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江戸三大蕎麦 「藪そば」・「更科そば」・「砂場そば」について解説いたします



江戸時代には、江戸に多くの蕎麦屋(そばや)があったそうですが、その中でも3つの代表的な蕎麦(蕎麦の種類)が存在しました。

その3つは「江戸三大蕎麦」と呼ばれ、具体的には、「藪(やぶ)そば」「更科(さらしな)そば」「砂場(すなば)そば」の3つです。

今回は、江戸三大蕎麦の3つについて、それぞれ解説したいと思います。

〈目次〉
1.藪(やぶ)そば
2.更科(さらしな)そば
3.砂場(すなば)そば

1.藪(やぶ)そば
①発祥について
幕末の頃、東京・根津の団子坂にあった『蔦屋(つたや)※』が発祥の地といわれています。 
その『蔦屋』は藪※に囲まれていて、通称『藪そば』と呼ばれ、それがいつしか店名になったそうです。

※ここでいう「蔦屋(つたや)」とは、そこのそば屋のお店の名前です。

※藪(やぶ)とは、草木・竹などが手入れもされず乱雑に生い茂っている所を指します。 

②そば・つゆの特徴
下町生まれの藪のそばは、そばの実の外側にある甘皮(あまかわ)※を適度に挽(ひ)き込むため、味が濃く、また、蕎麦の色は緑がかっています。

これはソバの実の甘皮の色で、藪そばでは蕎麦の殻のぬき実を挽きおろして使用しているからです。綴(すす)ったときの香りが良いことも、藪そばの特徴です。

また、藪蕎麦のつゆは、そばの味の濃さに合わせて、非常に塩辛くしてあります。

※ 甘皮(あまかわ)とは、果実の内側の薄い皮のことです。

③おすすめの食べ方
汁が塩辛いのは、藪そばお客さんには、せっかちな職人が多く、「ゆでたての麺にさっとつゆをつけて食べるために考えだされた」と言われています。

その影響で、江戸の粋な蕎麦の食べ方として、つゆをちょっとしかつけない食べ方が流行っていたそうです。

蕎麦の端を、少しだけつゆにつけて啜(すす)るくらいが、藪蕎そばの美味しい食べ方です。

■参考: かんだ やぶそば 公式ホームペーURL


2.更科(さらしな)そば
①発祥について

更科そばの誕生は諸説ありますが、長野県がルーツとされています。
麻布永坂町で当時行商人として働いていた清右衛門という人物が始めた「信州更科そば処 布屋太兵衛」が発祥の店とされています。

②そば・つゆの特徴
更科そばは、そばの実を挽いた際に、一番最初に出てくる胚乳の中心部分のみを使用しています。色のついた甘皮が混ざらないため、蕎麦に仕立てても白く、高級感があるそばです。

他の蕎麦と少し違った原料を用いているため、蕎麦らしい香りはあまりしない一方で、ほのかな甘みがかった味わいが特徴的。

つゆは通常のそばに用いるものより淡く甘めなので、繊細な喉ごしを楽しめるでしょう。

③おすすめの食べ方
一口目は蕎麦本来の味を楽しむため、つゆをつけずに食べます。その後は少しだけそばつゆを付けて勢いよくすすり、更科そばならではの強いコシを味わいます。

更科そばは非常に伸びやすいそばなので早めに召し上がるとコシと鮮度が良い状態のまま食べられるでしょう。

■参考: 総本家 更科堀井 公式ホームページ URL


3.砂場(すなば)そば
①発祥の地

砂場蕎麦は、江戸三大蕎麦の3つなかでも最も古い歴史を持つとされている、大阪を起源とする蕎麦屋老舗です。

名前の由来は、大阪城築城の際の資材置き場だった砂場近くに店があったことが始まりとされています。

②そば・つゆの特徴
そば粉を8割、つなぎの小麦粉を2割使用した、いわゆる「二八そば」です。
この比率で打ったそばはしなやかな食感で、つるりとした、喉に滑り込んでいくようななめらかさがあるので特徴です。

砂場そばは、細く長く繋がった食感が最大の魅力とも言えるでしょう。そこに甘く、濃い目のつゆを絡(から)めることでしっかりとした味わいを口いっぱいに感じることができます。

③おすすめの食べ方
ざるそばに天ぷらをトッピングした天ざるは、なんと、砂場そばが始まりです。
天ぷらそばを夏でも美味しく食べやすく提供できるようにと、生まれました。
暑い時期でも天ぷらを美味しく涼やかに食べられるのは嬉しいです。

■虎ノ門 大阪屋 砂場 公式ホームページ URL


以上

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