満天の星空!

何年前かな…
50年くらい前の事です。(古ッ!!(笑))
我が家は年に1度だけ、夏に千葉の御宿や勝浦の海に2泊3日で海水浴に出かけました。
父と兄と私
そして後妻と腹違いの妹の5人で。
夏休みの宿題の絵日記の題材のために、
一度くらいどこかに連れて行かないと
と父が良く言ってました。

正直、御宿だったか勝浦だったか、小学生の私には記憶にありません。
ただその年は、宿泊先の民宿に高校生くらいのお姉さんがアルバイトとして働いていました。

父は誰にでもすぐに声を掛けます。
レストランのウエイトレスでも、居酒屋の店員でも。
それも女子ばかり。
私は幼心にとても恥ずかしかったことを覚えています。

その父が夕飯の後、案の定、そのアルバイトのお姉さんたちに
「この後花火をやるから、良かったら一緒においでよ」
と声を掛けました。
普段なら恥ずかしい私ですが、でも今回は私の心の中で
「パパ良くやった!偉いぞ!!」

家族だけだと、継母の意地悪が目に見えたからです。
絶対に妹優先だし、私には花火をくれません。
実の娘が可愛いのは理解できます。
でも兄は男の子なので意地悪はされません。
私だけ…いつも私だけ…。
そんな毎日でした。
でも第三者がいると一転、いい人になるのです。

アルバイトのお姉さんが一緒に行ってくれたら、私も楽しめるのです。

そして海岸でたくさんの花火をしました。
お姉さんの側で、たくさん楽しみました。

花火が終わると、海岸は真っ暗です。
お姉さんが砂浜に座って
「空を見てごらん」
とそっと教えてくれました。
私はそっと夜空を見上げました。

私は言葉が出ませんでした。

夜空には満天の星が輝いていました。
その無数の星に襲われるのではないかと怖ささえ感じました。
でも怖さは薄れ、感動で胸がいっぱいになったのを今でも覚えています。
無数の星なんて、街に住む私にはなかなか体験できません。

そしてそのまま星を眺めながら眠ってしまったようで、気が付けば宿の布団の中でした。

十数年後、大人になり友人たちと海岸を訪れてみましたが、文明の発達のせいでしょうか、空が明るくあの時のような満天の星は見ることが出来ませんでした。

今では東京の空は一晩中明るく、金星など明るい星を探すのが精一杯です。

あの波の音と満天の星空をもう一度体験したい…。

#わたしと海

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