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スター・ウォーズ ゲーム研究本を出すために 第11回 Oculus Quest目玉タイトルだった『ベイダー・イモータル: スター・ウォーズ VR シリーズ』

やっと2020年代を抜けた!


■『ベイダー・イモータル: スター・ウォーズ VR シリーズ』 2019年


『スター・ウォーズ』のゲームはその多くがジョージ・ルーカス率いるルーカスフィルム、ルーカスアーツが手掛けてきたと思われがちだがこれは誤解だ。ルーカスアーツはルーカスフィルム社のゲーム部門なわけだが元を辿るとコンピューターゲームとコンピューターグラフィックがまとまっていた部門で、グラフィック部門とゲーム部門をそれぞれ独立させたのが1982年。ちなみにこのグラフィック部門が後の「ピクサー」となってルーカスが離婚する際の慰謝料工面としてスティーブ・ジョブズに売り飛ばされるというのは有名なお話。実は悪評高い『トイ・ストーリー4』というのはかつての同胞だったグラフィック部門(ピクサー)とゲーム部門(ルーカスアーツ)がディズニー買収によって再び統合して完成されるというのをギャビーギャビーというキャラクターに投影するというネタが仕込まれてたんだけど、まぁ普通の人はわからん!

(参考:https://lowendmac.com/2013/pixar-story-steve-jobs-disney-toy-story/


この1982年の発足当時は「ルーカスフィルム・ゲームズ」として1984年さて、の『ボールブレイザー』を発表。『スター・ウォーズ』関連はライセンサーとして、自社では主にアドベンチャーゲームを排出してきた。

日本で有名なものだとファミコンの『マニアックマンション』やメガCDやFM-TOWNSの『モンキー・アイランド』、そして世界初のMMPRPGとも評される『ハビタット』だろう(日本では『富士通Habitat』として1990年にFM-TOWNSで遊べた)。


映画会社が手掛けるゲームということもあってか、『スター・ウォーズ』という自社の強力なブランドのゲームを手掛けるのではなく全く新しいIP、しかもアドベンチャーゲームに挑戦するというのは中々勇気のあることだ。『インディー・ジョーンズ』のゲームもMS-DOSで展開したが、熱心なファンには申し訳ないが話がおもっくそズレるので割愛。1991年の『スター・ウォーズ』からBeam Softwareとの共同開発を行うことでスター・ウォーズゲームの制作に乗り出す(後述するが発売元はJVC)。このゲームはNES、海外ファミコンで発売されたもので、日本では「ビクター版『スター・ウォーズ』」と言われる手が届かないほどの高額ゲームで有名だ。


ゲーム業界にも多大な功績を残したルーカスアーツだったが、2012年のディズニー買収に伴って2013年に閉鎖。しかし、2019年からディズニーはルーカスフィルムに関するゲーム部門の再建を目指し、2021年からは新たに「ルーカスフィルム・ゲームズ」として再スタートするだのなんだので結局あのルーカスアーツ消滅はいったいなんだったんじゃい?って話になっている。

まぁそのおかげでここ最近はSteamやPlayStation他、現行のコンシューマーハードに過去の作品が展開されているんだけどね(だったら『フォースアンリーシュド3』作れっての)。


で、そのルーカスフィルム・ゲームズ復活の一つに「ILM×LAB」というスタジオがある(今はILM Immersiveと改名)。ここは2015年に発足して以降VRゲームを制作しているスタジオで公式サイトでは「仮想現実と複合現実におけるインタラクティブ エンターテイメントの新時代を切り開いています。」と自己紹介している。(参考:https://www.lucasfilm.com/what-we-do/immersive-entertainment/

ILM(インダストリアル・ライト&マジック)は今更紹介するまでもないがジョージ・ルーカスが立ち上げたSFX/VFX(特殊効果/視覚効果)のスタジオだ。


だいぶ話が長くなったが、要はこの『ベイダー・イモータル』というのは『スター・ウォーズ』を手掛ける映画製作会社が直々にゲームを作るという意味では非常に重要なゲームであって、それが久しぶりに復活を遂げたという凄く重い意味あいも含まれていたのだ。さらに過去にはそうしたスタジオを持っていたけど消滅したし、復活するわと記念的なタイトル。


