響木アオ「スタートの合図」が拓く世界
響木アオというVtuberがいる。
2018年2月14日にYouTubeへ自己紹介動画を投稿し、「みんなと響き合いたい」というコンセプトのもと、様々な活動を行ってきた。そんな彼女が、avexから歌手/作詞作曲家としてデビューし、最初に発表した楽曲が、この「スタートの合図」である。
まずは聴いてみてほしい。そして、この曲がどんな曲なのかという個人的な解釈を、つらつらと述べてゆこうと思う。
響木アオの「スタートの合図」
この曲を聴いて、どんな印象を抱いただろうか。アップテンポで軽快な音楽に乗せ、「今走り出そう スタートライン」と歌い上げる。新しいことへ挑戦する人を勇気づけ、背中を押す。そんな力強い応援歌といった印象を受ける。そして、先述したとおり、この曲は響木アオがavexからデビューして最初に発表した楽曲である。であるならば、この「新しいことへ挑戦する人」へ、響木アオ自身を重ねることも十分可能であろう。実際、「スタートの合図」MVの投稿者コメントには、次のように書かれている。
アイドル／作詞作曲家としてavexからデビューを発表した響木アオの今の気持ちを詰め込んだ新曲「スタートの合図」。《今走り出そう スタートライン》という歌詞からも、このデビューがゴールではなく、スタートであることへの決意が込められている！
響木アオが、これまでの活動の中で、数多くのオリジナル楽曲をつくってきたことは特筆すべきだろう。
「作詞作曲・響木アオ」の楽曲を歌い、数々のライブイベントを成功させ、クラウドファンディングによる全国ツアーまでも達成してきた。
そんな彼女が、avexからデビューした。それも、歌手としてだけでなく、作詞作曲家としても契約を結ぶ、異例のWデビューとしてである。
これまで築き上げてきた、アーティストとして、クリエイターとしての「響木アオ」が挑むavexという新たなステージ。そこで「スタートの合図」を歌う彼女の姿はきっと、夢へ向かって挑戦し続ける人の心と響き合うだろう。
もうひとつの「スタートの合図」
響木アオの活動のなかで、もう一つ特筆すべき点を挙げたい。それは、
「活動範囲を、Vtuber界隈から拡張していった事」である。
響木アオが活動を開始したのは、YouTubeからである。YouTubeで100日間、毎日動画を投稿しては「また明日！」と言って、明日の響木アオの動画を楽しみに待つ人を増やしていった。
そして4月21日、TSUTAYA三軒茶屋店にて、リアルライブイベントを開催。
Vtuberによる音楽ライブは、これが世界初と思われる。Vtuberがファンの目の前で歌い、声援に応えるという、世界のどこにも前例のない体験を提供したのである。
その後、YouTubeへの動画投稿を続けながらも、クラウドファンディングで資金を集め全国ツアーを実施。
京都、札幌、仙台、熊本、名古屋、東京の全国六か所へ直接赴き、より多くの人と言葉を交わし、歌を届けた。
さらにラジオ関西での地上波冠番組「響木アオを応援するラジオ」がスタートした。
ゲストはVtuberに留まらず、アイドルや声優、女優など多岐にわたる。
こうして、響木アオは少しずつ、しかし着実に、たくさんの人々と響き合っていった。
そして、それは同時に、「バーチャルなアイドル」という概念を、世界へ浸透させていく行為に他ならない。
それまで誰も見たことのなかった、バーチャルアイドルという存在が
世界の中に、確かに居るということを、少しずつ知らしめていったのである。
そして8月23日、渋谷スクランブル交差点の大型モニターに「響木アオ avexデビュー」の一報が踊った。
レコード会社avexに、バーチャルタレントが所属した瞬間である。
それを踏まえて、「スタートの合図」をもう一度聞いてみてほしい。
「思い切り踏み出した世界で、恐れずに進めばいい。君は一人じゃない。私がいるよ」
その言葉は、誰に向けられたものだろうか。
これから先、バーチャルタレントは様々な分野で、きっと増えてゆくだろうと思う。バーチャルというものを知らない市場へ、知らない人たちへ、才能や魅力を売り込んでゆくという、険しい道を歩む者達がいる。
しかし、未来のバーチャルアイドルたちよ。恐れずに進めばいい。君は一人ではない。
バーチャルアイドルという概念を、世界へ広げていった、響木アオという先達がいるのだから。
そんな、頼もしい解釈をしたくなる曲。それが「スタートの合図」である。
まとめ
長くなってしまったので、このあたりでまとめようと思う。
この曲「スタートの合図」は
響木アオが新たなステージへ挑むスタートの合図であり
「バーチャルアイドル」という概念が、世界に拡がってゆくスタートの合図でもある。
みんなと響き合う、バーチャルアイドル、響木アオ。
そこには、世界を変えてゆく最前線の景色がある。
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