「カリスマCEOから落ち武者になった男 カルロス・ゴーン事件の真相」(ニック コストフ他)

https://www.amazon.co.jp/dp/B0C694PZ7K/ref=docs-os-doi_0

カルロス・ゴーンの生い立ちからあの脱出事件を描いた一冊。ゴーンが行った仕事ぶりには一切触れず、事件に関することのみが書かれているので、要注意。それだけでも十分面白い内容にはなっているが。
なので、ゴーンが成し遂げた事については別の本を当たった方が良い。ゴーンがどういう人間で、あの事件の前後に何が起こったのか読むには適した内容だと思います。

また、ゴーンがなぜあのような不正に関わる事になったのか、その背景についても詳しくは語られていない。ゴーンの強烈な上昇志向と、成功を手にした後の腐敗ぶりには驚き、少々幻滅もした。
結局は権力というのは人を腐らせるという事なのだろうか。。

主要人物の現在は、必ずしもハッピーではない。ゴーン夫妻はICPOから国際手配されてレバノンから一生出られないし、見捨てられた部下は東京の刑務所で服役している。
更に、脱出作戦を実行した親子は米国から日本に身柄を引き渡され、彼らもまた刑務所で服役している。日本としてもあれだけのニュースになった事態を見過ごす事はできず、面子にかけても極めて厳しい態度を取る必要があったと推測される。

さて、事件の「被害者」となった日産とルノーだが、現時点ではその株価も事件以降下げ止まったままである。折しもガソリン車からEVへの変化が加速してこれまで以上に困難な局面を迎えている両社だが、この状況で必要となる強力なリーダーは残念ながら見当たらない。
今こそゴーンのようなカリスマ性と手腕を合わせ持った人物の登場が期待される所だが。。

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