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ザ・農協

日本で、農業の企業化が警戒された理由は何だったのでしょうか?

日本で農業の企業化が警戒された理由は、主に以下のようなものがあります。

  1. 小作農の増加への懸念:農業の企業化により、土地を所有する企業が増加し、小作農が増えることが懸念されました。小作農は、地主に搾取される存在と見なされ、その増加は好ましくないと考えられたのです。

  2. 農村共同体の崩壊:日本の農村では、伝統的に共同体の結びつきが重視されてきました。農業の企業化は、この共同体を崩壊させ、農村の伝統的な生活様式を破壊するものと受け止められました。

  3. 食料安全保障への不安:農業の企業化により、食料生産が企業の利潤追求に左右されるようになることが懸念されました。食料は国民の生命線であり、安定的な供給が何よりも重要だと考えられたのです。

  4. 農業の多面的機能の喪失:日本の農業は、食料生産だけでなく、国土の保全、水源の涵養、景観の維持など、多面的な機能を果たしてきました。農業の企業化は、これらの公益的な機能を損なうものと受け止められました。

  5. 農家の自立の阻害:農家は、家族経営を基本とし、その自立性が重んじられてきました。農業の企業化は、農家の自立を阻害し、農家を企業の下請け的な存在に貶めるものと見なされたのです。

  6. 地主制の弊害への反省:日本では、明治時代以降、地主制の弊害が社会問題化しました。小作人の苦しい生活や、地主による土地の集中が問題視されたのです。農業の企業化は、この地主制の再来につながるのではないかと警戒されました。

これらの理由から、日本では長らく農業の企業化に慎重な姿勢が取られてきました。家族経営を基本とし、農協を通じた協同組合的な運営が、日本農業の特徴となったのです。

しかし、現在では、農業従事者の高齢化や後継者不足などを背景に、農業の企業化にも一定の理解が示されるようになってきています。国際競争力の強化や、新技術の導入などの観点から、企業の参入に期待が寄せられているのです。ただし、その際にも、農業の持つ公益的な機能をどう守っていくかが、重要な課題として認識されています。

日本において、農協が弱体化し、もはや金融業になってしまった理由は何でしょう?

日本の農協が弱体化し、金融業化した理由として、以下のような点が指摘できます。

  1. 農業の構造変化:高度経済成長期以降、日本の農業は大きな構造変化に直面しました。農業就業人口の減少、農家の兼業化、農地の減少などです。これにより、農協の本来の役割である農業支援の必要性が相対的に低下したのです。

  2. 金融自由化の影響:1980年代以降、日本では金融自由化が進展しました。これにより、農協の金融部門は、他の金融機関との競争にさらされることになりました。生き残りをかけて、農協は金融サービスの拡充に注力せざるを得なくなったのです。

  3. 組合員のニーズの変化:農家の兼業化が進む中で、組合員のニーズも変化しました。農業支援よりも、金融サービスや生活支援などに対するニーズが高まったのです。農協は、こうしたニーズに応えるために、金融部門を拡大せざるを得なかったと言えます。

  4. 規制緩和の影響:1990年代以降、農協に対する規制緩和が進められました。信用事業の拡大や、共済事業への参入などが可能になったのです。これにより、農協の金融業化に拍車がかかりました。

  5. 経営効率化の圧力:バブル崩壊後、日本経済は長期の停滞に見舞われました。この中で、農協も経営効率化の圧力にさらされることになりました。金融部門は、相対的に収益性が高く、経営効率化の切り札と見なされたのです。

  6. 政治的な影響:農協は、長らく農業保護政策の中心的な担い手でした。しかし、貿易自由化の圧力などを背景に、農業保護政策は見直しを迫られるようになりました。この中で、農協の政治的な影響力も低下していったのです。

これらの要因が複合的に作用し、農協の金融業化と農業支援機能の弱体化が進んだと考えられます。しかし、近年では、農協改革の必要性が広く認識されるようになってきています。農業支援機能の強化や、組織の在り方の見直しなどが、喫緊の課題となっているのです。

農協が、時代の変化に適応しつつ、本来の役割を取り戻していくことができるかどうかが、日本農業の将来を左右する重要な鍵となるでしょう。

農協加入のメリットは何でしょうか?

