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【ネタバレ有】機動戦士ガンダム SEED FREEDOMを観て理解したこと。

 この投稿には、ネタバレが多数含まれています。未視聴の方は、ぜひ視聴後にお目を通していただければ幸いです。
 また、筆者は本作を一度観ただけであり、TV放映版のSEED、SEED DESTINYは視聴したものの、小説などの媒体には手を出していません。そのため、詳しい方からすれば「それは違うよ!」と思うところもあるかもしれません。そういった場合にはコメント等でご指摘もらえたら嬉しいです。
 それから、この投稿は前回『【ネタバレ有】機動戦士ガンダム SEED FREEDOMを観て首を傾げたこと。』の続きです。

 では、以下…

 ネタバレあります!

 ネタバレあります!!

 ネタバレあります!!!

 ということで、書き連ねていきます。


1. DESTINYからの宿題

 DESTINY最終話、デュランダルと相対したキラは「覚悟はある。僕は戦う」と宣言しました。
 デスティニープランを否定し、世界が戦争のない世界から遠ざかるとしても、平和を目指して戦う。立派な意志ですが、キラはデュランダルを撃てませんでした。実際にデュランダルを撃ったのはレイです。
 もちろん、レイが早かっただけで、レイが撃たなければキラが撃ったかもしれません。でもキラは遅かった、とも言える。覚悟はあると言いつつも、自らの手で意識的にデュランダルの命を奪うことに、「レイより撃つのが遅れるくらいには」躊躇いがあった、と見るべきでしょう。

 そして、本作ラストでキラは明確に、オルフェを討ちました。キラやラクスの「想いの自由」を邪魔するなら殺してでも排除する、その決意を示したと言っていい。
 これは「宣言しただけで行動に移せなかった」キラが積み残してきた「宿題」を片付けた、とも言えるでしょう。

2. その結果の世界

 スーパーコーディネイターであるキラと、コーディネイターを超えたアコードで世界を統べるスペックのラクス。この2名でも、オルフェを殺す以外の結末を導けなかった。
 かつてデュランダルに「変わっていける」と宣言したキラは、オルフェが「変わっていくかもしれない未来」を消すしかなかった。と言える。
 同様に「想いだけでも力だけでもダメ」と宣言したラクス。想いと力の双方を得たキラ&ラクスでも、オルフェに未来を残せなかった。
 これによって「SEED世界は今後も争いが続く」ことを明示した、と言ってもいいでしょう。本作で描かれたのは「平和への道筋」ではなく「戦火の絶えない世界でどう生きるか」なのだと。そしてキラ&ラクスは自分たちの愛を貫くと決めました。
 キラを「傲慢だ」と評したデュランダルの言い分は、やはり正しかったのでは…?

 もっとも、本作のENDを迎えた後のキラなら、言うかもしれない。
「そう、僕『も』傲慢だ」
 と。

3. ナチュラルが選ぶ道

 ラクスを「愛する自由」のためなら殺人もやむなし。
 物語の主人公として、その覚悟やよし。と言ってもいいかもしれません。しかしここにラクスの「想いだけでも力だけでも」を重ねると、どうにも不穏。

 キラとラクスは、想いと力の双方を持って、オルフェを討ち、障害を排除しました。序盤に勝てなかったボスを相手に、ヒーローが逆転勝利する。ヒロイックサーガとして王道です。
 が。彼らが示したのは「愛する強い想いと、敵に打ち破る力」です。想いはいい。でも力は?

 この結末によって「どれだけ愛しても力が伴わなければ結ばれない」ことを明示しました。
 大半のナチュラルは、コーディネイター相手に勝つことはほぼ無理。つまり恋愛の自由を尊びながらも、「ナチュラルの恋愛なんてコーディネイターが本気出したら潰される。『想い』だけで、『力』が伴わないからね!」とはっきり表現したとも言えます。
 ラクスは「愛しているから必要」と言いました。その必要なものを奪われない「力」も必要だということ。

 これはひどく現実的、リアルです。どんなに素晴らしい理想も、叶える力がなければ結果を出せない。実にその通り。
 でもその「正論」をぶつけて、ナチュラルはどう感じるか。コーディネイターともめたら勝てない、大切なものだって奪われるなら、コーディネイターとはいっそ関わりたくない。そう思ってしまうのも無理はないでしょう。
 キラたちが選んだものは、ナチュラルとコーディネイターの融和ではなく、むしろその反対方向に背中を押すものだった。と、思うこともできてしまうわけです。

 デスティニープランだったら? もしデスティニープランなら「君の遺伝子では勝てない。だから最初からこちらのグループに入り、向こうと接点を持たずに暮らしたまえ」と適切な場所を与えられるかもしれません。優しい世界です。出会えば愛してしまうかもしれない人物と、最初から会わなければ、失う痛みなどないのだから。
 弱者に優しい夢のようなデスティニープランと、想いを叶えられる強者が幸せを享受するリアルな現実。
「皆が選ぶのはどちらだろうね?」

まとめ

 表面上は、主人公側が序盤の敗北に対し、リベンジとばかりに爽快なバトルで敵を打ち倒す、ヒロイックバトルアクションアニメ。でもその裏側に流れているのは、やけにリアルで世知辛い、力あってこその正義と言わんばかりの現実でした。
 もし「次」があるのなら。そのときは、スーパーコーディネイターどころか一般のコーディネイターにも勝てないような「想いだけで力のない」ナチュラルを主人公にした、そんな人物が選ぶ生き方…みたいなの観たいですね。

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