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呪い、呪われ、生き、絶命。

温かい珈琲を飲んで、煙草を吸いながら考える。

呪われているのは私の方かもしれない

私はめちゃくちゃ根に持つタイプなので、今まで私を苦しめた人や私を馬鹿にした人間、私の大切な人を蔑ろにした人間をずっと許せずにいる。

嫌いな人間が何かヘマをすればその結果にニヤリとしてしまうし、平穏に暮らしていればなんと詰まらないことかと思ってしまう。毎日毎日、1日に1度は嫌いな人間を呪いながら生きている。我ながら最低で卑しいと思う。

そんな風に呪っている人間の中で唯一他と違う呪いが存在している。“元彼”という位置に居る人たちに対する呪いだ。

学生時代にめちゃくちゃにハマった人がいた。その頃の私はといえば所謂メンヘラの絶頂期で毎日泣いては時に彼に怒鳴って刃物を持ち出したこともあった(その時は平手打ちを食らった)。今となってはもう本当にそうだったのか記憶も事実も定かでは無いが、彼は俗に言う“ダメ男”だったと思う。

ホテル代、外食代、酒代、果てには彼が友人と行く旅費まで支払っていたし、何よりも彼は浮気性だったのだ。そもそもの始まりが浮気だったことを、書いていて思い出した。

私が一方的にめちゃくちゃ好きになってしまったワケなんだけど、当初彼には付き合って数ヶ月の彼女がいた。私とは正反対の、背が高くて少しギャルっぽい女の子だった記憶がある。その彼女は私の存在も途中から気が付いていた。直接修羅場にはならなかったものの、今考えてみればあの時の私は本当にどうしようもない女だったなと思う。

なぜ突然そんなことを思い出したかと言うと、私が浮気をされた側になったからだ。浮気相手の側と、浮気される側の両方に立ってしまった。全く不名誉な事である。一度それが発覚すればおそらくはもうそれを受け入れながら生きていくかさっぱりと別れるかの二択しか無いんだろう。

…分かっていても割り切れずに、小さなことから大層なことまで日々悩みは尽きない。もう何もかもやめてしまいたいという気持ちと、全て受け入れて今の平穏な時を大事にしていきたいという気持ちで、まるで自分が2人いるような感覚になる。馬鹿馬鹿しいとも思う。

今までの人生で、いつだって辛い時期ってのは恋愛で何か問題が起こった時だった。1人で生きていた方が自分のことも好きになれるし気持ちだって楽なのに。こういう時、やっぱり自分はすごく普通の女なんだなと実感してなんだか興醒めする。世の中の女性が全員どうとかそういう話では無いので悪しからず。

いつだって選ぶのは自分で、選んで来た結果が今でしかないのに。なんだかこんなことをこの2年くらいずっと考えていてもう良い加減どうにかならんものかなと思う。けどそれをどうにかするのも自分なので結局のところ私がずっと色んなことに甘えたまま決断をしきれずにいるのがいけない。そう、全部私が悪い。

そう思っていた方が楽だった。

人は簡単に変わらないってことは、その学生時代の彼でもう死ぬほど実感したはずなのに、まだどこかで期待している。そんな自分を今日も呪っている。そして多分私が他人を呪うように、私は他人にも呪われている。そうやって成就しない呪いに気力を使いながら、そのうち萎れて死ぬんだろう。

ああ、なんて人生だったんだ!そう思って死ぬのがずっと怖かったけど、なんかもうそれはそれで、なんて最近は感じる。

マグカップいっぱいに注がれていた珈琲ももう無くなる。

煙草の火はとうに消えてしまっている。

私の天秤は箱の中。いつか中身を見る時に、自分の決断を知る。

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