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隠れ家の不良美少女 83 軽井沢

朝から母と娘はオシャレしている。
「お母さん、カッコいいよ」
「そうかしら………」
希美子さんは見違えるようになった。
「お母さん、セレブのママみたい」希和は嬉しそうに希美子さんの周りを回る。
メイクをした希美子さんを初めて見た。
「なるほど……和也さんが好きになるのも当然だ……」俺は頷く。
希和が可愛いと言われるルーツがそこに存在した、やはり美形の家系なんだと確信する。

「じゃあ出発しましょうか」俺は車のリモートスイッチを押す。
「ピッピッ・・・」ドアが自動で開く。
希美子さんは不思議そうに見ている。
「凄い、ドアが勝手に開いた」
「うちの軽ワゴンとは違うね」希和が笑っている。
三人は車に乗り込み出発する。
本庄児玉から高速道路に入り、軽井沢へ到着した。
とりあえずショッピングモールで早めの昼食を食べる。
それから、少しアウトレットの並ぶお店を見ながら散歩した。

「すみません、キナコさんですよね?」
若い女の子3人組が話しかけてくる。
「はい……」希和は恥ずかしそうに頷いた。
「フアンなんです、是非一緒に写真をお願いします?」
希和は不安そうに俺を見る。

「今日はプライベートなのですが、フアンの方ならみんなで一枚だけ良いですよ」
「ありがとうございます」三人は嬉しそうに希和と並んだ。
俺はスマホのシャッターボタンを押してブレが無いかを確認すると彼女達に返す。
「これからも頑張ってください、私たち応援してます」そう言って手を振った。

その後軽井沢銀座通りやリゾートテラスなどにも立ち寄る。
あちこちでキナコは声をかけられた。
その度に少し緊張した笑顔を返す。
夜も軽井沢のレストランで食事をした。
希和も希美子さんも何処となく落ち着かない様子だ。
帰りの車の中で希和は言った。
「キナコを知ってる人が増えるのは嬉しいけど……ちょっと窮屈だね」
希美子さんも頷く。
「これからは外出する時、気をつけないといけないのね」

「そうですね、軽井沢はまだ良い方だと思います、これがイベントになったら大変だと思いますよ」
「そうなんだ」希和は唇を噛んだ。
「希和、大変だけど頑張って」希美子さんは希和の背中をポンと叩いた。

二人を軽井沢へ誘ったのは、今後イベントに出るためのステップが必要だと思ったからだ。
俺自身もしっかりサポートしなくてはいけないなと改めて思った。

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