見出し画像

DXもどき...DXはデジタル化じゃないよ?

先日、ある国家ライセンスの受験申し込みをしようとパソコンで申込みサイトにアクセスして必要事項(氏名や年齢、住所、受験資格等々)を入力すると、「この先はスマホに移行しますので表示されたバーコードを読み取ってください」という表示が出てパソコンの画面はクルクルと待ち受け画面に。

スマホでバーコードを読み取ると「指示に従い運転免許証の表裏と45度角度の画像を撮影」「自分の顔写真を自撮り」「画面の枠の変化に合わせて顔を近づけたり離したり」という指示が出てその通りに撮影すると「ではスマホを閉じてパソコンに戻ってください」との指示。

パソコンに戻るとクルクル待ち受け画面が消えて「申し込みが完了しました注意事項は...」との表示、全部で5~6分で申込が完了しました。

なるほど、これもデジタライゼーション(業務や作業そのものをデジタル化すること)の一例だとITにはトンと弱いので大いに感心しました。

○ デジタル化=DXじゃないよ

インターネットの発展により「工業社会」から「情報社会」へとテクノロジーは急激に進化しています。
あまりの急すぎるテクノロジーの変化に追いつき、これを経営に生かすために私たちも急速な組織変化を求められています。

それがデジタル革新と呼ばれる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の本質です。

ですから単に...
「物理データをデジタル化すること(デジタイゼーショ)」
  例えば紙やFAXでやりとりしていた請求書をPDFすること。
「業務や作業をデジタル化すること(デジタライゼーション)」
  例えば契約書の作成からやり取りをWeb上でできるようすること。
を意味するのではないのです。

「ツールや制度や風土全体の組織体制を革新することにより生産性や競争力を高めお客様に新たな価値を提供する」ことがDXの本質的な目的なのだと思います。

主役は「革新」であってデジタルは「手法・ツール」にすぎません。
DXとデジタル化の違いは「目的」にあります。

デジタル化とはデータや業務の流れをデジタルに乗せてIT化するという施策を指しますが、DXはデジタルをツールとして全体最適と顧客提供価値の創造を目指すことを意味します。

○ DXの本質とTOPの覚悟

経済産業省の発表によると日本企業のDX成功率は3.1%とされます。
また、中小企業のほとんどはまだ手つかずの状態にあります。

周囲を見回すとほとんどが「作業のデジタル化」が目的になっていて本質的な革新につながるようなDXに辿り着いている企業は見当たりません。
DXとは名ばかりのただのデジタル化、DXもどきに留まっています。

DXの本質が「革新」にあるとするとその担当者は
経営理念を理解している
全体最適の視点がある
コミュニケーション力がある...等
の資質が備わっていないと成功に導くのは難しいと思います。

●明確なビジョンが不可欠

経営者のDXの本質についての理解が乏しく「DX担当者に丸投げする」...企業革新に失敗する会社の典型例です。

担当者はそれが仕事ですからDXの本質的な意味や目的を考える前に「デジタル化が会社の方針です」とばかりに思考を止めてテクニカルな手法と部分最適に走りやすく現場を混乱させます。

まずは、経営者が理念に基づく明確な「決断(意志)」を示し先頭に立つ必要があります。

●目的は顧客提供価値の向上

「事業の成果は社外(顧客)にあり」。

事業の本質を忘れDXの本質を理解せず手法にだけに興味を持ち「AIだ」「IoТだ」「VRだ」と流行に乗り効率化や生産性ばかりに目が行くのがダメ経営者の典型です。
  
DXにより「どんな革新」を生み出し...
お客様に「どんな価値」を創造し...
自社の経営理念をどう達成するのか...

それを明確にできなければDXの成功は難しいと同時に無意味ではないでしょうか?

つまりデジタル化という先端のテクノロジーを思い通りに活用するには
組織の根っ子の泥臭い「理念」...
実際に活用する「現場」との密なコミュニケーション力...
手法にだけ捉われず「全体」を俯瞰する視点...
それらが大切なのだと思います。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?