見出し画像

経営者の責任...社長への期待、器、覚悟

経営者と社員の違いとは...?
経営者になった途端に世界は全く違うものになるのです。
社員や管理職の延長線上に「経営者」は存在しません。
まったく「別」の仕事なのです。

◯ 経営者の責任

以前、ある株式公開直前の中堅会社の社長さんから“経営者の責任”と心構えを分かり易く伝えるお話として、こんな話を伺ったことがあります。

もし、サラリーマンだったら、何よりも家族を大切にして円満で明るい家庭を築いていれば周囲から誉められ羨ましがられる。
でも、それが経営者だったら「お前は、自分の家族さえ幸せならばそれで良いのか」と問われる。では、家族以上に社員を大切にして、皆が喜ぶ良い会社を作ったとしたら、今度は「自分の会社さえ良ければそれで良いのか」と問われる。それでは、取引先やお客様を大切にし、地域社会にも貢献したとしたら、次には「自分の取引先と横浜さえ良ければそれで良いのか」と問われる。じゃ日本全体が良くなるために貢献しようと頑張れば「お前って人間は、日本さえ良ければそれで良いのか、なんてミミッチイ人間なんだ」と問われる。
つまり、“経営者”になるということは、その瞬間に、家族や自社だけでなく、日本どころか世界や地球や宇宙全体に対する重い責任が生まれることを認識しなければならない。

◯ 経営者への期待

そのお話を伺った時に、「経営者の責任」についてハッキリ理解すると同時に、その責任の大きさに身震いしたことを思い出します。

もし社員の前で「俺はお前達よりも家族や自分が大切だ」と公言したとしたら、社員は口では「そりゃ当たり前ですよ」と言いながらも、間違いなく心の中で落胆します。
社員は会社を飯を食うための仕方ない労働の場だと感じ、会社の何千倍も自分や家族を優先していても、社長は自分を一番大切にしていてくれるべき存在だと考えるのです。

◯ 経営者の器

昔、ワタミ㈱の渡邉社長から伺った「会社の規模は、自分が何人の人を愛せるかで決まる。十人しか愛せない人は十人の社員で、千人の人を愛せるのなら千人の社員で、それが適正規模だ」という言葉を思い出します。

誰もが事業の形態や売上で会社の規模を計画しますが、側から見ていると、間違いなくその経営者の“器”というものが見えてきます。
そのことを見誤ると、会社は必ず難しい問題を抱えることになります。

会社規模の大小に善悪はありません、適正規模で社会的な責任を正しく果たせば良いのです。ただし、経営者になり社員を雇うとすれば、自分自身の価値観を見直し成長し続ける覚悟をしなければなりません。

◯ 経営者の覚悟

また、中小企業の事業承継の問題が大きくクローズアップされる中では、後継者となるべき人の資質を考える上でも、技術や知識や能力以上に、その“器”(価値観)の大きさは大きなファクターとなります。

どんな経営課題にぶち当たっても、常に「自分の立場」を優先せず、「社員全員のこと」「お客様のこと」「日本中の仲間のこと」を広い視点から全体最適で捉えられる資質を見極め、“会社のミッション”を最優先して力づくでもリードできる強い人材を育てていかなければなりません。

その第一歩は、“本人の覚悟”なのです。なぜならば、「経営者」は「社員や管理職」の延長線上にあるのではなく、まったく異質な職業だからです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?