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「現地レポ」中国の隔離はどんな感じ?上海で隔離してみて分かったこと

急遽の出張でそれを味わえることになって、別の意味で思い出に残る体験だった。
上海は、日本からの入国者に対して「14日間集中隔離+7日間健康モニタリング」計3週間の水際対策措置を取っている。
飛行機を降りてから自由に行動(場合により一部制限あり)ができるまで、丸3週間かかり、計6回のPCR検査を強いられる。

隔離ホテルはガチャガチャを引くのと一緒

飛行機が着陸してから降りるまで1時間、
PCR検査からスーツケース取るまで1時間、
隔離手続きからホテル行きのバスに乗るまで1時間。

旅客以外のスタッフは、皆、防護服を着用し、物々しい雰囲気を漂わせていて、別の惑星に上陸したような非日常感が味わえる。

海外在住中国人の間でも話題になっており、集中隔離ホテルは選択不可で、空港のスタッフは、誰ひとり行く場所を知らず、外に待機しているバスの運転手のみが把握している。
事前に情報収集したところ、バスタブやウォシュレットなどが整備された清潔感のある隔離ホテルが存在していることを知り、当たりやハズレの基準が、おぼろげながら浮かんできた。結果、見事にハズレを引いた。

おんぼろホテルで、部屋の壁紙に剥がれた箇所があり、床やテーブルに目立つ汚れもあり、蛇口に水漏れもある。
ウォシュレットやバスタブ、冷蔵庫も無し。窓は消毒液の跡が「キレイ」に残されている。市街地から離れているせいか、出前は不可で、宅急便の受け取りは可能。エレベーターがないので、部屋に辿り着くまでも一苦労だった。何より、日本語や英語などの外国語対応できるスタッフがいない。 

隔離生活ってどんな感じ?

06:00 PCR検査(14日間計3回、鼻咽頭検査、痛くてつらい) 
08:00 朝食 
09:00 検温(防護服のおねえさんが非接触検温器で測ってくれる) 
11:30 ランチ 
14:00 検温(午前と一緒) 
17:30 夕食 
22:00 就寝 
部屋から出られないので、ある意味、修行と言っても過言じゃない。
やることがない時、有意義な日々の過ごし方が分からない人にとっては、苦痛な2週間になるかもしれない。
まあ、ガマン大会に参加しているとでも思った方がよい。

(1)PCR検査も検温も、時間になったら必ず来る。ドアを開けるまで防護服のおねえさんがノックし続けるので、アラームを設定した方が良い。
(2)ホテルのネットが非常に不安定なため、ポケットWIFI、またはデータ通信SIMカードを事前に用意した方が良い。どちらにしても、ネットが不安定な隔離ホテルに泊まることになったらどうしようもないので、ホテルだからといって、普段通りにテレワークができるだろうと思わない方が良い。 
(3)日本在住の皆さんにとって馴染みのある動画サイトやSNSにアクセスするには、こちらのリンク(英語サイト)より関連情報を確認することが望ましい。 
(4)布団が重いせいか、隔離のストレスのせいか、ほぼ毎日、なかなか寝られなかった。 
(5)照明が妙に暗くて、パソコンや携帯を長期間使用したら、目がじくじく痛くなるので、ストレスが溜まる一因になった。
(6)電気ケトルが用意されたため、ドリップコーヒーや焼酎のお湯割りが楽しめる。 

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隔離メシは不味いと思ったほうが良い

中国の食事メニューには、四菜一湯とのコンセプトがあり、その起源は明の時代まで遡ると言われている。料理四品にスープ、コメが主食、フルーツがデザート。朝昼晩の隔離メシは、弁当のようなスタイルだけど、それを踏襲している。

新鮮な野菜が少なく、炒め物や揚げ物や炭水化物が多い。米の量が多く、一度も完食はしなかったが、料理に関しては種類が多くてなかなかダブらない。

昔の中国の学食レベルなので、食にこだわりのある人にとっては、厳しいかもしれない。水際対策とはいえ、出前が頼めないホテルに泊まることになった場合は、覚悟した方が良い。 

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隔離生活に持参したものは? 

