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Dear slave 親愛なる奴隷様 Loveですぅ! 第21話 世界のセナ

 朝目覚めたが琴音さんは起きてこない、無理に起こすのもどうだろうと考える。
今日は学校を休む事にして電話を入れ風邪で熱があると嘘をつく。先生は両親がいない事を知っているので、僕の電話だけでも大丈夫なのだ。お昼になってやっと琴音さんが起きてくる。

「おはよう星七、今日学校は?」

「今日は風邪気味なので休みました」

「そうなの?大丈夫?」

「大した事はありません」

「もしかして、私のために休んだの?」少しだけ上目遣いだ。

「自分の体調が8割です、後の2割は琴音さんが気になるからかもしれません」

「星七はやっぱり優しいなあ」そう言って抱きしめようとしている。

「風邪なのでくっつかないほうがいいですよ」むやみやたらのスキンシップを拒絶した。

「う………………」少し不満そうだ。

「ご飯食べれますか?」

「ううん、まだ無理みたい」

「じゃあスープくらいなら飲めるんじゃないですか?」

「そうね、それくらいなら………」ゆっくりとうなずいている。

 僕は冷凍庫にあるスープをレンジで温める。美味しくてヘルシーなスープだとネットで紹介されていたので買っておいた物だ。温めて渡すと琴音さんはゆっくりと口へ運んだ。

「おいしいねこのスープ!」

「アレルギーにも優しいスープだと書いてあったので買っておいたんです」

「そうなんだ、星七は優しいなあ」また抱きつこうとしている。

「だからスキンシップはダメですってば」僕は眉を寄せる。

「う〜んつまんない!」琴音さんは口を尖らせ、すこし拗ねた表情を見せる。

 僕はホッとして胸を撫で下ろす。午後になって琴音さんは元気を取り戻してきた。

「ねえ星七はゲームとかやらないの?」

「たまにはやりますけど………」

「そう、嫌いじゃないんだ」

「嫌いじゃないけど、特別好きなわけでもないですね」

「ここにゲームはないの?」

「カーレースのゲームならありますけど………………」僕は口ごもる。

「そう、じゃあそれをやろうよ!」琴音さんの瞳が輝き始める。

「やっても面白くないと思いますよ」僕はできれば避けたいと思っている。

「何それ、やってみなきゃわかんないじゃん!」やる気がみなぎってきている。

もしかして自身があるのかもしれない。仕方なく僕はゲーム機を引っ張り出し準備した。
ゲームの画面が表示されると、琴音さんは慣れた手つきで車を選び、装備を整える。
僕は適当に車と装備を選んだ。

「さあ行くわよ星七、GO!」

画面は動き出し二台の車が順調に走り出すと琴音さんは僕の操作をチラ見する。

「ふ〜ん、随分慣れた感じね。じゃあ遠慮しないわよ」宣戦布告してきた。

僕は淡々と琴音さんの車についていく。しばらくすると引き離せない状態に不満を持ったようだ。

「ねえ星七、真剣にやってる?」

「まあそれなりに………」

「何それ、ちょっとムカつく!真剣にやってよ」

 僕は仕方なくゴールの前で追い抜き琴音さんに勝ってしまった。琴音さんは全身を震わせている。

「もう一回やるわよ!」琴音さんの体からメラメラと炎が出てるように見えた。

 何度やっても勝てない琴音さんは「もう一回!」そう言って辞めようとはしない。負けず嫌いの琴音さんはきっとこうなると思ったので進めなかったのだ。僕は完全にコースやテクニックを把握している。ゲームセンターでも負けることはほぼ無い。

「もう………また負けた………何でそんなに強いの?」頬を膨らしている。

「だって僕はセナだから………………」ポツリと漏らす。

「そっか………世界のセナだもんね………だったら勝てないよね」琴音さんはやっと諦めてくれた。

「小さい頃から散々やらされたんで………」僕はゲーム機を片付けた。

 負けたことが悔しい琴音さんは天井をボーッと見て放心状態になっている。僕は言葉をかけることができず放置する。しばらくするとおもむろに僕を見た。

「ねえ星七、お腹空いてきた、どっか食べに行こうよ」

「えっ、風邪で学校を休んでるのに外食へ行くんですか?」

「そっか、それはまずいよねえ」しばらく考えている。

「ラーメン食べたい!どっか注文できないの?」僕を見つめる。

 僕は冷蔵庫の横から取り寄せられるメニューを引っ張り出し琴音さんへ渡した。

「この味噌ラーメンがいい!」

「はい」僕は味噌ラーメンを2杯注文した。

 届いたラーメンを啜りながらなんとなく聞いてみる。

「もう、お酒の対決はやめたほうがいいんじゃないですか?」

「そうね、今回は体調がイマイチだったからヤバかったかもしれないわね」

「絶対負けない方法がありますよ、本に書いてあった事ですけど」

「えっ、どんな方法?」琴音さんはどんぶりを置いて僕を覗き込む。

「それは………戦わない事です、戦わなければ負ける事はありません。今日はお酒を飲む気分じゃないわ、そう言って相手にしなければいいと思います」

「そうか、その手もあるか、じゃあ今度から体調が悪い時はそう言って戦うのを辞めよう」うなずくと残ったスープを啜った。

「体調がいい時はやっぱり戦うんですか?」僕は呆れながら聞いてみる。

「体調が良ければ絶対に負けないもの」自身ありげに口角を上げた。

 僕はふ〜っとため息をついた。

「僕は酔っぱらった琴音さんのワンピースを脱がせました。でも琴音さんを大切に思ってない人が脱がせるのは嫌だと思います。

「えっ………」琴音さんは一瞬固まる。しかしその後ニヤリとして小悪魔感が溢れ出す。

「もしかして星七は私のことが心配?もしかして………」

僕は冷めた表情でイトコですから」そう答えた。

「だよね………イトコだもんね」琴音さんから小悪魔の表情がスッと消えた。

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