見出し画像

【ルフィの夢の果てとは】piece.02〜「世界を買う」が"夢の果て"ではない理由〜

当noteの考察内容は、コミックス派へのネタバレは含まれませんので、安心して下さい。
もしも、このnote内にネタバレがあるとすれば、それは私の考察が当たっていた時です。
その時は、ごめんなさい。


想像してみて下さい。

幾重の試練を乗り越え、海の猛者たちを倒し、ワンピースを見つけて海賊王になったルフィを。

そして、そのルフィが莫大な財宝を抱えて世界を買って周る姿を、あるいは天竜人の前に財宝を差し出し世界を買う姿を。

我々が見てきたルフィは、そんな薄っぺらいことをする男でしょうか。

もし本当にその様な結末が用意されているのなら、私はもうONE PIECEを読むのを辞めます。そして、20年以上愛した人生のバイブルを捨て去ります。


何故「世界を買う」説が浮上したのか

この説は幾つかの考察メディアやそのコメント欄で散見されるものです。

発端となったのが第22話で描かれたこちらのシーン。

画像1

ガイモン「"ワンピース"はお前が見つけて世界を買っちまえ!!」


これ対するルフィの問いが、


ルフィ「ああ!そうする」


であることから端を発した説です。

素直に見れば「えっ?何か変なの?」と思うかもしれません。

しかし、どうやら考察メディアによりますと、

ルフィは社交辞令を言うような性格じゃないから、本当に世界を買うつもりなのではないか

という見解のようです。

確かに私もルフィが社交辞令の返事なんてしないと思います。

しかし待ってください。それ以上にルフィの口から「世界を、俺は買う!!」なんて言葉は出ないと思いませんか。(第589話でエース&サボの前で夢を叫んだ時にです。)

piece.01で書いた「ルフィの性格」を思い出していただければ分かるはずです。では、何故「ああ!そうする」と返事をしたのでしょうか。

この謎を解き明かす鍵は3つあります。


鍵①ガイモンの性格

ガイモンは、本編では22話でのみ登場しました。彼は、20年前に無人島の大岩の上に宝箱を見つけたけれど、目視しただけで岩から落ちて空箱にハマってしまい、箱から抜けないことが理由で取りに行けない岩の上の宝箱をルフィと出会うまで守り続けていた男です。

そんなガイモンの性格をセリフから紐解いてみましょう。

画像4

注目して欲しいのがこの部分です。

ガイモン「あれはいい!宝探しの冒険には命を賭けても惜しくねェ、楽しいんだ、何かの地図でも持ってんのか?」


そして、もう一つのシーン。

画像3

ガイモン「あの財宝は、全ておれ一人のものか!!?

仲間に置いていかれたにも関わらず、財宝を独り占め出来ることを喜んでいます。

これらのセリフからは、次の事が読み取れます。

①ガイモンは財宝への執着が強い男

まずは、これを覚えておいて下さい。


鍵②ガイモンの「ワンピース」への見解

続いて、ナミが偉大なる航路の海図を持って、その説明をしているシーンです。

画像4

ピックアップしたいルフィのセリフがこちら。

ルフィ「どっかに必ず『ワンピース』はあるんだから」

この後、ガイモンは「そんな甘いもんじゃない!!」と偉大なる航路の恐ろしさを語った後にこう続けます。

画像5

画像6

「必ずある」と言ったルフィに対し、「ない」と明言こそしませんが、しつこいくらいにワンピースついて否定的な意見を述べます。

この事からは、次の事が分かります。

②ガイモンはワンピースの存在について明らかな見識がない

これが2つ目です。


鍵③「宝」と「財宝」の違い

作中全体のセリフで、これらは明確に区別して使われています。

"子は宝"なんて言いますが、「宝」とは形あるモノから無いモノ、人にまで広義的に使える言葉です。

一方、「財宝」とは主に貴金属などの形ある高価な財産のことを指します。

20年前この無人島に来たガイモンは、二つの内「財宝」を見つけるという目的で上陸しています。

画像8

だからこそ、「財宝」に執着のあるガイモンは、仲間が船に引き返しているにも関わらず、念を押して大岩の上を確認します。

画像9

(彼の執着心は、20年の歳月をかけて身体が箱にミラクルフィットして珍獣化するという結果を生む事に...。)

一方で、先述したワンピースについてガイモンが語るシーンでは、それが何なのか見識がないので「宝」という言葉を使っています。

これらの事から分かるのが3つ目。

③作中で「宝」と「財宝」は明らかに区別されている

(余談ですが、この区別は作中"最大の謎に迫る鍵"にもなります。それはまたおいおい...。)  


