隠れ家の不良美少女 51 レコーディング
土曜日になり、キナコのレコーディングと撮影の日がやって来た。
録音用の機材を知り合いの音響さんから借りたので、奏太くんにオフィスに寄って持って来てくれるようにお願いしている。
朝から2階の部屋で準備していると、美奈さんと詩織さんがやって来た。不良くんが運転して幼馴染くんもいる。
「おはようございます友希さん、今日はよろしくお願いします」にっこりと微笑んだ。
「おはようございます美奈さん、大勢で来ましたね」苦笑いする。
「隠れ家、カッコいいっすね兄貴!」不良くんは幼馴染くんとあちこち見回している。
「だから兄貴はやめろって言ってるだろう!」
「はい、兄貴!」眉を寄せ敬礼している。
みんなが笑っている、俺は頭をかくしかリアクションできない。
希和が大きなバッグを背負ってバイクでやって来た。
「友希さんおはよう」相変わらずの暑苦しい笑顔だ。
「…………おはよう」また俺は頭をかいた。
しばらくすると奏太くんが軽のワゴン車でやって来た。
何と助手席で未来ちゃんがニコニコと手を振っている。
「先輩!来ちゃいました」
「何んで来たんだよ」俺は眉を寄せる。
「あっ!一瀬さんまずかったですか?」奏太くんが不安そうな顔になる。
「別に問題無いけど」俺はぎこちない笑顔を返す。
「えへへ……」未来ちゃんが少し舌を出して笑った。
早速2階に機材を運び込み準備する。
コンデンサーマイクやプリアンプ、コンプレッサーなど録音に必要なセットアップが出来上がった。
その背後には奏太くんが撮影用の機材を準備している。
横の部屋では希和が美奈さんや詩織さんにメイクをしてもらっている。
衣装に着替え、メイクした希和が入って来た。
「友希さん、似合う?」一見ロリータ風でレースが多めの豪華で可愛い衣装だ。しかも同じデザインで赤と青が用意してある。
「凄いな!さすが希和のお母さんだ……」俺と奏太くんは絶句した。
「そうか……モノクロから赤になったり出来て、しかも自然の中では青になったりできるように…………」感心している。
「そうか、ブルーバック用の赤と水の妖精で青か……」奏太くんと顔を見合わせて納得した。
初めは歌を録音する。
録音が上手くいったら、映像を撮り始める予定で進める。
カラオケのキーを合わせて、何度かリハーサルをした。
キナコの歌はしばらく続けたレッスンの成果もあり、声にハリがあって上手く録音出来た。
録音が終わると、その歌に合わせながら全体からアップ、そして細かな表情など録画していく。
奏太くんは照明を変えたりしながら、何度も映像を撮り続けた。
俺の横で見ていた未来ちゃんが小声で行った。「キナコちゃん凄い、敵わないや……」
お昼過ぎには大まか撮影が終了した。
前の小川を見た奏太くんが「キナコちゃんが小川で遊ぶシーンが撮りたいですけど」俺に確認する。
「そうだね、いきなり水の生まれる所に行くより、小川のシーンがあっても良いかもね」俺も納得した。
キナコは青の衣装に着替え小川に裸足で入って微笑んだ。
不良くんと幼馴染くんはレフ板を持ってキナコに光を集める。
「いいよキナコちゃん!水をこっちにかけてくれよ」
キナコは楽しそうに水を手ですくってカメラの方に向かって飛ばした。
「OK!今日はこれで終了です」奏太くんがガッツボーズをした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?