ふりかけ、即席スープ、ドリップコーヒー、焼酎、スナック、プロテイン、紙コップ、石けん、シャンプー、ハンドクリーム、スリッパ、旅行用洗濯洗剤、ファブリック、ハンドタオル、ニンテンドースイッチなど。

基本、2週間出られないことを想定して、事前にシュミレーションした上で、自分にとって本当に必要なものを用意した方が良い。シングルハンガーは、部屋に置いてあった。 

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7日間健康モニタリングへの準備 

隔離解除まで4日。
3週目の意向が聞かれる。上海に滞在するので、該当の誓約書(中国語のみ)が渡されて、サインをして、携帯で写真を撮ってWeChatアプリを通じてスタッフに送信をすれば済む。
この時点では、下記(1)のホテルを確定しなければいけない。隔離解除は、入国してから丸14日なので、夜7時スタートであれば、解除も夜7時になる。その際に、隔離解除証明書やPCR陰性証明書や黄色の健康コードが与えられる。(厳密にいうと、隔離解除の日の朝には、赤から黄色コードに変更される。)

 (1) 原則としてホテル泊まるには緑の健康コードが必要で、7日間健康モニタリングを実行するために、「黄色コード+隔離解除証明書」との組み合わせで宿泊可能か、ホテルに電話をして確認をしなければいけない。
中国のSNS(小紅書など)には中国人留学生や帰国した人の体験談が多く投稿されているので、自ら情報収集する以外に、方法がない。受入可能のホテルは、思ったよりずっと少なく、いうほど選択肢がない。
(2) 離れた場所にある隔離ホテルから脱出する移動手段は、定刻の無料バス(ただし空港行き、夜に隔離解除の場合、翌日の便しか利用できないため、1泊延長することになる)またはタクシー(事前に自ら電話で隔離解除の日時を伝えて予約をする必要あり、外国語対応不可)
(3) 黄色コードなので、通常と変わらず外出(地下鉄やバスなど)が可能とはいえ、飛行機や新幹線や高速バスの搭乗はできるが目的地で集中隔離または自宅待機が必要で(地域によって対策異なり)、ショッピングセンター、クリニック、学校などの施設への立ち入りができないという。大まかに言うと、黄色コードをお持ちなら、健康コードの提示が必要な場所に入れないと思っても問題ない
2021年11月現在、日本入国時の検疫で出国前72時間(検体採取から搭乗予定航空便の出発時刻まで)以内の検査証明の提出が必要で、原則、厚生労働省所定フォーマットを利用しなければいけない。(所定フォーマットによる証明の発行が可能な医療機関は、在中国大使館または各領事館ホームページに確認してください。)
出張を早く済ませて、黄色コードで上海から出国できるかというと、黄色コードで特定の医療機関への立ち入りができるどうか、その結果次第。何社か電話をして確認したところ、ダメだった。隔離解除してトンボ返りで日本に戻ってくる事は、当面できないだろう。

「緑のコードがあれば安心」の落とし穴、「行程カード」

上海での健康モニタリングを終えて、緑のコードがあれば大丈夫だろうと思うかもしれないが、実は、別に「行程カード」という、モバイルビッグデータや携帯のブルートゥースを活用して、14日以内に感染者と同じエリアに行ったかを確認できるサービスが存在し、一部の施設(ショッピングセンターやホテルなど)が行程カードの提示も求める。また、一部の地域に移動(飛行機の搭乗など)するためにそのカードの提示も不可欠という。
今回は使われていないが、中国国内の携帯番号持たないと申し込めないとのことで、現地の人とほぼ同様な生活をするには、入国してからおよそ1ヶ月かかりそう。

留意事項
(1)中国への渡航に必要な手続きなどは、必ず在中国日本国大使館または駐日中国大使館ホームページに確認してください。
(2)中国国内で省をまたぐ移動は、必ず各地域の水際対策を確認してから行ってください。
(3)中国の水際対策は、時々刻々に調整しているようで、本文の内容に鵜呑みにせず、渡航する前に、必ずご自分で確認してください。


校閲:Chiba
作文&Photo credit:K.K.

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