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箱庭の観測者様へ※ネタバレを含みます※

※マーダーミステリー「箱庭の観測者様へ」ネタバレを含みます※
※未通過の方はお読みにならないようお願いいたします※


先日、マーダーミステリー「箱庭の観測者様へ」をプレイさせて頂きました。
すごくすごく思うことがあったので残しておこうと思います。

まず、このシナリオを「私」にやって欲しかったと言ってもらえたことがとても嬉しかった。そして私もすごく楽しめましたありがとう。

今までのマダミスは、確実にキャラクターがあって、そのキャラクターのことを考えてやるのがすごく楽しかった。けど、今回のは訳が違った。キャラクターはあった(私はミドリだった)けれど、それを少しずつ剝がされて引きづり出されて、何とも言えないゾワゾワとした感覚だった。
自分が普段考えていること、どう思いながら生きているのかを言葉にすることって、この歳になるとなかなか無い。それを出来たことがなんだか嬉しかった。それを誰かに聞いてもらえることが恥ずかしいと同時に、なんとも嬉しかった。

「親友と彼氏が崖から落ちそうになっていたらどちらを助ける?」
なんて、学生の頃は友達とワイワイ話したっけ。でも、そんなのお遊びだったと思う。それが実際に起きるなんて、その頃の少女たちは思っても居なかっただろう。今だって実際そんなことが起きている訳では無いけれど、なんとなく、なんとなく、そんなことが現実に起きるかもしれないと思いながら考える【それ】は、心にすごく重たく残る。この物語においての【それ】は、場面こそ違えど同じ温度のような気がした。

「諦めた事を責めるよりも、諦めるまで頑張ったことを褒めたい」
なんて私はプレイ中に言った。今考えたらこれは、私が最後にこの物語の作者である「ハル」に向けた言葉に繋がっていたんだなって思った。
誰だって嫌になることはあるし、何もかも投げ出したくなって、立ち止まりたくなる時はある。それを責めたりする権利なんて誰にも無い。

「シルバーの仕事をどう思う?」の問いは、すごく真っすぐな質問でたじろいでしまった。「ここからは何も生れない」なんて言ったけど、違うね。そこに色々な事を含んだ「ドラマ」が生まれてしまう。それを楽しむ人が居るんだから何も生れないなんて嘘だ。どんな状況だって感情が生まれてドラマは生まれるよなって、今は思う。それが誰かにとって良いものでも、悪いものでも。

シルバーは「自業自得」って言ったのは本当にそう。
刺される覚悟のある奴だけが刺して良いんだよ。そして復讐はある程度続いていってしまう。そんなの、みんな本当は分かってる。そんな中で勇気を持って、覚悟を持って私は「刺す」というカードを人生で持ち続けているし、復讐をすることも、復讐を止めることもできる人間でありたいと思う。すべては無常で、ずっと決まって変わらないことなんて無いんだから。

GMつねまつくんの語り方が本当に優しくて、でもどこか諦めのある声で、最後まで終わって「ああ、そういうことか」と納得した。
「私が殺したのかな?」なんて、聞いたって答えが出てくるわけないの分かっているのに問いかけてしまう。安心したくて。シロやクロを疑いたくなくて。こんな関係性の中で人を疑うことは疲れるし、そんな自分では居たくない。これはこの後に出てくる「理想の自分」に通ずるものがある。

「理想の自分」を柱にして生きること。
それをどれだけ裏切らずに生きていけるか。
これは本当に大事にしているし、これからもそれが揺らぐことは恐らく無いだろうと思う。プレイ中は「ミドリ」として「理想の自分」を話したけれど、現実の私はそんな綺麗な言葉ではまとめられないような理想を掲げている。「嘘をついたり、人を傷つけるような自分ではありたくない」なんて言ったけど、それも嘘では無いけれど、私は私が大切だと思う人を守るためなら「嘘」も「傷つける」ことも厭わない。すべての人を守るなんてことは私には出来ないから。私は私を大切にしてくれる人を守って生きていきたい。

誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ

https://www.uta-net.com/song/18983/

誰かが誰かのために何かをしたら、その何かで他の誰かが傷つくんだ。宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」の歌詞みたいに。戦争は正義の間に起こるんだから。


「独りになってしまった時に、その人との思い出で立っていられる自分でいたいなと思う。」
これは言葉にしたけれどすごく難しくて、正直そんな自信は少しだって無い。けれど、明日にはそうなってしまうかもしれないし逆に私が誰かを独りにしてしまうかもしれない。だから、いつだってそんな風になりたいと思ってる。そんな「理想の自分」を毎日追いかけている。

