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食品ノート:玉ねぎ麹と栄養

玉ねぎ麹が大変美味しくて良い。

だからと言ってすぐに「栄養的にも優れていて“体に良い”」と結び付けるかと言うと…それはどうかな?

玉ねぎは“栄養素”で言うと、正直大したこと無い。

文部科学省食品成分データベースhttps://fooddb.mext.go.jp/history.plより

“栄養素”以外の成分で取り立てて言われるのは「アリシン」「ケルセチン」「フラクトオリゴ糖」あたり。

アリシンはビタミンB1の吸収促進は良いとして、生活習慣病予防などに関しては“言い過ぎ”感がある。

ケルセチンは吸収率の問題がある。

で、近年話題は「腸活」と相まってフラクトオリゴ糖よ。
フラクトオリゴ糖は小腸の消化酵素で分解されずに大腸に到達し、腸内フローラに代謝される「プレバイオティクス」の一種。
腸内細菌の餌となり、ビフィズス菌優位のいわゆる良好な腸内環境に貢献する。
他に、代謝産物である短鎖脂肪酸の働きが期待できる。
短鎖脂肪酸は、pHを低下させて腸内環境を良好に(不都合な菌の繁殖を抑制)するのに加え、ミネラルの吸収を促進する。
また短鎖脂肪酸自体が腸のエネルギーとして利用されたり、免疫にも働きかける。

ので、フラクトオリゴ糖は食べるに越したことは無いのだが…

問題は量よ。

言ってもフラクトオリゴ糖は食品成分であり、医薬品とは違って“効果”に対する用法・用量などは無いのだが、期待される効果を得るための目安は知りたい。

で、「明治フードマテリア」さんのサイトでフラクトオリゴ糖の記載を見ると…
「腸内フローラの改善」摂取目安量:1g/日
「お腹の調子を整える ミネラルの吸収促進」摂取目安量:3g/日
だそうで…
3gは玉ねぎ6.5個分の含有量に当たるそうだ。

でさぁ…
玉ねぎ麹で使うタマネギの量と、料理で使う玉ねぎ麹の量を考えると、フラクトオリゴ糖の効果得るのって無理があるのよ。

だいたいのレシピで玉ねぎ200g程度、麹100gくらい、塩分9-10%とかで組まれててる。
で、調味の塩分%って0.8-0.9%とかでしょ?
200mlのスープに2gの玉ねぎ麹として、タマネギ量は1.2gとかよね?
全然摂れんのよ。

“効果”を期待するならタマネギを食べた方が良い。
量が物を言うので。
スープや焼き物、サラダにしても50gや100gは楽に食べるでしょ?

じゃあ「玉ねぎ麹を食べる価値って無いのか?」って…
あるよ!
美味しいじゃん!
肉とかに塗っとくと軟らかくなるし。

「食べ物の価値」を栄養に、ましてや効果なんぞに、引っ張られ“過ぎる”のは良くないのよ。
「美味しいから食べる」で良いのよ。

「美味しい」ということは、それだけで間違いなく大きな価値。
加えて、美味しく食べられることで食事の量を確保できるなら、総量としての栄養摂取量の増加に繋がる。
その食品自体に栄養的な価値が低くても、料理あるいは献立として上げられるなら栄養的な価値も大きい。

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