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【ルフィの夢の果てとは】piece.03〜「世界の王になる」がルフィの夢ではない理由〜

当noteの考察内容は、コミックス派へのネタバレは含まれませんので、安心して下さい。
もしも、このnote内にネタバレがあるとすれば、それは私の考察が当たっていた時です。
その時は、ごめんなさい。


本題の前に、是非とも読んでいただきたい元海賊王の右腕「レイリー」の言葉があります。


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つまり、先に"ルフィの夢の果て"の答えを言ってしまうのは簡単なことですが、このnoteをpiece.00〜09まで読み"繋ぐ"という「旅」をすることで答えの捉え方が変わるということです。

このnoteに触れながら、ONE PIECEという物語全体をゆっくり見渡すと、"ルフィの夢の果て"を勘違いしないで受け止めることができるはずです。

いま言えるのは、謎が解けた私にとってレイリーの言葉は非常に奥深い意味を持っていると言うことです。

勿体ぶって本当に申し訳ない。最果て(final piece)までどうかお付き合いください。

それでは、本題に入ります。


「海賊王」と「世界の王」は別物

ルフィの名ゼリフと言えば、

「海賊王に、俺はなる!!」

ですよね。

この「海賊王」と言うモノに対するルフィの認識が表されているシーンがあります。

ドレスローザ王国での激闘の後に、共闘したことをキッカケに「子分になりたい」と申し出る大勢の猛者達を前にルフィは言います。 

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ルフィ「偉くなりてェわねじゃねェ!!!」

と言うなら、善悪関係なく偉い人の象徴の一つ「王様」にもなりたくは無いという可能性があるかもしれません。これはつまり、「海賊王」と「王様」は別物だとルフィが思っているヒントになります。

ここからは、これを元に私が紐解いた説を展開していきます。

私は初め「ルフィの夢は、世界の王になること」と聞いて、


「確かに、ルフィならそんな大望を抱きそう」


と思いました。また、


「そうか、最終地点の『ラフテル』に辿り着いて、海賊王になって、敵対する世界政府さえ倒せば...世界の王だ。」


こんな事も思いました。

確かに、今まで物語を通して描かれてきたONE PIECEの世界の"表面的な"対立構図は、


海賊  vs  世界政府


であり、世界政府を倒せば「海賊が統べる世界がやってくる、その王である海賊王=世界の王」と、分かりやすく完結しそうなものですが、
ONE PIECEという話のシナリオが悪役をただぶっ飛ばしてお終い、となっていない事は今まで作品に触れたことがある人なら、お分かりになるのではないでしょうか。

そこには複雑な人間模様を描いたドラマチックな展開があり、読者の感情移入を誘い、心を揺さぶる結末がいつも待っています。

そこで私は、この壮大な物語の最後の最後に用意されている結末が「ただ世界の王になる」というのは、少し薄いのではないかという仮説を立てました。

しかし、同時に次の疑問も残りました。


「悪を一掃して『支配なんてしねェ』と言っているルフィが世界の王になれば、自由と平等の国が出来るのではないか。」


ですが、これも次の根拠から間違っていると気付きました。

ONE PIECEは「海賊」が主人公の漫画ですので見落としがちですが、その世界には海賊でない暮らしを営む人達もいます。(一旦、海賊でないその人達を総称して「一般市民」とします。)

そして、作中では海賊よりも一般市民の方が圧倒的に多くいるように描かれており、その中には海賊というモノに恨みを持っている人もいます。

また、海賊王になるのはルフィの個人的な夢であって、ルフィを知らない一般市民にしてみれば、「ルフィに海賊王になって欲しい」と願っている人はいないはずです。

そう言った世界において、海賊王になって悪を一掃したからと言って、ルフィは本当に「王」として崇められ尊敬や信頼をされる存在になれるでしょうか。

私は、難しいのではないかと思います。今まで多くの一般市民の人助けをしたルフィでも。

そもそも一般市民は、世界政府の名の下に正義を貫く海軍によって、海賊から自分達の生活を守られています。

その世界政府をぶっ飛ばした海賊..........


はい、前代未聞の大悪党の誕生です。


以上の事から、"「海賊王」と「世界の王」は別物"であるということをまずは頭に入れておいてください。


「ルフィの性格」を振り返る

piece.01〜ルフィの性格〜を読んでいただいているかと思いますが、一応その内容をおさらいしてみましょう。

・仲間や友達を大切にする
・単細胞
・嘘がつけない
・自由を求め、支配を嫌う
・子供っぽくてピュア
・決して偉ぶらない
・肉!!宴!!

