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香港旅行~夜景+花火+カメラの夜

香港といえば「100万ドルの夜景」。
九龍から眺めるビクトリアハーバーの夜景はあまりに有名。天気の良い日にビクトリアピークから見下ろす香港の夜景はまさに壮観だ。高層ビル、観覧車、ビクトリアハーバーに浮かぶ船たち。眩いばかりのネオンサインにビルの壁面を彩るライトアップ。晴れているなら最高、靄がかかっていてもそれなりに情緒あふれる景色となる。毎日20時からはシンフォニー・オブ・ライツというライトアップショーが行われており、香港旅行のハイライトの一つとして、訪れる人々の目を楽しませてくれる。

訪れるものを引き付けてやまない香港の夜景。今年はさらにパワーアップすrというニュースを目にした。

「香港旧正月 5年ぶりにナイトパレード・花火が復活開催へ」

コロナの大流行前までは、毎年旧正月の初日にパレードが行われていたようだ。ここ数年は中止がつづいていたが、今年ついに復活となるとのこと。加えて旧正月二日目にはビクトリアハーバーで花火が打ち上げられるというではないか。
ビクトリアハーバーの花火といえば、2024年のニューイヤー花火で48万人の集客があったと話題になったばかり。SNSにも花火を撮影した美しい写真が多数アップされており、羨ましい気持ちで眺めていたのだ。カレンダーを確認すると、今年の旧正月は2月10日。日本の3連休と重なり、まさに絶好の渡航チャンス。さらにはうまいこと万障お繰り合わせできてしまうスケジュールなのである。
ああ… 行きたい。香港が呼んでいる。
先述した彩虹邸のニュースも相まって、この日から頭の中は完全に香港一色になってしまった。

こうして香港夜景と花火を撮影することをメインイベントとして旅をすることになった。調べたところ、香港の夜景を撮影するにはいくつかのおすすめスポットがあるらしい。夜景の中心地であるビクトリアハーバーを挟んで両側のプロムナードや展望スペース(有料や施設利用者限定が多い)のほか、ビクトリアピークから見下ろす形での撮影も絶景のようだ。尖沙咀、エキシビジョンセンターあたりが一番の絶景スポットになるのだろうが、それすなわち、混雑必至ということでもある。一人旅で混雑に巻き込まれるのは嫌だ。待ち時間が長いのも出来れば避けたいが、これは無理な相談だろう。
撮影前日には旧正月のパレードによる大混雑に巻き込まれた挙句、肝心のパレードが見られなかった上にそれに伴う大幅な迂回を余儀なくされ、重い機材を背負って香港の街を右往左往した。そんな経験から、この2大絶景スポットでは三脚を立てる隙間はおろか、とても写真を撮る余裕などないだろうと思い候補地から外した。またビクトリアピークも魅力的ではあったが、常に混雑する人気スポットであること、慣れない土地でのひとり暗闇ハイキングは避けたかったこと(実際はそこまで暗くも危険でもないようだが)、また撮影後の帰宅に時間がかかりそうだということからこちらも断念した。その結果、今回は西九龍エリアからの撮影に挑戦しようと決めた。

ビクトリアハーバーでの花火は今年の旧正月の二日目にあたる2月11日。当日は朝から三脚を構え、坂というよりもはや山の中環界隈を喘ぎながら歩き回った。この日は晴れて気温も高く、半そででもじゅうぶんな陽気。坂めぐりでへとへとになったので、少し早めに撮影エリアへと向かいよさそうな場所を探すことにした。
海に面した遊歩道には、すでに場所取りをしている人々が間隔をあけて思い思いに過ごしていた。隅に近いところに広いスペースがあり、三脚を立てた若いカメラマンが黙々とカメラの準備をしていた。
”お隣いいですか?”と問うと、”どうぞ”とこころよく答えてくれる。見たところ現地の方のようだ。思い切って、初めて撮影しに来たが、ここから花火はうまく撮影できるだろうかと聞いてみた。すると彼女は”自分は香港人だが、撮影に来たのは初めてなので正直なところわからない”と笑った。見れば彼女が使っている三脚が自分のものと同じであることに気づき、それを告げると嬉しそうな驚きを顔いっぱいに広げ、どこで購入したのか、この三脚は手ごろで扱いやすくていい、などと話し始めた。
最近また流行が広がっているフィルムカメラを構えた彼女と、花火までの数時間を楽しく過ごした。カメラのことや日本のこと、映画のことなどを語り合っているうちにあっという間に日が落ち、徐々に花火鑑賞の船が増えてきた。時間になることにはハーバーを大小の船が埋め尽くし、普段より一層煌めいて賑やかしい。日暮れ前から徐々に人が増え、時間となるころには見渡す限りの人の波が背後に広がっていた。

20時から約20分間の間に23,888発が打ち上げられるというこの花火イベントは、始まったら終わりまでノンストップで進行する。写真撮影時の20分は本当にあっという間で、セッティングなどしていてはチャンスを逃してしまうので、事前の準備が肝だ。開始時刻が近くなるにつれてカメラの明るさ、シャッタースピードやアングルの確認、レリーズの動作確認などチェックすべきことは多い。香港女子に花火の打ち上げ場所を確認し、そこから打ち上げ範囲を想像してカメラの位置を決める。地道な作業だが、こんな時間がとてもワクワクするのだ。
香港花火は水上に設置された船の上から打ち上げられる。船は3か所に分かれて待機していた。水上花火は琵琶湖で一度見たきり、しかも水面近くは見ること叶わずだったためとても楽しみだ。水面に移る花火の色鮮やかさを写真に収めて持ち帰りたかった。

花火のスタートを知らせる音楽が響いてくる。人波から歓声が上がり、拍手が広がる。誰かが大声で面白いことを言ったらしく、一気に笑い声が広がる。一発目が打ちあがったらそこからは怒涛の打ち上げラッシュだった。
もったいないとさえ思う連打、たたみかけるような打ち上げラッシュ。幸運なことに弱い風が吹く温かい晩だったこともあり、霧や靄、煙に消されることなく最後まで花火を楽しむことができた。昔香港を訪れた際は霧で夜景がかすんでしまっていたのでより一層嬉しい。やっと拝めた100万ドルの夜景、花火付きで1,000万ドルの夜景である。

写真撮影は修行中の身のため、感動の夜景を目に焼き付けたレベルで再現、共有できないのが悔しい。悔しいが、少しでもこの感動を共有したいので数枚載せておく。いつか別の記事で撮影の腕が上がったのをお見せできる日を願って。

花火が贅沢
至近距離でバンバン上がる
水面のリフレクションが綺麗
夜景と花火って日本では見ない組み合わせかも






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