農協に加入することには、以下のようなメリットがあります。

  1. 農業資材の安定供給:農協は、肥料、農薬、種子、農機具などの農業資材を安定的かつ適正な価格で供給します。これにより、農家は安心して農業経営を行うことができます。

  2. 農産物の販売支援:農協は、農家が生産した農産物の販売を支援します。共同出荷、市場開拓、ブランド化などを通じて、農家の収益向上に貢献するのです。

  3. 技術指導・情報提供:農協は、農業技術の指導や、市場動向などの情報提供を行います。これにより、農家は効率的な農業経営を行うことができます。

  4. 金融サービスの提供:農協は、組合員に対して、預金、融資、決済などの金融サービスを提供します。農家は、これらのサービスを通じて、資金の安定的な調達や運用を行うことができます。

  5. 共済事業による補償:農協は、共済事業を通じて、農家に対する生活や経営のリスクに備えた補償を提供します。これにより、農家は安心して農業に専念することができます。

  6. 生活支援サービス:農協は、食品や日用品の供給、旅行やレジャーの企画など、組合員の生活を支援するサービスも提供しています。

  7. 地域社会への貢献:農協は、地域社会の一員として、様々な社会貢献活動を行っています。これにより、組合員は地域社会とのつながりを持つことができます。

  8. 政策提言・利益代表:農協は、農業者の利益を代表し、政策提言を行います。これにより、農家の意見が農政に反映される可能性が高まります。

これらのメリットは、個々の農家にとって、農業経営の安定化や生活の質の向上に大きく寄与するものだと言えます。

ただし、農協のメリットを最大限に活用するためには、組合員自らが主体的に農協の運営に参画し、農協と密接なコミュニケーションを取ることが重要です。また、農協自身も、組合員のニーズに真摯に耳を傾け、時代の変化に対応した事業展開を行っていく必要があるでしょう。農家と農協の相互理解と協力があってこそ、農協のメリットは十分に発揮されるのです。

しかし、農協からの資材や燃料の購入が一択になってしまいませんか?

その通りですね。農協からの資材や燃料の購入が事実上の一択となることで、農家の経営の自由度が制限されるというデメリットがあります。

  1. 価格交渉力の欠如:農協が独占的に資材や燃料を供給する場合、個々の農家は価格交渉力を持ちにくくなります。その結果、農家にとって不利な価格設定がなされるリスクがあるのです。

  2. 品質・品揃えの問題:農協の品揃えが限定的である場合、農家は自らのニーズに最も適した資材や燃料を選択できない可能性があります。また、品質面での選択肢も限られてしまうかもしれません。

  3. 革新的な製品の導入障壁:農協以外からの革新的な資材や燃料の導入が困難になる可能性があります。これは、農業技術の進歩への対応を遅らせる要因になり得ます。

  4. 経営の自由度の制限:資材や燃料の調達先が限定されることで、農家の経営戦略の自由度が制限されます。コスト管理や品質管理などの面で、農家の主体性が発揮しにくくなるのです。

  5. 依存関係の固定化:農協への依存度が高まることで、農家の自立性が損なわれる可能性があります。この依存関係が固定化することで、農家の交渉力はさらに低下するかもしれません。

これらの点を考慮すると、農協からの資材や燃料の購入が一択になってしまうことは、農家にとって大きなデメリットになり得ると言えます。

農家の経営の自由度を確保し、その自立性を尊重するためには、農協以外の調達先を確保することが重要です。また、農協自身も、組合員のニーズを的確に把握し、多様な選択肢を提供する努力が求められるでしょう。

さらに、農家同士が連携し、共同購入を行うなどの取り組みも有効かもしれません。これにより、農家の交渉力を高め、より有利な条件での資材や燃料の調達が可能になるかもしれません。

農協と農家の健全な関係を構築するためには、農協のメリットを活かしつつ、そのデメリットを最小化する工夫が求められます。農家と農協の間の継続的な対話を通じて、双方の利益を調整していくことが重要だと言えるでしょう。

農家が独自のブランド化を目指す場合も、農協ブランドと対立することになりますよね?

