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海事代理士 令和6年度 受験記

海事代理士とは?


海事代理士(かいじだいりし)は、海事代理士法に基づき他人の依頼によって、船舶登記や船舶登録、検査申請、船員に関する労務、その他海事許認可など、海事に関する行政機関への申請、届出その他の手続及びこれらの手続に関し書類の作成を代理・代行することを業とする者である。1909年に創設された「海事代願人」(根拠規定であるあった海事代願人取締規則(明治42年逓信省令第52号)の失効により1948年1月1日以降廃止)の後身として1951年成立の海事代理士法により創設された資格。司法書士、行政書士や社会保険労務士の海事版と言え、「海の司法書士」、「海の行政書士」と紹介している資格者もいる。職務上請求を行うことができる八士業の一つである。
(Wikipedia引用)

結果発表!


168/240(70%)でした。
合格基準は20科目240点満点の①正答率60%(144点)または②受験者の平均正答率のうちどちらか高い方以上の得点です。
つまり、60%取っても安心はできません。
令和元年から平均正答率も60%を超えることが多くなり、最高で令和5年の64.08%(18科目220点満点の時は平成30年の64.18%が最高)なので、65%以上あれば可能性が高まり、70%以上あれば大丈夫なのではないでしょうか。

感想+講評(総論)

全体的に難易度は去年よりは上がっていると感じます。特に定番だった用語があまりでない科目や、条文の抜き出しで意識していないであろう所をうまく抜き出されていた印象があります。他方で、トン数や再資源化解体は過去問に忠実だったと言えるので、ここで高得点を取れればカバーできると思います。
結論として、合格点は61%以上63%未満(147点以上152点未満)あたりになるのかなと思います。できる人は80%以上取るでしょうし、選択肢でまぐれ当たりもあるので大幅に合格点が下がる気はあまりしません(下がって欲しいですが、、)。

感想+講評(各論)

1限目(27/40 及第点24)

1憲法(易)(9/10 及第点8)
大問1 用語補充(4/5) 易
(ア)~(オ)のいずれも突飛な用語もなかった。(オ)の「両性」について憲法24条2項の「両性の本質的平等」と混同して、「本質的な両性」と解答したのが勿体なかった。
(1)(2)(3)(5)が取れれば及第点かと思われる。
大問2 正誤問題(5/5) 易
(ア)~(オ)のいずれも短くオーソドックスな選択肢であった。
(ア)~(エ)が取れれば及第点かと思われる。

2民法(やや難)(5/10 及第点4)
大問1 用語補充(2/5) やや難
民法は範囲が広い割に10点しかないので、他資格取得時の貯金or過去問のみで臨む人が多いと思われる。
(3)強迫(4)追認 が取れれば及第点かと思われる。
大問2 正誤問題(3/5) やや難
(ア)は「いかなる場合であっても」とあるので×の可能性が高い、(エ)は遺留分算定で贈与額を加える→遺留分という最低限の保証において一度もらったものを再び足すのはおかしいと考えれば解けたと思われる。
(ア)(エ)が取れれば及第点かと思われる。
選択肢がすべて×が正解というのも迷った人もいたかもしれない。

3商法(やや難)(6/10 及第点5)
大問1 用語補充(2/5) 難
おそらく過去問にあったのは(1)「従物」(4)「一」年間(5)「質権」だと思われる。(2)「船積」期間内(3)「所有者」は過去問にもなく少し難しかったのではないだろうか。
属具目録や船荷証券等の定番ワードが出なかったことも少し難しかった要因かもしれない。
(1)(4)が取れれば及第点かと思われる。
大問2 正誤問題(4/5) やや難
 (ウ)~(オ)は過去問or現場思考で解くことができたのではないだろうか。((エ)を間違えてしまったが、冷静に考えれば取らなければいけない部類だったと感じる。)
(ア)・(イ)についてそれぞれ単独なら解きやすいかもしれないが、「~できない」という文言が連続するため少し迷った人もいたのではないだろうか。
(ウ)~(オ)が取れれば及第点かと思われる。

