生命の讃美歌
月下美人の白さに呼応するように白い光を放つ三日月。
2つは淡く光りながら。
自分たちが満ち足りていくこと。やがて、欠けていく
渦の中にいることを知っていた。
喪われていくもの。生まれていくもの。
渦の中に溺れる人の微かなつぶやきに
風にそよいだ月下美人が頷くように。
地球の人は
月を見て、「あそこに行くんだ」
そう願いをもった。
人々は繋ぎあい、その夢の果てにたどり着く。
夢のかけら……月の石と呼ばれる人は
それを手にしても、更に月を知りたいと思い、
次の夢を継いでゆく。
地球と月の引力は、
人の夢には無関心だけど、
裏切りもしないから
人に信じられている。
月に対して知らないことが多い人は
寄り添いたいと思っている。
昔、月の姫に恋をした男のように。
空に浮かぶ三日月。湖に浮かぶ水月に祈る動物たち。
動物たちもまた夢を見ている。
あの輝く惑星は
生命を祝福するような雫を
慈しみの涙を雨として降らすのだと
いずれ隠れてしまう月にも
また姿を現すと信じて。
月はきっと見捨てない。
人も、動物も
月に讃美歌を紡ぐように月を見る。
月下美人は指揮者として
世界を白く染め、その香りで包む。
流星群の瞬きに
今だけはすべての命ひとつにして。
【後書き】
今回はULTRACELLさんと
願い花さんとのコラボお題。
いつも素敵な詩を書いているULTRACELLさんですが、
いつもと気合の入り方が違うような……。
いや、別にいつもが気合入っていない訳ではないけれど。
ちょっと、これを140字以内では返せないということで
noteを使います。
文量が熱量とイコールな訳でないけれど、
同量の文量で答えるというのも返詩の姿勢の一つとして
間違ってはいないはず!
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