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春のはじめの日光浴

バルコニーにデッキチェアかキャンプチェアが欲しい。
冬季、自宅の室内には日光が届かないけど、バルコニーにはほどよく陽だまりができる。部屋に座っていると寒くてエアコンかストーブを点けたくなるほどなのに、バルコニーに出ると驚くほど暖かかったりする。

これはもう、日光浴だな。

そう思い立って意気揚々と掃き出し窓から外に出るのだけど、なにせ座る場所がない。
人目につきづらい場所とはいえ、手すりにもたれて身体を乗り出せば通りから丸見えになるし、だからといってその場で木のように佇んでいるのも居心地がよくない。
結局、エアコンの室外機に腰を下ろして足をブラブラさせつつ、ボーっとすることになる。

日光浴は好きだ。特にちょうど今時分の、日差しの力が風の冷たさと拮抗する頃の日光浴。
陽の光を浴びるためだけにおもてに出るだなんて、よく考えると不思議だ。
仕事をするようになって、平日は毎日のようにおもてに出る。晴れていればどんなに寒くても日光を浴びるし、電車やバスの車窓から差し込む陽の光に目をすがめることだって当たり前にあるのに。
そういう“ついで”ではなく、日光を摂取するために日光が当たる場所に出るのだ。
酔狂というか、贅沢というか。
実際、思うさま日光浴ができる時期なんて今くらいだ。
真冬は日光よりも風の冷たさが勝るからとてもおもてでボーっとなんてできないし、夏はむしろ日光を避けなければ危険だし。
日光浴も季節モノなのかもしれない。初ガツオとか、春の山菜とか、そういうやつ。
いずれにせよ、遠巻きに弱々しく眠たげだった陽の光が力を取り戻していくのを全身で浴びるのは気分がいい。冬が終わるんだなという、ちょっとウキウキするような、漫ろな気持ちになる。

以前住んでいた場所では、綺麗に整備されたこぢんまりした用水路沿いに桜がずーっと植わっていて、その脇に等間隔でベンチが設えられていた。
クルマが入ってこない通りで、日当たりがよかったので、春になるとベンチに腰かけてくつろいでいるひと達や、お弁当を広げるひと達をよく見た。
ぜひ同じようにあのベンチに座ってボーっとしてみたいと思いつつ、ひとりでチャレンジする勇気がないまま、引っ越してしまった。

ひとり暮らしの賃貸アパートでは、ベランダやバルコニーの広さもたかが知れている。しかし今住んでいるアパートのバルコニーは、例外的にちょっとだけ広さがあるのだ。
そこにデッキチェアかキャンプチェアを置いて、好きなだけボーっとしたいと、去年から考えている。
去年はぼんやり考えているうちにタイミングを逃したから、今年こそは手に入れたい。
1.背もたれがきちんとあって、
2.座面がほどよく大きくて、
3.手頃な価格で、
4.使わない時は折りたたんでおけるやつ。
というのが理想だ。
今年こそはいいのが見つかるといいな。

ちなみに今日の記事は、室外機の上に座り込んで日光浴しながら書いている。
まさに今、洗濯物がはためく様子を眺めたり、買ったばかりの本を読んだり、コーヒーを飲んだりしながら、冬と春が引き継ぎしている最中の陽の光を、これでもかと浴びているところだ。

ちょっとお腹がすいたから遅めの昼ごはんにラーメンでも作ろうかな。
さすがに、ごはんはバルコニーで食べませんが…
でもそうか、ピクニックみたいにお弁当を広げるならアリかもしれない。
チェアを買ったらやってみようかな。


今日はこんなところ。
では、また。

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