そこにダース・ベイダーがテーマとして持ってこられるというのはどれだけの意味があるのか想像に難くない。その次が先日紹介した『ザ・ギャラクシーズ・エッジ』となるわけ。

ちなみにイモータルというのは「不滅の」という意味で、タイトルを直訳すると『不滅のベイダー』。まぁオシャレにするなら「ベイダーは不滅なり」じゃないか?

このイモータル(Immortal)「不滅の」というのは「ルーカスフィルム・ゲームズ」「ルーカスアーツ」もまた不滅であるというダブルミーニングもあるかもね。


さて、ここまでダラダラと長く紹介したが、そろそろ紹介せんとあかん。

だけどちっとばかし続くのじゃ。

このゲームが発売される少し前、ILM×LABから『タトゥイーンの試練(Trials on Tatooine)』『帝国の秘密(Secrets of the Empire)』というVRゲームを制作していた。この時期は毎年ゲーム業界で(日本だけか)「VR元年」と騒ぎまくっていた時代で、とにかく今後の新しいゲームはVRが主流になるみたいなことが言われていた。



様々なVRヘッドセットが発売されるものの、お値段が大体30万、安くても10万円。それを動かすゲーミングPCが20万、30万別途でかかるとびっくりするほど高くてお値段が仮想現実に行っている最中、PlayStationがVR市場に超低価格で乗り込んできた。『サマーレッスン』という男のムフフを詰め込んだゲームが発売されてさぁこれからVRの未来が明るくなるかと思いきや、転売ヤーによって駆られまくってどうにもこうにもVRの普及が進まない中でFacebookからケーブルを必要としないスタンドアロン型の「Oculus Quest」が発表された。このローンチタイトルとして発表されたのが『ベイダー イモータル』だったわけ。

VRゲームで新規IPが出てヒットするのがベストだが、相性がいいのはライセンスもの。だってその世界の中に入りたいじゃん!この時代の流れから『ソードアート・オンライン』が出るかと思いきや、ライセンスもの最大手の『スター・ウォーズ』。しかもライトセーバーとダース・ベイダーという超強力なコンテンツを引っ提げての登場だったので世界中がざわめいたのは記憶にある。どれだけILM×LABが本気だったかが伺える。ゲームで遊ぶ舞台も『エピソード3/シスの復讐』でダース・ベイダーになるキッカケ、アナキン・スカイウォーカーのトラウマである溶岩惑星ムスタファーっていうところでこのゲームとOculus Questを購入しないという選択肢はなかった。


プレイヤーは惑星ムスタファーに不時着したフォース感応者で、ムスタファーに不時着後はベイダーの居城でひっ捕らえられ拘束されてしまう。その後隙を見てベイダーに気づかれないように脱出して行く。最初はブラスターとサーマル・デトネーター(爆弾)を使ってステージを進行していく。ゲームを進めると物凄く禍々しい造形をした青いライトセーバーを手にしてからゲームは加速度的に進んでいく。


『スター・ウォーズ』おなじみの後先考えないドンパチを繰り広げていると、ベイダーに見つかるのだけど、ベイダーはなんとプレイヤーと共闘してくれる。最後に「フォースを教えてやるからついてこい」と言い残してこのゲームは終わる。つまり、このゲームでプレイヤーはベイダーの弟子として迎えられ、鍛え上げられるという内容なのだ。


この『ベイダー イモータル』は全3章で構成されるゲームで、2019年内に3部作がすべてリリースされた。

なぜこの構成になっているのかというとちゃんと理由があって、第1章が「ライトセーバーを手にして戦い方を学ぶ」、第2章が「フォースの基礎的な使い方を覚える」、第3章が「フォースとライトセーバーをテクニカルに駆使して闘う」。という順序立てとなっているのだ。


