格がダダ落ちしているのが今のベイダー卿。それに業を煮やしてか、PC版のMODではベイダーを作って公開しているのがファンの答えなんだとおもう。

とまぁここまでつらつら書いたけど、この2作はここまで。

現在リスポーン・エンターテインメントは最終作の予定となっている3作目を制作中なので、今のうちにセールで買っておくと追いつけるかも?


スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー

ジャンル:アクションゲーム
対応機種:
PlayStation4
PlayStation5
Xbox One、
Xbox Series X/S
Steam
開発元:Respawn Entertainment
発売元:エレクトロニック・アーツ
発売日 2019年11月15日
対象年齢 CERO:C(15才以上対象)

スター・ウォーズ ジェダイ:サバイバー

ジャンル:アクションゲーム
対応機種:
PlayStation5
Xbox Series X/S
Steam
開発元:Respawn Entertainment
発売元:エレクトロニック・アーツ
発売日 2023年4月28日
対象年齢 CERO:C(15才以上対象)


次回以降も書いていくので支援をお願いします。


また、私も全てのスター・ウォーズゲームを持っているわけではないので、譲っていただける方募集します。

連絡先は以下のメールアドレスか、TwitterのDMまで。

hata.fuminobu@gmail.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?