「なかったことにする」技
この国で働いてみたいなと思い、日本語(と英語)さえできればよくて、オンラインじゃなくて、オフィスに行かれる仕事を探して応募してみたらダメだった。履歴書の9割は”省略”したりしてそれは仕方ないのだが、驚いたことにダメとわかった直後にほんのすこし凹んだだけで5分後にはもう元気になっていた。
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昔はリジェクションに弱かった。すぐ心が折れた気がするが、歳をとると平気になってきたな。なぜだろうと考えてみると5分後には応募したことすら忘れかけていたからだったとおもう。これは「なかったことにする」わざが身についてきたのではないか。
いろいろ起こったことを反省してこれからに生かすほど先の長い人生でもないので、もう心が折れそうなことも過去に起こったあれもこれも「なかったこと」にすれば良いのだとおもいました。
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まだ4時半だというのに隣の建物の一階(地上階)にあるカフェにはおじさん達が集まってきてビールを飲みながらがやがやとしている。ヨーロッパの午後はちっとも陽が落ちなくて長い。このおじ(い)さん達もビールのみながらEURO2024でもみて面倒くさいことは「なかったことにする」気がする。