いきなり一つのゲームの中ですべてをやらせるのではなく段階的にゲームに慣れさせるという構成なのは感心した。

第2章で本格的にフォースを覚えたら泣き叫ぶストーム・トルーパーをフォースで引き寄せて持っているライトセーバーで串刺しにしたり、フォースで掴んでムスタファーの溶岩に突っ込んだりとやりたい放題。

第3章ではダークサイドの必殺技、皇帝パルパティーンおなじみのフォース・ライトニングまで使用できるのだからプレイヤーが何を求めているかを十分に把握したゲームだと言える。


ストーリーも第1章がフォースとの出会い、第2章がムスタファーの封印された歴史、第3章がベイダーとの決闘。とゲーム体験と連動するような作りで決して抜かりの無い構成になっている。一応ベイダーにもストーリーが用意されており、『エピソード3』でパルパティーンに「死の運命から抗う~」シスの秘術をムスタファーで探っており、パドメの復活を目論んでいる姿が描かれている。脚本家は『ターミネーター:ニュー・フェイト』のデビット・S・ゴイヤーというダークなストーリーテリングを得意としているライター。

ダース・ベイダーの声優は1994年にPCで発売された『Star Wars TIE Figter』や旧ルーカスアーツ版『バトルフロント2』でベイダーを演じたスコット・ローレンスが担当している。実はこの近年はゲーム『フォースアンリーシュド』で最もベイダーに似ていると高い評価を得て『LEGO スター・ウォーズ』では常連となったマット・スローンでは無く、彼の再キャスティングに驚いたものだったが、違和感は特に無くこの再キャスティングにはかなりこだわりの強いスタッフがいたのではないかと睨んでいる。


ゲームに話を戻してこのゲームは3本あるわけだが、それぞれに「ライトセーバーDOJO」というミニゲームがある。これはライトセーバーをブンブン振り回して敵をなぎ倒すというものだけど、このゲームでプレイヤーが移動しながらライトセーバーを振り回す事はできない。そのためこのモードでは向かってくる敵を迎えうち、なぎ倒すというやや疑問のある作りとなっているが、楽しすぎて平気で1時間は遊んでしまう。

ライトセーバーのような光刃を出して挑んでくる敵もいるのだが、切りつけられた方向に合わせてライトセーバーでタイミングよくブロックすると相手がのけぞるパリイがシステムに用意されている。アクションゲームとして深く作り込まれているのも高評価。

驚いたのが、ブラスターを発射されるとブラスターを反射するというのが自然と体に染み付いていること。体が勝手に反応するんだよ!

あの『エピソード4/新たなる希望』でルークがオビ=ワンからトレーニング受けているシーンがどれだけ多くの人の心に刻まれているか。60過ぎた父親にこのゲームをやらせてもちゃんとライトセーバーでブロッキング、リフレクトをするのを見たときに確信した。どれだけ『スター・ウォーズ』が偉大なのか。


語りたいことは山ほどあるが、ここまでに。

現在はPlayStation VRでも販売されているので持っていれば購入はマスト!

あっPlayStation Moveがいるか・・・


PlayStation Store:https://www.playstation.com/ja-jp/games/vader-immortal-a-star-wars-vr-series/

Oculus Store:https://www.oculus.com/vader-immortal/?locale=ja_JP


『ベイダー・イモータル: スター・ウォーズ VR シリーズ』


ジャンル: アクションアドベンチャーゲーム

対応機種: Oculus Quest、Meta Quest2、Meta Quest 3、Oculus Rift、PlayStation VR

開発元: ILM×LAB

発売日:2019年


次回以降も書いていくので支援をお願いします。


また、私も全てのスター・ウォーズゲームを持っているわけではないので、譲っていただける方募集します。

連絡先は以下のメールアドレスか、TwitterのDMまで。


hata.fuminobu@gmail.com

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