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夏の準備室・特別編! 葉落々のゾゾッとする話!

ある夜のこと。なんか寝付けなくて、冷たいものを飲みたいな、と思いました。同居人を起こさないよう、電気も点けずに冷蔵庫へ向います。その時……!

プチィッ。

ブドウを一粒踏んづけてしまいました。巨峰よりも少し小さめの一粒。シャインマスカットみたいにパリッと張りはなく、デラウェアよりは厚みがある感触。
でも、ブドウなんて食べたっけ? ルームメイトの茜の奴め。私に内緒でブドウ食ったな。私を差し置いて独り占めするなんて。明日きっちり追及してやらないとな。暗闇のキッチンで冷蔵庫の麦茶を一口。そうだ。冷蔵庫にブドウを隠してやいないかチェックしないと。……ないな。茜め、全部食べちゃったか。

ふと冷蔵庫から漏れる灯りでさっき踏んづけたブドウを確認してみました。巨峰? シャインマスカット? デラウェア?
そこで見たものは、無惨に◯れてお亡くなりになった御カマドウマ様でした。四方の栄養豊富な山で育ったたっぷりと肥えた御カマドウマ様の踏み心地は、まるでジューシーな巨峰のよう。

ハイ! やって来ました『準備室・夏の特別編! 葉落々のゾゾッとする話!』です…!

月見葉落々

暑い夏! と来ればやっぱり怖い話! 案内人である私、月見葉落々が実際に体験した背筋がゾゾッと来るお話を紹介します!

あれは高校生の頃です。PCを自由に使えるコンピュータルームって、学校サーバも設置してあるので特に空調が効いていて涼しく快適ですよね。
とある女子生徒がコンピュータルームで調べ物しつつ勉強をしていました。その日は珍しくルーム使用者は彼女一人で、低周波音がかすかに響く室内で作業していました。少し冷房が効き過ぎて寒いかな。今日はもう切り上げて帰ろう。と、律儀にもPCをシャットダウンして荷物をまとめます。

ふと彼女は気付きました。シャットダウンが遅い?

そして誰もいないはずのコンピュータルームに異音が響きます。背後のプリンタです。一枚の用紙を吐き出しています。彼女がその紙を摘み上げて見てみれば……。

『すぐに消せ』

吐き出されるプリント用紙は一枚だけじゃありませんでした。次から次に、真っ赤な文字がプリントされた紙が滑り出てきます。

『すぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せすぐに消せ』

彼女はプリント用紙をその場に投げ捨てて逃げるようにコンピュータルームから出て行きました。

ハイ! ここまでは学校七不思議としてよくある話ですよね! 問題はここからです。実はPCにイタズラしたのはこの私、月見葉落々でした。PCをいじってるとだんだんハッカー気取りになってきますよね?(私だけ?)

OSのシステムファイルに細工してみました。生徒はみんなスリープにして正規の終了手続きを踏まない子ばっかりで、私はそこを狙いました。シャットダウンを選ぶと赤い文字がディスプレイに表示され、プリンタへデータ送信。何かキー入力しない限りプリンタは赤い文字を吐き出し続けるってイタズラです。

被害者である彼女が真面目過ぎた。それが問題でした。彼女は律儀にも学校側に報告し、何かしらの怪異が発生していると事を大きく膨らましてしまいました。

問題解決のチームが結成され、コンピュータルームの管理先生が犯人探しを始めます。もうね、ゾゾッとしました。そりゃあもう。ただのイタズラのはずが、学校も巻き込んでの大問題です。

容疑者であるコンピュータルーム使用者を全員呼び集めて、堅物でお馴染みの先生は冷静沈着に言いました。

「書き加えられたソースコードにはある特徴があった。犯人のクセのようなものだ」

これは、バレている? いや、先生のブラフか?

「ここにいる全員にコードを書いてもらう。何も犯人を晒し上げようというわけではない」

先生は死刑宣告をするように抑揚のない声で言いました。

「私が直々にその悪いクセを矯正してあげよう」

もうね、背筋がゾゾッとしました。

ハイ! こちらは『スタッフブログ 葉落々の準備室』です!
というわけで今回も新作ビジュアルノベル『ヒバリでなくナイチンゲールでもなく』より登場人物をさくっと紹介!

夕霧 驟雨(ユウギリ シュウウ)
CV:古賀 薫
四方大學社会学部心理学科 教授

四方大學に籍を置く社会学部心理学科教授。
厳しい指導で定評のある人物であり、理路整然とした物言いで、學生たちには堅物のサムライとも呼ばれている。その厳格さは私生活や家族にも及ぶ。
學生の頃は体制側だったものの、どこか懐疑的であった過去を持つ。

四方大學の教授陣にも一目置かれている有力な教授で、この私を追い詰めて背筋をゾゾッとさせてくれた先生のように理詰めで退路を経ってゆっくりと始末するような強者です。

夕霧って、素敵な苗字ですね! ん? 夕霧?

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