「少なければ売れる?」選択肢の数が顧客の決断に与える影響

中小企業経営者の皆様へ、
 マーケティングにおける重要な概念である「ジャム理論」をご存知でしょうか?これは、商品の選択肢が多いほど購入意欲が減少するという理論です。実際の実験では、6種類のジャムと24種類のジャムを用意し、顧客の反応を比較しました。結果、選択肢が少ない方が圧倒的に売れたのです。

 この実験から、選択肢が多すぎると顧客はストレスを感じ、購入を見送ることが明らかになりました。商品の種類を増やすことが必ずしも売上向上につながるわけではないのです。

 しかし、これは単純に選択肢を減らせば良いという話ではありません。例えば、1種類だけでは顧客は「これが最適かどうかわからない」と感じ、購入を躊躇します。一方で、100種類あれば「選択後に後悔するかもしれない」と考え、やはり購入を見送るのです。

 つまり、商品を売るということは、顧客が後悔しないようにすることに他なりません。適切な商品の種類数を見極めることが重要です。

 さて、次にジャム理論とは少し異なる、しかし非常に興味深い話をします。店内に多種多様な商品が並んでいると、顧客は「買うか買わないか」を決断しますが、特定のジャンルに絞られた場合、「どれを買おうか」と考えるようになります。これは、店に足を踏み入れた時点で、何かを買うことがほぼ決定しているということです。

 例えば、スターバックスに入れば「どのコーヒーを注文しようか」と考え、お土産屋さんでは「どのお土産を選ぼうか」と考えます。これに対し、イオンのような大型店舗では、何も買わずに帰ることもしばしばです。

 経営者の皆様には、「顧客が何を買うか」ではなく、「顧客が買うこと自体を決めさせる空間」を作り出すことが求められます。では、そのような空間を生み出す条件とは何でしょうか?

 初めは「専門店=その空間」と考えがちですが、それだけでは説明がつかない事例もあります。例えば「ヴィレッジヴァンガード」のような店舗は、専門店ではありませんが、顧客は店に入ると何を買うかを考え始めます。

 結論として、そのような「特別な空間」を作り出す条件は単に「1ジャンル」に限定されるものではなく、より複雑です。しかし、その「特別な空間」がもたらす影響を理解し、作り出すことが、店舗や中小企業の成功に繋がるでしょう。今ここでは明確な答えは提示できませんが、身の回りにそう言ったお店はたくさんあると思います。そこからヒントを得て、顧客が買うことを決めてから、お店に迎えるような「特別な空間」作りに挑戦してみて下さい。成功をお祈りします!


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