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「シネ・リーブル神戸」と出会えてよかった

神戸での大学生活がいよいよ終わりを告げようとしている。
大学進学ではじめて神戸に住み、山や海と面した土地や歴史ある街並みを介して、さまざまな神戸の良さを享受することができた。

その中でも特に良い刺激を与えてくれた場所が、「シネ・リーブル神戸」である。
ここはテアトルシネマグループが運営している映画館で、いわゆる大衆向けというよりかは、映画好きな人向けの邦画・洋画が上映されている。

大学入学前までの私はあまり映画に明るくなく、メディア等で大々的に宣伝されている映画しか観に行ったことがなかった。
しかし、ある日X(旧Twitter)で、「『ドライブ・マイ・カー』という映画が良い」というようなポストを見て、原作が村上春樹であること、キービジュアルの美しさ、人間の深層を探るようなあらすじと車がどのように関連するのか、など気になる点が多かったので思い切って観に行くことにした。

そしてこの映画が上映されているいちばん近くの映画館が「シネ・リーブル神戸」だった。これが私とシネ・リーブル神戸の出会いである。

Googleマップを見ながら辿り着いたとき、まず私はその建物の美しさに圧倒された。どう見ても美術館のような出立ちで、「これは本当に映画館なのか、、、?」と目を疑った。

「シネ・リーブル神戸」がある建物。立派すぎる。



さらにシアターは地下にあるため、階段を下っていくのだが、一段下るたびに地上の音が消えていき、その薄暗さと赤いカーペットの重厚感が私を映画の世界へどんどん引き込んでいく。胸の高鳴りを感じずにはいられない。

まず下りたら上映中・上映予定の映画のチラシが並んでいる。そのチラシのラインナップは私にとっては見たことないものばかりだったが、なにかとてつもない魅力を感じた。こだわりをもって、上映作品を選んでいることが伝わってくる。売店の隣には、おすすめの上映作品の魅力を語る展示があり、映画への愛が溢れんばかりに詰まっている。

チケットを発券して座席に着き、「ドライブ・マイ・カー」を観た。ストーリーはもちろんのこと、ドライブによって移り変わる風景や環境音がとても美しくて心惹かれた。白・青・灰色が折り混ざった曇り空の色が忘れられない。また、映画そのものだけでなく、周りのお客さんが映画の見方を心得ている方ばかりだったため、まるで自分だけがこの映画を観ているかのように没入することができた環境も良かった。

とても上質で印象に残った映画体験で、このような体験ができる映画館があったのかと感動し、「シネ・リーブル神戸」が一気に大好きな映画館となった。

またその後、「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞にノミネートされたことを知ったときは、この映画を観たことをとても誇らしく思った。


次にシネ・リーブル神戸を訪れたのは、「PERFECT DAYS」の鑑賞だった。

「PERFECT DAYS」を見に行った時のシネ・リーブル神戸



こちらは、主演の役所広司さんの作品が観たいと思って調べた時に出会った映画だ。上映されている映画館を調べて「シネ・リーブル神戸」という文字が見えたときに、心が躍った記憶がある。

「PERFECT DAYS」も素晴らしい映画だった。見栄やプライドにとらわれず、自分のお気に入りや日々の変化を大切にし、自分や他人の感情と真摯に向き合う主人公の生き方がとても好きだ。

また、トイレ清掃に向かう早朝の澄んだ空気や、主人公が車内で聴くカセットテープの音楽も直接自分自身に飛び込んできて、まさに「こんなふうに生きていけたなら」というキャッチコピーがぴったりな映画だった。

映画は人の心を大きく動かし、理想の生き方と向き合う機会をくれる。
そしてそういった映画と出会わせてくれたり、魅力を最大限に引き出してくれたのが、「シネ・リーブル神戸」だった。

私はこの春に神戸を離れることになる。
またこの先も、素晴らしい映画館と出会えるように、自分の感性を鈍らせないようにしていきたい。




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