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スター・ウォーズ ゲーム研究本を出すために 第3回 子供向けブラウザゲーム『スター・ウォーズ:ヤング・ジェダイ・アドベンチャー:ギャラクティックトレーニング』


■『スター・ウォーズ:ヤング・ジェダイ・アドベンチャー:ギャラクティックトレーニング』


今日はブラウザゲーム『スター・ウォーズ:ヤング・ジェダイ・アドベンチャー:ギャラクティックトレーニング』を紹介する。その前にこのコラムを呼んでいる人の中で『ヤング・ジェダイ・アドベンチャー』を知っている人がどれだけいるのか?


これは2023年からDisney+で公開されている「子供向けTVアニメ」のシリーズ作品。文字通りの子供向け。日本のCS放送のディズニー・チャンネルでもレギュラー放送されているらしいけど、Disney+はまだしもCS放送という今となってはマニアックな媒体でこのアニメを観ている人はどれだけいるのか??このアニメのグッズが日本でも見かけないことからどれだけの知名度かって分かるものだけど。

ざっくりと概要を説明するとこれも『アコライト』と同じくアナキン・スカイウォーカーが発見される遥か前、ハイ・リパブリック時代をブラ帯にした作品。なんとその次代は『アッコライト』の100年前。つまりは『エピソード1 ファントム・メナス』の200年前っていうことになる。よくスター・ウォーズは『エピソード4 新たなる希望』のデス・スターを破壊した「ヤヴィンの戦い」をベースに暦を作るのだけど、例に『エピソード3 シスの復讐』は19BBY(Before the Battle of Yavin:ビフォア・ザ・バトル・オブ・ヤヴィン)、『エピソード1』は32BBYらしい。西暦がキリストの誕生年を紀元としているあれと同じ。

だから『アコライト』は132BBY(?)、『ヤング・ジェダイ・アドベンチャー』は232BBYってややこしすぎるわ!


とにかく今の『スター・ウォーズ』はスカイウォーカーのいた時代をいじくる余地も無いし、余計なことをして炎上したくないから過去を遡ることにしたと思えばよろし。それでも『アコライト』は絶賛物議を醸しているようだけどね!


それで『ヤング・ジェダイ・アドベンチャー』はアナキン・スカイウォーカー発見前の200年前のハイ・リパブリック、ジェダイが最も栄えていた銀河もそれなりに安定していた時代のお話というわけだけど、そういった平和な時代だからこそなのか子どものジェダイ、誰かの弟子のパダワンよりも更に未熟なジェダイ候補生が主人公になって銀河を大冒険するというお話。ようは平和ボケ真っ只中だからこそできる子供も安心して観られる作品というわけだ。そう考えると『エピソード3』でこれからパパになるアナキンが子供も含めて惨たらしく虐殺しまくるってすげーことだよ。子供向けじゃないのは納得。

そもそもジェダイが「フォース感応者だから!」と生まれて間もない子供を攫って訓練させるって考え方がサイコパシーなんだが・・・


主人公はジェダイ候補生のカイ、リス、ナブスがマスターヨーダに辺境の惑星の寺院に送り込んで訓練をさせるというストーリーで、ジェダイ候補生は宇宙海賊とかの荒くれ者や賞金稼ぎ、モンスターを退けていくっていうわかりやすいストーリー。ストーリーとしてある程度の山や谷があってもそもそもジェダイに勢いがある時代で、子供向けである程度柔和な内容という事もあって今までになかったヒロイックなスター・ウォーズ・ストーリーが観られて予想に反してなかなか面白く観られる。第1話ではホログラムゲームが出てきたりするも、『エピソード4』でフィル・ティペットとジョン・バーグが手掛けた「デジャリック」ではなく未知のものが出てきたりと造形には独創性がある。子供向けのストーリーの子どものジェダイ候補生で映像表現としての成約があってもバトルシーンの魅せ方は抜かりがない。

率直な感想を話すと、せっかく100年前というスカイウォーカーの顔色を伺わなくてもいいのにもかかわらず「双子の運命」という設定や「ダソミアの魔女」に似た設定を使った既視感に加えて『エピソード1』以降の登場人物の顔に泥を塗るようなことで物議をかもして『アコライト』より好意的に観られる。

ファンサービスの抜かりもない。第1話の訓練で登場したジェダイがライトセーバーの訓練をするドロイドがVRゲーム『ベイダーイモータル』で登場したものを流用していて、スター・ウォーズファンに興味を持ってもらえるよう作られている。

興味深いのはこの時代のヨーダが「人助けに集中するのがジェダイ。ライトセーバーは代わりが効く」と時代に応じたジェダイの信条の変化がちゃんと考察できるようになっている。オビ=ワンのライトセーバーへの絶対的な信頼と信仰にも似たあのセリフとは対象的だ。


原語版の声優は残念なことにスター・ウォーズシリーズでおなじみの声優はあまり起用されていないが、日本版は凄い。ヨーダは多田野曜平、主人公カイは新人にして実力もある永瀬アンナ、もう一人の主人公ジェダイのリスは遠藤綾、マスター・ジアは潘めぐみと力が入りまくってる。


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さて、ゲームのほうだがディズニーNOWというサイトで運営されているブラウザゲーム。海外のサーバーでのブラウザゲームなので日本でプレイするには接続できても通信量と速度がどうしても悪くなるのでプレイするにはかなりの忍耐力と辛抱がいる。ジェダイの訓練と思えばへっちゃらなんだろうが・・・

この「ディズニーNOW」というサイトはディズニー作品を扱ったゲームをいくつか展開していて、登録にはメールアドレスも要らない親切設計。基本プレイも無料だ。

アニメの対象年齢と内容的に家庭用ゲーム機やスマフォゲームとして展開できないのは納得が行く。ゲーム内容はゲーマーに強くおすすめできるほどでも無いのが正直なところ。

ゲーム次から次へと現れるドロイドをカイがライトセーバーで次々となぎ倒すゲームと、宇宙船にのってプレイヤーに向かって飛んでくる小惑星を次々と迎撃するシューティングゲーム。そしてポイントクリックアドベンチャーゲームのようにジャンプして気を登っていくリスの誘導をするゲームの3種類。どれもドラッグ・アンド・ドロップといったマウスの基本操作を覚えさせるようなゲームで子供に初めてのパソコン操作をさせるための訓練で、このアニメの題材的にも納得が行く。

特に感心したのがシューティングゲームで、サークルの中に小惑星(敵オブジェクト)が入らないと弾が発射できないという仕様でシューティングゲームのプレイヤーならよくやりがちな連打をすることで弾幕のように自機弾を発射するというのがこのゲームでは禁じられてる。恐らく銃社会アメリカにおいての銃乱射事件を想起、もしくは真似事ができないようにするという配慮なのだろう。ハン・ソロファーストシューティング問題で銃への問題に向き合っているルーカスの会社らしい取り組みだと思った。

また、このシューティングゲームは『エピソード5 帝国の逆襲』で登場した宇宙ナメクジくんことエクソゴースも登場するのだ!ゲームの敵キャラとしてでてくるのは思い出す限り初めてではないだろうか?倒せるのはもちろんのこと、周りの小惑星を剥ぎとって無様な姿にすることもできるので一見の価値あり!


本邦初公開ナメクジくんのヌード!


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スター・ウォーズ:ヤング・ジェダイ・アドベンチャー:ギャラクティックトレーニング

ジャンル:ポイントクリックゲーム

対応機種:ブラウザ

開発元:ディズニー・インタラクティブ

発売元:ディズニーNOW

発売日 2023年

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