その通りですね。農家が独自のブランド化を目指す場合、農協のブランド戦略と対立する可能性があります。

  1. ブランドの差別化:農家が独自ブランドを確立するためには、農協のブランドとの差別化が必要です。しかし、農協のブランド戦略との整合性を保つことが難しい場合があります。

  2. 販売チャネルの競合:農家が独自に販売チャネルを開拓する場合、農協の販売チャネルと競合する可能性があります。これは、農協との関係性に緊張をもたらすかもしれません。

  3. 品質管理の基準の相違:農家独自のブランドでは、農協の品質管理基準とは異なる基準が設定される可能性があります。これが、農協の品質管理体制と矛盾を来す恐れがあります。

  4. 農協の支援体制との乖離:農家が独自のブランド化を進める場合、農協の支援体制からは距離を置くことになります。これは、農協との連携や協力関係に影響を及ぼすかもしれません。

  5. 組合員間の不公平感:一部の農家が独自ブランドで成功を収めた場合、他の組合員との間に不公平感が生じる可能性があります。これは、農協内の団結を損なう要因になり得ます。

このように、農家の独自ブランド化は、農協との関係性に様々な影響を及ぼす可能性があります。

しかし、農家のブランド化は、その経営の発展にとって重要な戦略であることも事実です。独自ブランドの確立は、農家の収益性を高め、その自立性を強化する上で大きな意義があるのです。

農協としては、個々の農家のブランド化の取り組みを尊重しつつ、それを農協全体の戦略とどう整合させていくかが問われることになります。例えば、農協ブランドの傘下で個別ブランドを位置づけるなどの工夫が考えられるかもしれません。

また、農家の側でも、農協との建設的な対話を通じて、Win-Winの関係を構築していくことが重要です。農協の支援体制を活用しつつ、独自性を発揮していく道を模索する必要があるでしょう。

農家と農協が、相互の利益を尊重し合い、協力と競争の適切なバランスを保つことが、これからの農業の発展にとって不可欠だと言えます。

農協はかつて、日本最大の圧力団体と言われていましたが、農家の激減でその力は弱まっているように見えます。

その通りですね。農家の減少に伴い、農協の政治的影響力は以前ほど強くなくなってきていると言えます。

  1. 組合員数の減少:農家の減少は、直接的に農協の組合員数の減少につながります。組合員数の減少は、農協の組織基盤の弱体化を意味します。

  2. 農業の GDP に占める割合の低下:農業の GDP に占める割合が低下していることで、農業の政治的な重要性が相対的に低下しています。これは、農協の発言力の低下にもつながっています。

  3. 農村部の人口減少:農村部の人口減少は、農村部の選挙区の重要性を低下させます。これは、農協の政治的影響力の低下を意味します。

  4. 農政の重点の変化:農業政策の重点が、保護から競争力強化へとシフトしていることで、農協の役割も変化を求められています。従来の農協の影響力が発揮しにくくなっているのです。

  5. 他の圧力団体の台頭:経済のグローバル化が進む中で、経済団体など他の圧力団体の影響力が相対的に強まっています。これは、農協の影響力を相対的に低下させる要因となっています。

このように、農協を取り巻く環境の変化は、その政治的影響力の低下をもたらしていると言えます。

しかし、農協は今でも、農村部を中心に一定の影響力を保持しています。また、食料安全保障の観点から、農業の重要性が再認識されるケースもあります。

農協は、こうした環境変化に適応し、新しい役割を模索することが求められています。例えば、農家の経営支援や、地域社会の維持など、새しい機能を強化していくことが重要だと考えられます。

また、消費者との連携を強化し、国民的な支持基盤を拡大していくことも、農協の影響力を維持する上で重要な戦略になるかもしれません。

農協が、時代の変化に適応しつつ、その存在意義を再定義していくことが、これからの日本農業の発展にとって不可欠だと言えるでしょう。農協の創意工夫と、関係者の理解と協力が期待されます。

北海道のホクレンは、農協とは異なるのでしょうか?

