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フリードリヒ・ニーチェ

ニーチェの思想をご説明いたします



フリードリヒ・ニーチェ(1844 - 1900)は、19世紀ドイツの哲学者です。

今回は、「永劫回帰」「ルサンチマン」「超人」といったニーチェの思想について、ご説明いたします。


〈目次〉
1.ニーチェの生涯について
2.ニーチェの思想
(1)力への意志
(2)永劫回帰(えいごうかいき)
(3)ルサンチマン
(4)超人

1.ニーチェの生涯について
ニーチェは1844年にプロイセン王国(現ドイツ)の田舎で生まれました。

幼い頃から多方面に才能を発揮し、20代の学生の頃に大学教授に就任しました。当時、この若さでの大学教授の就任は極めて異例のことでした。

その後、健康上の理由から大学を退職し、在野の思想家として執筆活動に励みました。しかし、ニーチェの書いた本はほとんど売れず、心身ともに厳しい生活を余儀なくされました。

晩年には精神を病んでしまい、その後、ニーチェの著作は評価され始めますが、本人は回復することなく、55歳でこの世を去ることとなりました。


2. ニーチェの思想
(1)力への意志
「力への意志」とは、全ての生物が生き残るために力を求め、他の生物を支配しようとする本能的な意志を言います。

ここでいう「力」とは、体力、知力、権力といった分かりやすい力のほか、創造力、求心力、実行力など、自分が何かを成し遂げるために必要なあらゆる力を指します。

ニーチェは、生命の行動はすべて「力への意志」によって動かされていると主張しました。


(2)永劫回帰(えいごうかいき)
「永劫回帰」とは、個人の人生が永遠に繰り返されるという考え方です。

例えば、ある人が10歳の時につらい出来事を経験をしたとします。

永劫回帰の考え方によれば、この人は全く同じ人生を永遠に繰り返すことになります。

つまり、生まれ変わったら別の人生があるのではなく、10歳の時にはまたつらい経験をしてしまうのです。

ニーチェは、苦しい過去も楽しい過去もすべて肯定的に捉え、その過去を踏まえてこれから最善の行動をとるべきだと主張しました。

なぜなら、過去の出来事は、私たちがどのように評価するかにかかわらず永遠に同じことが繰り返されるため、幸せになるためにはその過去を肯定的に捉えるしかないからです。

また、私たちがこれから経験する未来も永遠に繰り返されることになるので、より良い選択を取っていくしかないと論じました。


(3)ルサンチマン

「ルサンチマン」とは、自分の不満や欠点を直視することなく、他者や外部の状況を責める心情を指します。

例えば、自分が他者よりも劣っていると感じたとき、その状況を受け入れ、自己を改善しようと努力するのではなく、他人や社会を責め、うらむ感情がルサンチマンです。

ニーチェの思想では、このルサンチマンが道徳と強く結びついています。

弱者はルサンチマンによって自分の弱さを正当化し、強者をおとしめるための道徳を創り出します。

例えば、強者が自由に行動し、欲望を追求することを「利己的」と非難し、一方で、自己犠牲や謙虚さを美徳とします。これは、弱者が自分たちが強者になれない理由を外部に求め、それを正当化するための手段と言えます。

ニーチェはこのルサンチマンが、人間の自己成長や自由を妨げる大きな壁であると考えました。


(4)超人
「超人」とは、ルサンチマンを克服した人のことを言います。

超人は、自分の価値を自分で創造し、自分の人生を自分で決定していきます。

ニーチェは、ルサンチマンに囚われている人間が超人へと進化することで、初めて真の自由を得ると主張したのです。


以上

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