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「私のからだ、もっと知るために」今こそセルフプレジャーの話をしよう 宋美玄&iroha西野芙美 対談 3/3

産婦人科医の宋美玄先生と女性向けセルフプレジャーブランド「iroha」広報の西野芙美さんによる対談も、いよいよ最終回。私たちの性をめぐる価値観は、この10年余でどのように変化したのでしょうか? irohaのひろまり、性的同意にまで、おふたりの話は及びました。

文/アケミン 写真/高見知香

丸の内の森レディースクリニック院長 宋美玄(そん みひょん)先生

大阪大学医学部医学科卒業。周産期医療、女性医療の診療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』『産婦人科医 宋美玄先生の生理だいじょうぶブック』『産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』など。2017年に開業した丸の内の森レディースクリニックは日本屈指のオフィス街とターミナル駅に近く、近隣で働く人から遠方に住まう人まで幅広い層の女性が訪れている。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事

株式会社TENGA iroha広報 西野芙美(にしの ふみ)さん

1989年、東京生まれ。早稲田大学文化構想学部を卒業後、出版社勤務を経て、株式会社TENGAに広報として入社。TENGAグループが展開するブランド「TENGA」「iroha」「TENGAヘルスケア」や、障がいのある人の就労自立支援プロジェクト「able! Project」のPRを統括する。

10年でどう変わった? 性をめぐる価値観の変化と多様化

西野 宋先生の大ヒット著書『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』が出版されたのが2010年です。そして、irohaが誕生したのが2013年……干支ひと回り以上の年月が過ぎたわけですが、「時代が変わったなあ」と思われることってありますか?

 『女医が教える 本当に気持ちのいいセックス』は、「女性がどうすればオーガズムに達するか」というテーマに、かなり紙幅を割いています。

そこからおかげさまで、さまざまなメディアや講演会に呼ばれることも増え、たくさんの読者の声を聞くなかで、「主体的に性を楽しんでいる女性って、たくさんいるのだな」と実感するようになりました。

そこから今年で14年、最近は価値観の多様化を特に感じます。

西野 多様化、ですか。

 「セックスをしたい人は楽しめばいい」「したくない人はそれでいい」「セックスでは必ずしもオーガズムを迎えなくていいんだよね」といった具合に、さまざまな価値観が可視化されるようになったなあと思います。

西野 SNSでも皆が気軽に発信できるようになりましたよね。

 SNSでは、同時に古い価値観もあぶり出されちゃうけどね(苦笑)。そうやって価値観が多様化する一方で、「性暴力は絶対に許さない」という風潮はどんどん強まっている。性をめぐる価値観ってものすごいスピードで変わっていることを日々、実感していますね。

百貨店やドラッグストアまで 広まる、広がるiroha

西野 私が株式会社TENGAに入社して、irohaに携わるようになったのが2017年。今だからこそ言えるのですが、当時はデリケートゾーン用のソープですら、PRすることに難色を示すタレントさんも大勢いました。

しかし2018年に大丸梅田店ではじめてポップアップイベントを実施したことから、風向きが変わりはじめたように思えます。

 ⽇本の百貨店でセルフプレジャーアイテムが販売された初の試みだったとか。私も患者さんにirohaを説明するときに、「これ、百貨店にも置いてあるんですよ」と説明すると皆さん、ぐっとハードルが下がるようです(笑)。

西野 その後、2019年以降はメディアに取り上げられる機会も増え、最近では「iroha」やデリケートゾーンケアに特化した「iroha INTIMATE CARE」がドラッグストアでも展開されるように。ここにも時代の変化を感じますね。

 店頭で実際に触れられるのは、うれしいですね。

irohaを「友だちギフト」にする人も急増中

西野 ここ数年で「友達へのギフトに」とirohaを購入される方も増えてきましたね。特にiroha petitは価格も手頃なので、気軽に購入できるようですね。

 「気になっていたけど買えなかった〜!」という人にとってもうれしいプレゼントですよね。

西野 スマートバイブリング「iroha SVR」という男性器の根元に装着するバイブレーターも、カップルで使えると好評です。

こういったアイテムは、これまでは男性が女性に使うために男性が率先して購買することも多かったですが、このiroha SVRは女性が男性に「これ、使ってみない?」と提案するケースも増えているのだとか。こういったところでも、カップル間のコミュニケーションの形が変わってきているのかなあと思いますね。

 最近は「性的同意」の概念がさらに広まっていますが、こういったグッズもコミュニケーションを図りながら楽しめる関係性は素敵ですね。

西野 「自分はこういうのが好きだけど、あなたはどう?」という対等なコミュニケーションが取れたらハッピーですよね。

セルフプレジャーで自分のからだを もっと知る

 セックスでは、お互いの好みを熟知していないと、なかなか純粋に楽しめなかったり、ときにトラブルの元になったりすることも。

そのためにも、まずはセルフプレジャーで「自分はどんなところが気持ちいいのかな」といったことを把握しておくことは、欠かせませんね。あらためてセルフプレジャーは、性を主体的に楽しむための大切な行為だと思います。

西野 おっしゃるとおりですね。自分で自分の体を気持ちよくさせられるって、すごくうれしいことですよね。

フェリシモさんでもirohaグッズが展開されますが、この機会にひとりでも多くの方が、自分らしい気持ちよさを選べたら素敵だな、と思います。