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『相対性理論』の概要について。なるべく簡単に解説いたします。



相対性理論とは、時間と空間に関する物理学の理論です。
ドイツ生まれの物理学者アルバート・アインシュタインが20世紀初頭に発表した「特殊相対性理論」と、それから10年あまり後に発表した「一般相対性理論」を総称して「相対性理論」といいます。

時間や空間が伸び縮みすることなどを明らかにした、この不思議な理論の超概要を数式なしで解説いたします。

〈目次〉
1.特殊相対性理論とは
(1)「相対性原理」ついて
(2)「光速度不変の原理」について
(3) 結論
2.一般相対性理論とは


1.特殊相対性理論とは
1905年に発表された「特殊相対性理論」は、重力の影響を考えない特殊な環境下において、「時間の進み方や空間の大きさは『絶対的』なものではなく、観測者の置かれた状況によって変わる『相対的』なものである」とする物理理論です。


その土台となるのが「相対性原理」「光速度不変の原理」です。


(1)「相対性原理」ついて

まず「相対性原理」とは、「慣性系では、すべての物理法則が同じように起こる」という原理です。

※慣性:  外力が働かなければ、物体はその運動状態を保つという性質。

例えば、地面に立ってボールを上に向かって投げても、動いている電車の中でボールを上に向かって投げても、同じようにボールは手元に落ちてきます。これは、どちらの場合でもボールには同じ物理法則が働くからです。

相対性原理

 
(2)「光速度不変の原理」について
次に「光速度不変の原理」とは、「止まっている人から見ても、光速に近い速さで移動している人から見ても、光の速さは等しく秒速30万kmで進んでいる」という原理です

例えば、秒速20万kmで進む宇宙船で光を追いかけたとしても、宇宙船から見た光の速さは「30万-20万=秒速10万km」とはならず、止まっている人が見た場合と同じように、秒速30万kmで進むのです。不思議ですが、実験的に確認されている事実です。 

光速度不変の原理


以上2つの土台に基づいて、特殊相対性理論の概要を見ていきます。

仮に縦長の箱のような「光時計」というものがあるとします。これは底と蓋に鏡があり、その間を光が行き来することで時間を計る時計です。底の鏡には光源があり、そこから発射された光が蓋の鏡に届くまでが1秒です。

光速に近い速さで移動する宇宙船内にいる人と、地上にいる人が、それぞれ光時計で1秒を計ると、「相対性原理」によってどちらも同じ物理現象が起こるので、底から蓋まで、1秒の時間が等しく経過します。

しかし、地上で止まっている人から、移動している宇宙船内の光時計を見るとすると、底の光源から発射された光が蓋の鏡に到達するまでに、光時計を乗せた宇宙船ははるか長い距離を進んでいるため、光の軌跡は斜めに進むように見えるはずです。

つまり、光時計の高さより、斜めに進んだ光の軌跡の方が明らかに長いことになります。

しかし、「光速度不変の原理」によると、光の速さは地上と同じく秒速30万kmのため、地上の光時計が1秒経過していても、宇宙船内の光時計では光が蓋に達しておらず、1秒が経過していないことになるのです。

このことは、地上の観測者から見ると、宇宙船内の時間は遅れていることになります。 

「光の速さで進む宇宙船に乗った人は、地球に戻ってきても年をとらない」ことを「ウラシマ効果」と言います。

光の速さは1秒間に地球を7周半するので、宇宙船にとっては1秒でも、地球上にいる人間からしたら7.5日の時計が進んでいる、つまり「時間が縮んで」いるのです。   


(3)結論
時間は相対的なものだと考えたアインシュタインは、さらに空間も時間とともに伸び縮みすること、光速に近づくほどに物の質量が増大することを示しました。これが「特殊相対性理論」です。 


2.一般相対性理論とは
特殊相対性理論をさらに発展させたものが、一般相対性理論です。


特殊相対性理論は、運動の速度も方向も変わらないという前提に立っています。しかし現実世界ではほぼありえないことです。

一般相対性理論は、重力と、加速・減速によって起こる慣性力の影響を加味した「重力の理論」でもあります。

アインシュタインが登場する以前、重力はアイザック・ニュートンの「万有引力の法則」によって説明されてきました。

しかし、この法則は特殊相対性理論と矛盾するうえ、法則自体にもほころびが指摘され始めていたため、アインシュタインは特殊相対性理論に重力を組み込んだ理論を完成させたいと考えたのです。


一般相対性理論の土台となっているのが「等価原理」です。

例えば、電車の中で立っていると走り出しと停止時にバランスを崩すことがありますが、このときに受ける力を「慣性力」といいます。

ニュートンはこれを「見かけの力」としていましたが、アインシュタインはこれを実在する力と捉え、「慣性力と重力は同じ」と仮定したのです。

慣性力


等価原理に基づく一般相対性理論では、質量をもつすべての物体は「周りの空間を曲げる」と考えられます。

重力とは、このような空間の曲がりが引き起こす現象であり、重力が強い場所ほど時間の流れが遅くなるとされています。

さらには、光を飲み込むほど重力が強い「ブラックホール」の境界では、時間が止まってしまうと予言しているのです。

以上のように、相対性理論においては、時間と空間がともに伸縮したり曲がったりするため、それらを一体とみなして「時空」という概念が生み出されました。

アインシュタインが提唱した相対性理論は、宇宙の誕生や成り立ちの謎にもせまる理論として発展し、依然としてその輝きを失っていないのです。

参照元: 「損保ジャパン」ホームページ

以上


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