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<改訂版>ベテルギウスの爆発と変光星 人間のための宇宙教室

※昨夜投稿した記事に「6・なぜ騒がれたの」を追加しました。一度読んだ方もぜひお読みください。2020.3.5

かなり前に、ベテルギウスの記事を書かせていただきました。嬉しいことに非常に多くの人に見てもらい、コメントまでいただきました。ありがとうございます。あれから3ヶ月が経ちます。つい一週間前、ベテルギウスに関する新しい情報が入ってきました。

ベテルギウスに関する基礎知識は私の書いたnoteにもあるのでこれを参照していただけると助かります。

実は、ベテルギウスが増光に転じたようです。つまり、また元の明るさになりつつあるということです。今後は、なぜこのような減光が生じたのかを明らかにする必要がありそうです。私もその結果を楽しみにしています。

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しかし、今回の減光でメディアは「超新星爆発が起きるのでは」という不安を煽るような記事を多く書き立てていました。(あくまで個人の目線ですが)。この点は私も疑問に感じていました。

ベテルギウスが減光した。それが超新星爆発の前触れなのか。

と。しかし、調べたり、Twitterで天文学者の方に尋ねさせていただいたりすると(非常に失礼ですが)、この考えは誤りであることがわかりました。


ベテルギウスは変光星なのです!

変光星ってなんでしょうか。今日は変光星を解説していきます。

1.変光星とは  

変光星とは、読んで字の如く「光(明るさ)が変わる星」です。時間とともに明るさを変えていきます。最も有名な変光星は、くじら座のミラでしょうか。Googleの画像検索で「ミラ 変光星」と調べていただくと、出てきます(公式機関のサイトに写真がありませんでした。)

2.ミラはいつどうやって発見されたのか?

16世期の終わりにドイツの天文学者ファブリチウスが発見しました。昔、恒星は明るさを変えないものだという認識が強かった。しかし、彼は8月に見えていた星がだんだん暗くなり、10月には全く見えなくなっていたことに気がついたと言われています。ちなみに、ミラとはラテン語で「驚き」を意味します。名前にするぐらいだから、さぞかし驚いたでしょうね。

3.変光星はどのくらい見つかってるのか?

名前がある変光星だけでも3万個も存在します。なんと奥深いこと。日本変光星研究会という団体が存在するのも納得できます。

4.変光星の種類は?

地球から見たときに明るさが変化する原因によって分けられます。主に、星自身の明るさが変わるもの星の自転や公転で明るさが変わったように見えるものがあります。今回は、主に2種類をざっと説明しておきます。その次にベテルギウスの話に移りますね。

①脈動変光星

 星自体が膨らんだり、縮んだりすることで明るさを変える。

②回転変光星

 恒星の表面が歪んでしまったり、明るさにむらがあったりする。このような星が
 自転すると見え方が変化して明るさが変わったように見える。

5.ベテルギウスはどんな変光星?

ベテルギウスは、脈動変光星のうち半規則型変光星に分類されます。およそ400日程度で増光と減光を繰り返します。半規則性変光星はどのくらいで明るさが変わるのかといったこと、その周期がその都度変わることがあるようです。

そう言えば、私はネットニュースでベテルギウスの減光前と後を比較した写真をみました。中には驚いている人もいましたが、よくよく考えてみれば半規則型変光星のベテルギウスにとっては当たり前なのです。

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6.なぜ騒がれたのか?

世界中で天文学者の方々が毎日ベテルギウスの観測を続けているわけですが、今回の減光は特に顕著な現象だったと考えられます。

以下のグラフを見てみてください。
2019年1年間のベテルギウスの明るさ推移を表したグラフです(出典先は最後にあります)。

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2019年10月下旬ごろから減光し始めていることがわかります。

では次のグラフです。これは、過去10年間のベテルギウスの明るさ推移です。一番左が2010年1月30日、そして一番右が2020年1月18日です。
グラフ中青字の表記は他の恒星との比較、赤字は上から順に過去最高、平均、過去最低、現在それぞれの明るさを示しています。

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この2つのグラフを見ていただければ、いかに今回の減光が異常だったかがわかると思います。天文学者の方々の気持ちがざわつくのは、よくわかります。

(「6.なぜ騒がれたのか」は、後から追加したものです。アドバイスをいただいたクリエーターの方ありがとうございます。)

ベテルギウスは何年も前から指摘されている通りにいつかは超新星爆発を起こす。しかし、「減光していること」と「超新星爆発」は直接的な関係がない。なぜなら、変光星だから。ただ、2019年10月から2020年2月の減光に関しては、ここ10年の間で最も暗くなった時期であった。それゆえに天文学者の方や多くの人が非常に驚いた。

ということなのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

(人間のための宇宙教室#3)

<出典・参考>
小学館の図鑑 NEO 「宇宙」

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