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あの経験がこんなところで役立つとは

住んでるボロビルで屋根を修理することになった。

もう何年も雨漏りがひどかったらしいのだが、管理費を払わない持ち主やら相続のごたごたで空き家のままのアパートやらがあって修理のお金がなかったらしい。が、冬の雨シーズンになる前になんとかみんなでお金を集めて修理にこぎつけたという貧乏アパートビルだ。

先週、工事を請け負った会社から「工事中の資材をおいておく場所がありますか?」と私にポルトガル語でメールがきた。なぜ私にくるのかというと、大家達は遠くに住んでいたりして私以外だれも返事をしないのでいつのまにか私が連絡仲介役になってしまった。なので、この質問を大家のWhatsappグループにポルトガル語で送ると、ベリシモおじいさんから「地上階にストレージがある。けどゴミでいっぱいだから使えるかどうかわからない。だれのゴミかもわからない。」という返事がポルトガル語でくる。他の大家からは「そんなもの(ストレージ)があったんだ!」と驚きのメッセージがはいる。どういう人々なの?

(そうです。このグループのやりとりはすべてポルトガル語でおこなわれてしまうので、仲介役の私はGoogle翻訳とChatGPTを駆使してやりとりを仲介しています。)

とにかく資材置き場がないと工事が始まらないので「(しかたないから)私が片つけるけど、ストレージになにか置いてる人いますか?」と聞くが、だれからも返事がない。ベリシモさん以外ストレージの存在をしらなかったんだもんな。そしてベリシモさんは長年の立ち仕事で腰を痛めている。

ストレージを見にいくと、誰かが昔リノベにつかったらしい建築材の端切れとか解体したベッドとか古い換気扇とかでいっぱいだった。ここで普通の人ならげっそりするところだろうが、両親の(半)ごみ屋敷を片つけた経験者の私の目には ”なんだ、こんなものか。まったく恐るにたりないじゃん” と映る。さっそく手袋とマスクをして、ガラクタを近くゴミ置き場にどんどん運びはじめる。たぶん昔料理につかったらしいガスのシリンダー3個を残して全部すててやった。シリンダーはベリシモさんがガス会社に連絡するという。

というわけで結局数時間でストレージを空にしました。あの辛かった実家掃除の経験がこんなところで役に立つとは、人生は何が役立つかわからないものだ。