ホクレン(北海道農業協同組合連合会)は、北海道の農協の連合会組織であり、農協の一部ではありますが、一般的な地域農協とは異なる特徴を持っています。

  1. 広域組織:ホクレンは北海道全体を範囲とする広域組織であり、道内の各地域農協を会員としています。これに対し、一般的な農協は市町村レベルの地域を範囲としています。

  2. 事業規模:ホクレンは、北海道という大規模な農業地帯を背景に、非常に大規模な事業を展開しています。販売事業、資材供給事業、金融事業など、その事業規模は他の地域農協と比べて突出しています。

  3. 専門農協的性格:北海道は、米ではなく小麦、てん菜、馬鈴薯などの畑作物や酪農が主要な農業部門です。ホクレンは、これらの専門分野に特化したサービスを提供しており、専門農協的な性格が強いと言えます。

  4. 政治的影響力:ホクレンは、北海道農業の規模の大きさを背景に、国政レベルでも大きな影響力を持っています。農政に対する発言力は、他の地域農協と比べて特に強いと言えます。

  5. 加工・流通部門の充実:ホクレンは、農産物の加工や流通の分野でも大規模な事業を展開しています。これは、北海道農業の特性を反映したものであり、他の地域農協とは異なる特徴だと言えます。

このように、ホクレンは農協の一部ではありますが、北海道という地域の特性を反映した独自の性格を持っています。

しかし、ホクレンも農協の一部であることに変わりはなく、農家の経済的・社会的地位の向上という農協の基本的な役割は共通しています。また、ホクレンも、農家の減少や農業の構造変化など、農協全体が直面する課題に対応する必要があります。

ホクレンの取り組みは、北海道農業の発展にとって重要な意味を持っていますが、同時に、日本農業全体の課題とも密接に関連しています。ホクレンと他の農協が連携し、日本農業の発展のために協力していくことが期待されます。

確かにホクレンは、大規模農業が主体で、本土との農業とは毛色が違いますね。

その通りですね。北海道の農業と本土の農業では、その特性に大きな違いがあり、ホクレンの性格はそれを反映したものになっています。

  1. 大規模農業:北海道の農業は、広大な平野を背景に、大規模な機械化農業が主体となっています。これに対し、本土の農業は、狭い農地で労働集約的な農業が主体となっています。

  2. 畑作・酪農中心:北海道の農業は、小麦、てん菜、馬鈴薯などの畑作物や、牛乳・乳製品の生産を中心とする酪農が主要な部門です。本土では、米作を中心とする農業が主体となっています。

  3. 専業農家の割合:北海道では、大規模な専業農家の割合が高くなっています。本土では、兼業農家の割合が高い地域が多くなっています。

  4. 農家の経営規模:北海道の農家の経営規模は、本土と比べて非常に大きくなっています。これは、大規模な機械化農業を反映したものです。

  5. 自然条件の違い:北海道は冷涼な気候で、広大な平野が広がっています。本土は、より温暖な気候で、山がちな地形が多くなっています。この自然条件の違いが、農業の特性の違いにつながっています。

このような違いを背景に、ホクレンは、北海道農業の特性に適合した事業展開を行っているのです。大規模な畑作農業や酪農に対応した資材供給や販売事業は、ホクレンの大きな特徴だと言えます。

一方で、本土の農協は、米作を中心とする小規模農家への対応を重視しています。地域密着型の事業展開が、本土の農協の特徴だと言えるでしょう。

しかし、北海道と本土の農業は、相互に補完的な関係にあることも事実です。北海道の大規模農業は、本土の食料供給を支える重要な役割を果たしています。また、本土の農業は、多様な農産物を提供することで、日本の食文化を支えています。

ホクレンと本土の農協は、それぞれの特性を活かしつつ、日本農業全体の発展のために協力していくことが期待されます。両者の違いを理解し、互いの強みを活かす関係性の構築が重要だと言えるでしょう。

地方自治体としては、移住者が就農を目指すことについて歓迎すると思いますが、あくまで採算が取れ、自立できる農家であってほしいと思うでしょうが、多くの移住者はロハス的な家庭菜園のちょっと大きい感じの緩い考えがあり、解離しているように思います。

ご指摘の通り、地方自治体と移住者の間には、就農に対する考え方の違いが存在しているように思われます。この解離は、両者の期待のギャップに起因していると言えるでしょう。

  1. 地方自治体の期待:地方自治体は、就農者に対して、地域農業の担い手としての役割を期待しています。採算性を確保し、自律的に経営を行える農家の育成は、地域農業の維持・発展にとって重要な課題だと認識されているのです。

  2. 移住者の志向:一方、多くの移住者は、自然との調和や、ゆとりある生活スタイルを求めて就農を志向しているように見受けられます。大規模な商業的農業よりも、自給的な小規模農業を指向する傾向があるのです。