この中にルフィが「世界の王になりたいわけじゃない」と言う事を分かりやすく裏付けるためにピックアップしたいのが、

・決して偉ぶらない
・自由を求め、支配を嫌う

という2項目。

冒頭で紹介したように、ルフィは「偉くなりてェわけじゃねェ」と言っている上に、どれほどの強敵を倒して国や人を救ったとしても決して偉ぶることはありませんでした。

そのルフィが物語の最後に偉い人の象徴である「世界の王」になったとします。

支配は嫌いなので、その様な政治は行わないでしょう。ですので、人々が自由で平等に暮らせるように差別や偏見をなくして.........


「ん?政治?」


最もルフィには似合わない言葉の一つではないでしょうか。

つまり、ルフィが王様になることで世界をどうこう変えたいというのは、やはり性格と結びつかないと思うのです。

ここでルフィの旅のはじまりを思い出してみてください。
第一話で幼少期のルフィは、赤髪のシャンクス率いる赤髪海賊団の陽気で屈強な男達に憧れ、その彼らと別れる際に「この一味にも負けないくらいの"仲間"を集めて海賊王になってやる!!」と誓い、その心意気を受け止めたシャンクスから大切な麦わら帽子を託されました。


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シャンクス「いつかきっと返しに来い、立派な海になってな」


ピュアで単純なルフィです。この約束は、何がなんでも果たすと思いますが、"自由"で気ままに海賊を楽しむ赤髪海賊団を見て育ったルフィが海賊王となった果てに「世界の王になりたい」という思考回路にはやはりならないのではないでしょうか。


ルフィは既に「王」になっているかもしれない

作中の26年前に「万物の声が聞けた」という海賊王ロジャーが、海底1万mにある魚人島に訪れた際に、島をも凌ぐ大きさの海王類達が話しているのを聞き取ります。

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海王類「遠い海でも生まれるね........」

海王類達の言う「王」の内、1人は古代兵器ポセイドンの異名を持つ魚人島の人魚姫「しらほし」。

そして、もう1人がルフィということになるのですが、理由は魚人島からルフィの生まれた「フーシャ村」は遥か遠い海にあるということと、ルフィとしらほしが実際に出会った後にはクジラが喜んでいるようなシーンが描かれていたからです。

今現在、ルフィが王として生まれたという事実を知っているのは、海王類だけであるように描かれており、ルフィ本人もその周りの人も知らないことです。

つまり、ルフィは少なくとも海王類から見たら「王の血筋」であり、物語の終盤で王になる可能性は大いにあります。

しかし、勘違いしてはいけないのが、それ自体は"ルフィの夢の果て"ではないということです。

今までの物語のシナリオから推察するに、
「自然と『王』になっていたが、本人はそのつもりはない、もしくは断る」
と言う方がルフィらしいのではないかと思います。


最後に

私達の世界の歴史がそうであるように、戦いによって王座を勝ち取っても、どこかに敵対する者が残っていれば、また新たな戦いを生むということは往々にしてあります。

つまり、武力が世界を平和にした試しは無いという事です。私は、ルフィは違う方法で"平和へと導く"と思っています。

以上、ルフィの夢が「世界の王になる」ではないことがお分かりいただけましたでしょうか。

では、またpiece.04で。


補足:偉くなりたくないのに、何故「船長」をしているのか

本文でも書きましたが、ルフィのなりたい海賊のカタチは、シャンクス率いる赤髪海賊団である可能性が高いです。

第一話を読んで頂ければ、シャンクスは船員達に偉ぶっている素ぶりをしておらず、お互いが同じ目線で接しています。なんなら船員から「この野郎っ!!」とツッコミを入れられています。

この様な海賊像に憧れているルフィなので、船長をしてはいるものの、それは一味が正解の分からないような難しい決断に迫られたときに、指針となる為の役割なのだと思います。

海賊は"自由"の象徴であると思っている節のあるルフィなのですから。


【     索引  】

piece.01 〜ルフィの性格〜

piece.02 〜「世界を買う」が"夢の果て"ではない理由〜

・piece.03 〜「世界の王になる」が"夢の果て"ではない理由〜 ←今ココ

piece.04 〜兄エースがルフィの夢の果てを見たかった本当の理由〜

piece.05 〜「大宴会をする」が"夢の果て"ではない理由〜

piece.06 〜ロジャーが夢を語ったシーンに隠された重大な鍵〜

piece.07 〜ONE PIECEの世界に潜む根深い社会問題〜

piece.08 〜ルフィが敵と戦ってきた動機は夢に繋がっている〜

final piece 〜"ルフィの夢の果て"は諸悪の根源を立ち切り、世界を救う〜

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