4国土交通省設置法(標準)(7/10 及第点7)
大問1 識別問題 (3/3)やや易
設置法、組織令、地方運輸局組織規則の所管範囲の識別問題。
これらを1つずつ選ばない形式(組織令が2つなど)も過去にはあったが、
今回はオーソドックスな形式。
いずれも過去問で出題されているものだった。
(1)~(3)が取れれば及第点かと思われる。(前半の科目が少し難しいので、ここいらで挽回しておきたいので敢えて全問にしている。)
大問2 識別問題 (2/4)標準
各部署の識別問題。いずれも過去問で対応できる問題だったかと思われる。
(2)が少し難しかったかもしれない。(4)の海上安全環境部で船舶安全環境課を選ぶ問題はなぜ海上安全課を選んだのかと少し後悔している。
(1)(3)(4)が取れれば及第点かと思われる。
大問3 正誤問題 (2/3)やや難
(2)は関東運輸局には山梨県が含まれているというのは対策していた人も多いと思われる。(1)・(3)はおそらく過去問でも出題がないし、詳しく勉強していないと難しいので正直、両方不正解でも仕方ないと思われる。
(2)が取れれば及第点かと思われる。

2限目(35/50 及第点32)

5船員法(やや易)(17/20 及第点15)
大問1 用語補充(記号解答)(8/9)やや易

(8)ケ以外は過去問or現場思考で解けると思われる。
ア~クが取れれば及第点かと思われる。
(配点大&記号形式での解答なので、多少あやふやでも稼ぎどころだといえる。)
大問2 正誤問題(6/8)標準
(4)、(5)の例外規定、(6)、(7)あたりが少し難しかったかと思われる。
(1)は「政令で定める」総トン数30トン未満の漁船というのに引っかかってしまった。
(1)~(3)、(8)が取れれば及第点かと思われる。
大問3 記述(3/3)易
過去問でも複数回出題された、就業規則の絶対的記述事項の問題である。
3つすべて取れれば及第点かと思われる。

6船員職業安定法(やや難)(5/10 及第点4)
大問1 用語補充(記号解答)(2/5)難
全体的に意地の悪い箇所を抜き出しているため、解答で迷った人も多かったと思われる。(特に、(1)(4)(5))
(2)の期間は過去問でも出題されており確実に正解したい。
(3)は「同盟罷業」のほうを抜き出してくれればよかったのにと感じた。
(2)が取れれば及第点かと思われる。
(その上で、あと1~2問上積みできれば上出来だろう。)
大問2 正誤問題(組み合わせ)(3/5)標準
(2)~(4)は過去問でも出題されたオーソドックスな問題だったと思われる。(1)イと(5)は少し難しかったのではないだろうか。
(2)~(4)が取れれば及第点かと思われる。

7船舶職員及び小型船舶操縦者法(標準)(13/20 及第点13)
大問1 用語補充(標準)(6/12)
(6)コ・サ・シが少し難しかったのではないだろうか。
イの滅失を減失、クの特殊を一級としてしまうミスがあり少し悔しい。
イ・エ~クが取れれば及第点かと思われる。
大問2 用語補充(やや易)(4/5)
ほとんどが過去問通りであった。
ただ、過去問ではオが管理となったいたが、今回は居住する市町村となっており少し難しかったのではないだろうか。
ア~エが取れれば及第点かと思われる。
大問3 計算問題(易)(3/3)
過去問での定番の乗船履歴計算問題だった。
特段のひっかけもなかったので正解したい。
配点が従来の2点から3点に変更されていたが、これからもこの傾向が踏襲されるのかが気になる。
大問3が取れれば及第点かと思われる。

3限目(46/70 及第点37)

8海上運送法(やや易)(9/10 及第点7)
用語補充(やや易)(9/10)
全体的に過去問通りであり、全問正解も可能ではあったと思われる。
ウ・カ・キが少し難しかった(というより思い出しにくかった)かもしれない。
ア・イ・エ・オ・ク~コが取れれば及第点かと思われる。

