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シンプルに生きるということ

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Explaygroundでは、これからの未来の社会と学びの関係に目を向ける映画上映&対話の会を行っていきます。第1回の今回は、米国のタイニーハウスムーブメントを紹介しながらシンプルな生き方について考えさせる映画「Simplife」を上映しました。

より便利で多くのモノに囲まれて暮らしたいという欲求を追求してきた20世紀。幸せを手に入れるために多くのお金を稼ぐ必要があり、そのためにはつまらない仕事でも我慢してやってきた時代。仕事は効率化が求められ、それに資する人材が求められ、教育もそれを意識せざるを得ませんでした。

しかし、21世紀の現代ではそのような主流とは異なる暮らしを選択する人たちが増えており、「タイニーハウス」も一つのムーブメントになりつつあります。貧乏だからではなく、自由で自分らしく生きるための選択。この映画では、タイニーハウスで暮らすことを選択した人々の想いを綴っています。

今回は学芸大 鉄矢先生の研究室を会場にお借りしました。木工を通じた教育に取り組んでいる先生のお部屋は木工道具がたくさん並んでおり、これらを使えばタイニーハウスの内装ができてしまいそうです。

上映が終わってから、参加者同士で対話を行いました。まずタイニーハウスに住んでみたいかと尋ねてみたところ、なんと8割の人が手を挙げました。中には「今住んでいるアパートが狭くてタイニーだ」という人も。最近の東京では(特に学生向けの)シェアハウスが増えており、シェアハウスでの生活もタイニーハウスと共通するところがあるのではないか(例えば隣人と助け合いが起きやすいこと)、という意見がありました。この映画の舞台は米国なので、雄大な大自然の中で暮らしている家族もあれば、複数の人がタイニーハウスを寄せ合って建ててコミュニティを作っているところもあり(シェアハウスに近い形)、参加者たちも「自然も魅力だけどコミュニティも大事。独りになりたいこともあれば人恋しくなることもある」というバランスで迷うという声もありました。

映画の中では、タイニーハウスを自らの手で作っている人がほとんどでした。家を建てるなんて大変そう、と思ってしまいますが、参加者の一人は子供の頃に祖父母の家がまさに自給自足的な暮らしで、風呂場の建物まで自作してしまう大人たちを見て育ったという体験を話してくださいました。現代の我々は消費生活に慣れきってしまっていますが、既製品に自分を合わせるのではなく、自分に合ったものを自分で作るということの魅力を改めて感じました。

しかし、大事なのはタイニーハウスに住むことではなく、一度生活をシンプルにしてみることによって、自分自身の内面と向き合い、何が自分にとって大切なのか、自分らしい生き方とはどういうことなのかを考える機会になることだ、というところに参加者の多くが頷いていました。映画の中でも、一度タイニーハウスを体験した後にアパートに戻った家族や、タイニーハウス生活を始めた最初の1ヶ月は悲惨だったけど家族の相互理解にとって必要なプロセスだったという体験談も紹介されていました。

今回一緒に参加してくださった学芸大 小森先生によると、米国では70年代以降に資本主義の行き過ぎを懸念する動きが起こり、80年代にはタイニーハウスに代表されるようなシンプルな暮らしを指向する草の根の動きになったとのこと。その象徴がデュエイン・エルジン著の「ボランタリー・シンプリシティ」だそうです。その後もこのムーブメントはじわじわと広がっていったものの、社会の大勢は資本主義にますますまみれて行き、バブル景気やリーマンショックなどを経て最近再び見直されつつあるとのことです。

実は「ボランタリー・シンプリシティ」の中でも言及されていることですが、シンプルな暮らしと日本文化はとても相性が良いということも話題になりました。雑多な要素を排して本質を際立たせることについては、刺し身や寿司もしかり、お茶の文化もしかり。それに江戸の生活は今よりもずっとサステナブルで、ほとんどお金を使わずとも共助やシェアリングなどで成り立っていたという話も。江戸文化ももっと見直したいという声が上がりました。

ではこれからの未来を生きる人たちは何を学ぶべきか。まずはタイニーハウスを作ってみれば良いのではないか、あるいは地域の空き家を活用して気の合った者同士でリノベして使ってみるのも学びになる、という意見が出ました。なかなか自分からは踏み出せない人にとっては、そういうことをやる人が次々現れるのを見ることも刺激になるかもしれません。

自分の暮らしを自分の手で作っていく、その中から自分らしさを見出していく、それを進めていく中から学びを得ていく、そういう実践を教育にも取り入れて、大人も子どもも混じって活動していける場を作って行きたいなと改めて感じました。

さて、次回はこれからの学校のありかたを考える映画「Most Likely to Succeed」でディスカッションします。既に多くの学芸大学生が申し込みつつありますので、奮ってご参加ください!
12月13日(金) 18:00-21:00の回は、こちら。
12月18日(水) 15:00-18:00の回は、こちら。

(フジムー)

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やってみて 、追求して 、つくりだす 。 いつだって 、世界を変えたのは変わり者だった。何にも負けない『好き』の力が新たな世界を創造する。 東京学芸大学とMistletoeの新たな教育の試み。エクスプレイグラウンド。
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