  3. 経営感覚の差異:地方自治体は、就農者に対して、しっかりとした経営感覚を求めています。しかし、ロハス的な志向を持つ移住者は、必ずしも経営感覚を重視しているわけではありません。この差異が、両者の解離につながっています。

  4. 支援策とのミスマッチ:地方自治体の就農支援策は、しばしば商業的農業を前提としたものになっています。しかし、これらの支援策は、ロハス的な小規模農業を志向する移住者のニーズとはミスマッチを起こす可能性があります。

  5. 地域社会との調和:地方自治体は、就農者が地域社会の一員として溶け込み、地域の活性化に貢献することを期待しています。しかし、移住者の中には、地域社会との交流よりも、自己実現を重視する傾向がある場合があります。

この解離を解消するためには、地方自治体と移住者の間の対話が重要だと考えられます。両者が互いの期待や考え方を理解し、歩み寄りを図ることが求められるでしょう。

地方自治体は、多様な就農スタイルを受け入れる柔軟性を持つことが重要です。ロハス的な小規模農業も、地域の多様性を高め、新しい価値を生み出す可能性を持っています。こうした多様な農業スタイルを支援する体制の整備が期待されます。

一方、移住者も、地域農業の実情を理解し、地域社会との調和を図る努力が求められます。自己実現と地域貢献のバランスを取ることが、移住者の定着にとって重要な鍵となるでしょう。

地方自治体と移住者が、互いの立場を尊重し、協力関係を構築していくことが、地域農業の発展と移住者の定着にとって不可欠だと言えます。両者の建設的な対話が期待されます。

まあ、日本の農業は助成金頼りのところがほとんどで、助成金なしには立ちゆかないように思います。

その通りですね。日本の農業は、長年にわたって政府の手厚い保護と支援に依存してきました。この構造は、日本農業の抱える大きな課題の一つだと言えます。

  1. 高コスト構造:日本の農業は、小規模農家が多く、生産コストが高くなる構造を持っています。このコスト高を補うために、助成金に頼らざるを得ない状況が続いているのです。

  2. 価格支持政策:政府は、米を始めとする主要農産物の価格を支持するために、多額の予算を投じてきました。この価格支持政策は、農家の経営を助成金に依存させる結果をもたらしました。

  3. 競争力の欠如:助成金に頼る農業構造は、国際競争力を弱める要因となっています。グローバル化が進む中で、日本農業の競争力強化は喫緊の課題となっているのです。

  4. 農家の経営意識:助成金に頼る構造は、農家の経営意識を弱める可能性があります。自立的な経営を目指すインセンティブが働きにくくなるのです。

  5. 財政負担:農業への助成金は、国や地方自治体の財政に大きな負担となっています。少子高齢化が進む中で、この財政負担の持続可能性には疑問符が付くようになっています。

この状況を打開するためには、日本農業の構造改革が不可欠だと考えられます。助成金に頼らない自立的な農業経営を目指す取り組みが求められるでしょう。

例えば、農地の集約化や大規模化を進め、生産コストを引き下げることが重要です。また、高付加価値農業への転換や、6次産業化の推進なども、農家の収益性を高める上で有効な戦略だと考えられます。

同時に、農家の経営意識の改革も重要な課題です。助成金に頼るのではなく、自立的な経営を目指す意識を醸成することが求められます。そのためには、農家教育や経営支援の充実が不可欠でしょう。

政府の役割も、助成金の提供から、農業の構造改革を促進する施策にシフトしていく必要があります。農地の集約化や、新規就農者の支援、研究開発の推進など、自立的な農業経営を支える環境整備が期待されます。

日本農業が助成金依存から脱却し、自立的な産業として発展していくためには、関係者全体の意識改革と構造改革に向けた取り組みが不可欠だと言えるでしょう。

個人経営の農家は、助成金なしでは経営自体が困難で、今更血を流すような改革は求めないと思います。企業の参入が、今後の日本の農業を支えるものだと思いますが、これについても個人農家は好ましく思わないでしょう。

ご指摘の通り、個人経営の農家にとって、助成金なしでの経営は非常に厳しいものがあり、急激な改革を求めることは現実的ではないかもしれません。一方で、企業の農業参入は、日本農業の将来を左右する重要な鍵となる可能性がありますが、個人農家との関係性には課題があると言えます。

  1. 個人農家の経営基盤:多くの個人農家は、長年にわたって助成金に依存した経営を続けてきました。急激な改革は、その経営基盤を揺るがしかねません。段階的な移行が求められるでしょう。

