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日本の累進課税の現実

岸田政権下になり富の再分配がどの様に行われるか気になりますが、現行の富の再分配である日本の累進課税について深掘りしていきたいと思います。累進課税制度は高所得者ほど税率が高くなります。下のグラフは横軸に年収(単位は万円)、縦軸にその年収に対する税(所得税と住民税)の割合を示しました。また、参考までに年金や健康保険などの社会保険料、社会保険料と税の合計も載せました。

年収別と税・社会保険料と手取りの割合

年収300万円で約6%が税金で引かれ、税に社会保険料を加えると約20%が消えてしまいます。その額約60万円です。年収1000万円では税で約15%、税と社会保険料で約27%が同じく消えていきます。その額はおおよそ270万円にもなります。額で見ると大きく感じますが、割合で見ると思ったよりも高額所得者の負担割合が多く無いと感じるのではないでしょうか?これは累進課税が示す税率が最高税率である事が起因します。また、年収900万円位までは社会保険料の割合が税金よりも多く負担しているのが見て取れます。税と社会保険料を足すと綺麗に右肩上がりの(紫色の)線が引けます。これは社会保険料も実質的に税と同等であると考える事が出来るのではないでしょうか?
知らない人も多いですが、実は社会保険料は企業も社員の支払い額と同額の社会保険料を負担しています。視点を変えて社会保険料の企業負担分を考慮して支払う側から人件費がどのような割合で社員の手取りになるか見てみましょう。

企業負担分を考慮した手取り割合

このグラフを見ると年収300万円でも30%もの額を負担しているのが見て取れます。また年収1000万円の負担割合は35%となり、年収による差があまり無いのにも気付かされ、全体を見てもだいぶ圧縮されていると感じるのではないでしょうか?

社会保険料の二重負担(正しくは会社と社員で負担を等分する)が低所得者の過重負担になり、企業にとっては雇用を増やす毎に負担が増える雇用税の様になっているのです。そして国はこの状況が国民に分からない様に上手く制度化しているのです。一方で金融所得課税は収入に関わらず20%と低く設定されています。その率は低所得者の負担割合すら下回る割合であり、不公平感が感じられるのではないでしょうか。

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