9港湾運送事業法(標準)(5/10 及第点5)
大問1 正誤問題(組み合わせ)(やや難)(0/5)
確実にわかる選択肢と少し迷う選択肢が上手に組み合わせられていた印象を受ける。正誤問題の中でも組み合わせ形式は難しい(作業が2倍になるから。)のでここで稼ぐという計画は立てないほうが良いだろう。
比較的難易度が低いのは(5)だと思われる。
(5)が取れれば及第点かと思われる。
大問2 用語補充(記号解答)(やや易)(5/10)
おおむね過去問通りであったと思われる。
オの運輸審議会が交通政策審議会と迷った人もいたと思われる。
ア~エが取れれば及第点かと思われる。

10内航海運業法(標準)(6/10 及第点4)
用語補充(標準)(6/10)
全体的に標準的な問題だ思われる。
オ~コが少し難しかった(というより思い出しにくかった)かもしれない。
ア~エがとれれば及第点かと思われる。

11港則法(標準)(7/10 及第点5)
大問1 用語補充(記号解答)(やや易)(2/3)
ウの政令と国土交通省令で迷うくらいで後は基本的な内容だと思われる。
ア・イが取れれば及第点かと思われる。
大問2 識別問題(6個から3個選択)(やや難)(3/3)
全体的に知識の幅が広く、紛らわしい選択肢も含まれている。
(特に1,5,6)
1問取れれば及第点かと思われる。
大問3 正誤問題(組み合わせ)(標準)(2/4)
(2)(3)は標準、(1)②(4)②が少し難しかったと思われる。
(2)(3)が取れれば及第点かと思われる。

12海上交通安全法(標準)(7/10 及第点6)
大問1 用語補充(記号解答)(やや難)(2/4)
1条、2条自体は定番だが、過去問で抜き出されていない箇所が出題されたため、少し難しかったのではないだろうか。
イ・エが取れれば及第点かと思われる。
大問2 識別問題(6個から3個選択)(標準)(2/3)
正解の選択肢3,4,5のうち、4,5は標準的だったのではないだろうか。
2問取れれば及第点かと思われる。
大問3正誤問題(組み合わせ)(標準)(3/3)
(2)(3)①は基本的な問題、(1)①はマニアックだが過去問で類似の論点が出たことがあるのでそこでチェックしてれば解けたかもしれないが、おとしても仕方がない。
(3)②は過去問で見た覚えはないが、航路を横断する時にちんたら移動していたら航行の邪魔になるからという理由付けで判別した。
(2)(3)が取れれば及第点かと思われる。

13海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(やや難)
(5/10 及第点4)

大問1 用語補充(記号解答)(やや難)(4/6)
エ・オ・カが少し難しかったのではないだろうか。
ア~ウが取れれば及第点かと思われる。
大問2 正誤問題(標準)(1/2)
(1)が少し難しかったのではないだろうか。
(2)が取れれば及第点かと思われる。
大問3 識別問題(6個から3個選択)(難)(0/2)
過去問でも扱われたことがないのではない論点なのではないだろうか。
少なくとも、私は見覚えがない。
また、形式も最近の過去問ではなかったはずだ。
適当に選んで次に進むので問題ない。
0問正解でも何ら問題ない。

14領海等における外国船舶の航行に関する法律(標準)
(7/10 及第点6)
大問1 用語補充(記号解答)(やや易)(4/5)
ウが少し難しかったのではないだろうか。
ア・イ・エ・オが取れれば及第点
かと思われる。
大問2 正誤問題(標準)(3/5)
(1)(3)(4)が少し難しかったのではないだろうか。
(2)(5)が取れれば及第点
かと思われる。

4限目(60/80 及第点55)