  2. 企業参入の影響:企業の農業参入は、資本力や経営ノウハウを活かした効率的な農業経営を実現する可能性があります。しかし、それが個人農家の経営を圧迫する可能性も否定できません。

  3. 農地の確保:企業が農業に参入する際には、農地の確保が大きな課題となります。個人農家は、自らの農地を手放すことに抵抗を感じる場合が多いと考えられます。

  4. 地域社会との関係:個人農家は、長年にわたって地域社会の中で重要な役割を果たしてきました。企業の参入が、この地域社会とのつながりを弱める可能性があります。

  5. 農業の多様性:個人農家が営む小規模で多様な農業は、日本の食文化や景観の維持に重要な役割を果たしています。企業の参入が、この多様性を損なう可能性も懸念されます。

これらの課題を踏まえつつ、個人農家と企業の共存共栄を目指す取り組みが求められます。

例えば、企業と個人農家の連携を促進する施策が考えられます。企業が個人農家から農産物を調達したり、個人農家に技術支援を行ったりするなど、Win-Winの関係を構築することが重要でしょう。

また、個人農家の経営転換を支援する施策も重要です。6次産業化やブランド化など、付加価値の高い農業経営を目指す取り組みを支援することで、個人農家の自立性を高めることができるかもしれません。

さらに、農地の集約化や流動化を促進する施策も求められます。個人農家が安心して農地を手放せる環境を整備することが、企業参入を促進する上でも重要だと考えられます。

日本農業の将来像を描く上では、個人農家と企業の役割分担と協調関係の構築が不可欠だと言えます。両者の特性を活かしつつ、日本農業全体の発展を目指す長期的な視点が求められるでしょう。関係者の建設的な対話と、政策面での支援が期待されます。

企業が、個人農家から安定した買取を行うことは、個人農家の保護に対しては有効だと思いますが、それと引き換えに価格を抑えられたり、価格の変動に対して脆弱になります。

ただ単に資本主義的な農協になってしまいそうです。

その通りですね。企業による個人農家からの安定買取は、一見すると個人農家の保護につながるように見えますが、長期的には新たな課題を生み出す可能性があります。

  1. 価格の抑制:企業は、大量買取を行うことで、個人農家に対して価格を抑える圧力をかけることができます。これは、個人農家の収益性を圧迫する要因となり得ます。

  2. 価格変動リスク:企業との取引に依存することで、個人農家は市場の価格変動に対して脆弱になる可能性があります。企業の買取価格が下落した場合、個人農家は大きな打撃を受けることになります。

  3. 自立性の喪失:企業との取引に依存することで、個人農家の自立性が損なわれる可能性があります。長期的には、個人農家が自らの経営判断で生産・販売を行う力を失ってしまうかもしれません。

  4. 資本主義的な農協:ご指摘の通り、企業による買取が主流となることで、農協が本来の役割から乖離し、資本主義的な性格を強めてしまう恐れがあります。農家の利益よりも、企業の利益が優先されるようになるかもしれません。

  5. 農業の多様性の喪失:企業との取引が主流となることで、企業の求める品目や品質の農産物に生産が集中する可能性があります。これは、農業の多様性を損なう要因となり得ます。

これらの課題を踏まえると、個人農家と企業の関係性については、慎重な検討が必要だと言えます。短期的な保護だけでなく、長期的な農家の自立性と農業の多様性をどう確保するかが重要な視点となります。

例えば、企業との取引条件については、農家の利益を適切に保護するルールづくりが求められます。価格決定のプロセスの透明性を確保したり、最低保証価格を設定したりするなどの工夫が考えられるでしょう。

また、農家の自立性を高めるための支援策も重要です。企業との取引以外の販路開拓を支援したり、加工・販売への参入を促進したりすることで、農家の経営基盤を強化することが期待されます。

さらに、農協の在り方についても見直しが必要かもしれません。企業との取引を仲介するだけでなく、農家の自立支援や、多様な農業の維持といった役割を果たすことが求められるでしょう。

個人農家と企業の関係性については、短期的な利害だけでなく、日本農業の長期的な発展という視点から、多角的な検討が必要だと言えます。関係者の知恵を結集し、新しい農業のモデルを構築していくことが期待されます。

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