「僕も自信をつけるように頑張ってみようかな」っていうハルの言葉、最後まで終わってから聞くとすごくすごく物悲しいというか、困った顔で笑っているような表情が目に浮かんで、心がぎゅっとなった。

「掃除の頻度」はまじです。本当に人間として生きていて良いのか?ってくらいズボラです。気分屋です。しないときはしないです。洗濯もしないし掃除もしないです(笑)「好きな食べ物」がまじで男子中学生で自分で笑ってしまう(笑)「えっ、それ全部かい!?」ってなるハル愛おしすぎる。すごく自分の作り上げたキャラクターを愛してくれているんだなって感じがして、優しくって愛おしい。

ハル、ここまで悩みながら私を書いてくれてありがとう。貴方が嫌になってしまったとしても、私たち3人がどうやっても殺しあわなければいけなくても、それでも私はやっぱりハルが好きだよ。

私を生み出してくれて、ありがとう。


ぬいぐるみに関しては感想戦で諸々話をした通りです(笑)

「ミドリ」は弟の病気のために借金を背負ってここに来たってあるから、あの時は気が付かなかったけど、弟のための目的はもう果たしていたんだな。奴隷ってことは、借金というよりも自分を売ったお金を弟のために使ったって感じなのかな。次の目的は「弟に会いたい」だから、ほかの二人を殺さなければそれが成しえないのなら、私のミドリは弟を思いながら死ぬことを選ぶだろう。

「弟のために戦える自分でありたい」
誰かのため、っていうのは所詮自分のため。どちらの自分が好きかですべて決めていい。誰かがどう思うかでは無くて自分がどうしたいか、なんていうのはちゃんと考えれば答えが出る。それをいつか後悔したとしても、それがその時の答えだから。
「親友を殺してでも弟を守る自分でいたいか、それとも弟を見捨てて親友を助ける自分でいたいか。」
言葉にすれば単純明快だけれど、そんな簡単なことじゃないのも分かってる。分かっているからこそ、誰のどの決断だって簡単なものじゃないってわかるからこそ、その人のその選択を誰だって止めることなんて出来ない。それに文句を言うことや、復讐をすることはまたその人の自由。みんな、同じように自由で、勝手に生きていくんだよ。

「犯人は、私かな。」
これは誰も責めたくないっていう諦めがまず出てきてしまいました。だから、ハルが誘導してくれた時も心の中で「やめて」って思ってた。「真相なんて良いよ、だってシルバーは死んだの、私はそれにほっとしたの、誰が殺したとしても、私だったとしてもシロだったとしても関係ない、お願い、もう終わりにしようこの話は」って思ってた。シロはどうなっちゃうの、私がその真相に気が付いてしまったら三人はどうなってしまうの、って。

シルバーが私たちにとって悪魔だったのと同時に、使用人にとっては恩人だった。もうこれは運命としか言いようが無い。逆だったかもしれないし、出会うことすら無かったかもしれない。でも、ここでこうして出会ってしまい、こんな関係になってしまったんだから。
「突き出すのか、庇うのか。」
これだって、言葉にすれば簡単だけれど。未来は当たり前のように見えない。だからこそ人は迷い、希望を持ち、時には絶望する。どうなって欲しいかの目的は見えるのに、そのための道が見えない。ここは単純に悩みました。どうしたら、みんなが笑えるのか。でも、分からないなりに考えた結果、みんなが笑うのは無理だと思った。私自身の人生がそうだったように。だから、私は私の大切な人を守る方に舵を切りました。
結果、うまく切り抜けられなかったけれど。それでも、庇える自分でいられて良かったって、最期もそう思った。


…最後にハルに向けて長々と言葉を紡いだけれど、ここまでのすべてが詰められた、言葉の花束であれただろうか。

ねえハル、何度でも言わせて。
私を、ミドリを書いてくれてありがとう。
貴方は葛藤し、悩み、迷ってきたようだけれど
私はそんな貴方が本当に愛おしいです。
貴方が書いてくれた私たちを、
悩みながら歩んできた軌跡を
私は消してしまうことなんて出来なかった。
これが間違いない正解だなんて思わない。
この決断が貴方を苦しめてしまうかもしれないけれど、
私はそれでも貴方の今までを壊すなんて出来ない。
私のために、みんなのために悩んでくれた貴方が
私は本当に大好きなんです。
例え私たちが死ぬ結末だったとしても、
それでも私は最期まで貴方が大好き。
そんな風に悩んでくれる、ハルが。
ハルの好きにしていいんだよ。
だって私だって勝手に生きてるもん。
ハルはそんなことないって思うかもしれないけど
私はそう思って、今日まで過ごして来たから。
こんな風に悩めるのも、ハルのおかげだから。

貴方に穏やかな日々が、訪れますように。

ミドリ

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