結論

①ガイモンは「財宝」への執着が強い
②ワンピースへの明らかな見識がない
③「宝」と「財宝」は区別されている

これに付け加えて、ガイモンは、ワンピースに対して「宝」という言葉を使っており、明確に「財宝」だとは言っていません。

にも関わらず、「世界を買っちまえ」と言う言葉が出たということは、次のような結論が導き出せます。


ーー『ワンピースは世界を買える位の財宝だ』というイメージは、財宝好きなガイモンが勝手に作り上げたものであるーー


そういう見解をもって、もう一度読んでみてください。


画像9


やっぱりルフィはただの社交辞令を言ったのではないでしょうか。

「宝探しの冒険には命を賭けても惜しくないほど楽しい」と話すガイモンです。今は森の番人となりましたが、若い頃に大きな夢を抱いて海へ出た自分とルフィを重ね合わせて、餞別の言葉を送ったのでしょう。


「俺の夢は、お前に託したぞ」


そんなガイモンの心の声まで聞こえてきそうな、心意気溢れる「エモいシナリオ」のラストなんです。ルフィもそのガイモンの心意気に対して柄にもなく思わず社交辞令をしてしまったに過ぎないと思うのです。

少なくとも私は、そう願いたいです。


最後に

「ルフィは、社交辞令なんてしない」というイメージは、1000話を掛けて作り上げられてきたものです。(2021年1月10日現在)

実際、この第22話を初めて見た時は何とも思わなかったやり取りだと思うのです。

1000話しっかりと読み込んでルフィの事をよく理解している人であればあるほど、「つい出たルフィの社交辞令に違和感を覚えてしまう」というだけのカラクリだと思います。(本当に理解している人は「ルフィは世界を買う」とは思わないと思いますが...)

万が一、このやり取りが"ルフィの夢の果て"の伏線だとするならば、それを最初に言わせるのが「他人」であろう筈がありません。

さらに言えば、ルフィが冒険の最後に海賊王となって世界を買いに行ったなら、「そんな事しない男」というイメージを積み上げておいて、その期待をひっくり返した"完全無欠の伏線王"として漫画史に刻まれるでしょう。

私は、ルフィには莫大な財宝を手に入れたら、今までお世話になった"友達"に配って周って欲しいです。

マキノさんが待っているかもしれません。

画像10


補足

ちなみに世界貴族「天竜人」は、財宝を差し出しても世界を売らないと思います。闇で人身売買を行うヒューマンショップで有り余るほどの資金を持っていると分かる描写がありましたので、お金への執着はないと考えられるからです。

それよりも800年鎮座してきた地位と権力を手放したくはないと思うのではないでしょうか。彼らはずっと"支配者"であり続けたいはずです。ただ、もし「800年前」以前からずっと今の性格だとするならですが...。

それでは、次はpiece.03でお会いしましょう。


P.S

この記事を書き上げた2021年1月10日、初めて私をフォローしてくれる方がいました。読んでくれる人がいるという事を感じられることは、とても励みになります。ありがとうございます。


【    索引 】

piece.01 〜ルフィの性格〜

・piece.02 〜「世界を買う」が"夢の果て"ではない理由〜 ←今ココ

piece.03 〜「世界の王になる」が"夢の果て"ではない理由〜

piece.04 〜兄エースがルフィの夢の果てを見たかった本当の理由〜

piece.05 〜「大宴会をする」が"夢の果て"ではない理由〜

piece.06 〜ロジャーが夢を語ったシーンに隠された重大な鍵〜

piece.07 〜ONE PIECEの世界に潜む根深い社会問題〜

piece.08 〜ルフィが敵と戦ってきた動機は夢に繋がっている〜

final piece 〜"ルフィの夢の果て"は諸悪の根源を立ち切り、世界を救う〜

『Copyright』
当noteに御座います全文は、ezkが独自に創作した知的財産です。
従って、著作権法により守られておりますので、転載引用は、自由です。笑
ただし、必ず引用元としてリンクを貼ってください。
人の褌で相撲を取る様な人には、サンダーテンポです。
もちろん、こちらも引用させて頂く時は、リンクを貼ります。
考察サイトを運営するぐらいONE PIECE好きなら皆んな友達。仲良くしましょう。




お預かりしたサポートは、必ず私以外の人の為に使わせていただきます。それが世の中の良き流れとなりますように。