15船舶法(やや易)(17/20  及第点15)
大問1 用語補充(易)(8/10)
全体的に過去問通りの出題で満点も狙えたのではないだろうか。
カ、キ、ケが思い出せない人もいたのではないだろうか。
官庁と公署を逆に書いてしまうというミス(官公庁で官庁→公署と覚えたのに!)が悔しすぎる。ほとんどの人がしていないようなミスなので余計に悔しい。
ア~オ、ク、コが取れれば及第点
かと思われる。
大問2 用語補充(記号解答)(易)(5/5)
全体的に過去問通りの出題で満点も狙えたのではないだろうか。
Eの所有権が思い出しにくかったかもしれない。
A~Dが取れれば及第点かと思われる。
大問3 正誤問題(やや易)(4/5)
全体的に過去問通りの出題で満点も狙えたのではないだろうか。
(3)が船舶国籍証書の交付を受けた日または前回の検認を受けた日から総トン数100トンを超える(正解:以上)の鋼船は4年、総トン数100トン以下(正解:未満)の鋼船は2年、木船は1年を経過した後。という少しうざったいひっかけをしていたので自分のようにあやふやに覚えていた人は間違えたかもしれない。
(1)(2)(4)(5)が取れれば及第点かと思われる。

16船舶安全法(難)(11/20 及第点8)
大問1 用語補充(難)(9/15)
(1)イ、(3)のカ~ケ、(4)のコ・サ(順番も逆になるかもしれない)(5)シ、スが難しかったのではないだろうか。(6)ソも思い出しにくかったかもしれない。
特に、(3)は過去問で見た記憶が全くない。(5)は正誤問題で扱われたことのある論点だが、うろ覚えだった。
ア、ウ~オ、セが取れれば及第点かと思われる。
大問2 正誤問題(やや難)(2/5)
(1)(2)が少し難しかったのではないだろうか。
(3)~(5)が取れれば及第点かと思われる。

17船舶のトン数の速度に関する法律(易)(10/10 及第点10)
用語補充(記号解答)(易)

全体的に過去問通りである。
16船舶安全法が難しいのでカバーする意味でも満点を取る必要があるだろう。
ア~コが取れれば及第点かと思われる

18造船法(標準)(5/10 及第点6)
大問1 用語補充(やや難)(3/5)

(1)ア・ウが少し難しかったのではないだろうか。
過去問でも抜き出されたことはおそらくないと思われる。
イ・エ・オが取れれば及第点かと思われる。
大問2 正誤問題(標準)(2/5)
内容としては標準的だが、自分が造船法が苦手ということもあり芳しくない結果だった。
(1)(2)(4)が取れれば及第点かと思われる。

19国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律
(やや難)(7/10 及第点6)

用語補充(やや難)(7/10)
ア、イ(乗組員以外→船舶保安統括者の識別)、エ、オが少し難しかったのではないだろうか。
備え置か(なければならない)と備え付け(同)で迷い、変えなければ正解だったのにと少し後悔している。
あと、添付の添の字を間違えてしまった、、
ウ、カ、キ、ク、ケ、コが取れれば及第点かと思われる。

20船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(易)
(10/10 及第点10)
用語補充(記号解答)(易)(10/10)

この科目は出題歴が浅い(R1~)なので、出題パターンをひねってくるか少し不安だったが、過去問通りの出題だった。
16船舶安全法が難しいのでカバーする意味でも満点を取る必要があるだろう。
ア~コが取れれば及第点かと思われる。

まとめ

及第点の合計が148/240(61.6%)と算定しました。もちろんこれを下回っていても、今回は難易度が高いので144点以上147点以下でも合格になる可能性が大いにあります。
受験してみて、20点満点の科目と憲法で高得点を取って、残りの科目は過去問で出題された所に絞って学習して最低限は取り切るという意識で計画を立てるのが、合格(とりわけ短期合格)するにはいいように思います。
1次対策時間を使いすぎるより、早期から2次の口述試験の対策をしたほうがいいのかも知れません。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
皆様の合格を心から祈念しております。







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