自分を語る記事が読まれない理由
一生懸命書いても読まれなかったブログ記事
僕がビジネス雑誌の編集長をしていた時の話である。月刊誌だったため、読者との接点を増やそうと思い、毎週、編集長ブログを書いていた。内容は、その週に出会った人との会話や、雑誌を作りながら考えた経営マターについてなどであり、固定読者もついてそこそこ人気のコンテンツとなった。中でも、読んで面白かった本の記事がよく読まれ、紹介した本の著者や出版社からお礼を言われることも度々あった。
このブログでは、雑誌の発売に合わせ、月に一度は、自分の雑誌の内容紹介をしていた。制作の裏話も含めて、僕らがこんな想いで最新号を作ったので、是非読んでほしいと言う内容である。
ところがである。この月に一度の「自分の雑誌の最新号」についてのブログは、毎回ページビューが伸びないのだ。読者は少ならずこの雑誌に興味を持ってくれているはずなのに、その雑誌の内容について書くと読む人が少なくなる。こちらとしては、一生懸命作った雑誌について書いているのであり、最も読んでもらいたい記事なのだが、その想いと反比例するかのように、決定的に読まれない。友だちだと思っていた読者が、実はそんなに親しい間柄ではなかったのではないかと疑心暗鬼にすらなってしまった。
他者の本の紹介は読まれるのに、自分の雑誌の紹介は読まれない。なんでだろう。何度か書き方を変えてみたのだが、結果はあまり変わらなかった。
その時思ったのが、「自分を語るより、他者を語るほうが面白い」ということだ。自分で自分を語ると、よほど客観視できない限り、自画自賛になったり自意識過剰になったりする。自分を語る自分に夢中になるあまり、読み手を置いてきぼりにしていたのではないか。
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