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なぜ人は何度も「糸井重里のバス釣りNo1」をプレイしてしまうのか

この世の中には2つの釣りゲームが存在する。「糸井重里のバス釣りNo1」と「それ以外」だ。何度プレイしても飽きない魅力をここに記載し、これを見てくれている30-40代の方々と過去の名作を振り返られたらと思う。

なおここでは決定版の話は除く。N64で発売された決定版も名作ではあるが、スーパーファミコンのNo1があまりに神作すぎて全ての釣りゲームを霞ませてしまっているからだ。
制作側もかなりの覚悟を持って開発に臨んだのだろうが、悲しいかな、やはりSFC版のNo1を越えることが出来なかった。(個人的な感想です。)

システム

このゲームはとにかくリアル志向で作られている。人生と同様、明示的にこれをやればEDにたどり着ける!のような明確なゴールは定められていない。

しかしながらそのままでは巷に溢れる「ボスを倒す」ゲームに慣れているちびっ子諸君をバス釣りの深い沼に引きずりこむことは出来ないと判断したのだろう。一応、大会を全て制覇すれば(正確には大会で勝利することで得られるFS=Fish Stampを集め続ける)EDを見れることにはなる。

だが、別に大会は制覇しなくても良い。このゲームにはゲームオーバーは無いのだ。強いていうならプレイヤーが釣りに興味を持たなくなった時がゲームオーバーである。幸い、まだ私もゲームオーバーにならずに済んでいる。

また、リアル志向だとは言ったが、流石にタックルを買うのに仕事をするわけでは無い。魚を釣るとお金がもらえる仕組みになっている。釣具店に行くと陽気な顔の糸井重里氏が出迎えてくれる。高価なタックルを見せびらかしながら。
新しいタックルを買うためにひたすらバスを釣り上げて貯金をしている姿はまるでスライムを倒し続ける主人公のようだ。だがそれが良い。しかしさすがはリアル志向のゲーム。一般的なスライムとは異なり、同じところで釣り続けると、スレてしまって魚が釣れなくなる。そのため広大なフィールドをテクテクテクテクしながら次の獲物を探す事になる。

賢明な読者諸君はすでに気づいていると思うが、さながら休日午前中の河口湖ロイヤルワンドでのオカッパリを思い出させてくれるようなムーブが要求されるのだ。ハイプレッシャー中のハイプレッシャーがそこにある。

そうやって苦労してお金を貯めて買ったルアーも1回の根掛かりでロストすることもある。河口湖の話では無い。バス釣りNo1の世界の話だ。
悔しさに唇を噛み締めながらショップに行くと再び糸井重里氏が陽気な顔で出迎えてくれる。この笑顔で自らの怒りボルテージがさがる時とあがる時がある。ここまで精神力も鍛えられるゲームは私の記憶ではそう多くはない。(糸井重里さん大好きです。)

そうしてフィールドを歩き続けたプレイヤーは知らないうちに左親指の付け根が痛くなっていることに気づくだろう。このゲームの徒歩速度は「リアル志向」のため、非常に遅い。そのためコントローラの十字キーをずっと押しっぱなしにして移動しなければならない。最初歩いた時、「ダッシュボタンはどれだ?」と思ったものだ。これが最高速度である。絶望極まる。
と、思わせといて、そこは流石のリアル志向。ある条件を満たすと自転車が入手でき、移動速度が2-3倍に跳ね上がる。

では、ここで記載している条件とは何か?勘が良い方ならお気づきだろう。大会で優勝する... ではないのだ。

なんとゴミ拾いである。

歩行の苦痛を解消するために、広大なフィールドをさらに縦横無尽に歩き倒しゴミを拾って行かなければならない。しかもゴミ拾いの後で確定でもらえるのではなく、神経衰弱のようなミニゲームをクリアしないといけない。

そうやって数々の労働とストレスの後に手に入れた自転車での移動はなんとも言えない爽快感に包まれる。

ここまでで、糸井重里氏は我々に何を伝えたかったのか。
そう、ゴミを捨てることの愚かさ、ゴミ拾いの大切さである。
釣りは魚との勝負ではなく、自然との対話なのだ。ゲームの中ですら決して甘えは許さない。

根掛かりで多くのルアーを湖の中に残してきた私は贖罪のごとくゴミを拾い続けたものだ。。。

ここまでで、このゲームがリアル志向であることは十分に伝わったと思う。バス釣りの話に戻ろう。実際のバス釣りはそう簡単にボッコンボッコン釣れたりしない。釣れないのだ。朝4時にバス釣りに出かけて、何も釣れずにルアーだけ無くして帰ってくる。それが普通なのだ。(諸説あり)
このゲームもいくらリアル志向であるとは言え、そこはゲーム、プレイヤーの満足度を高めるためにある程度魚が釣れるようになっている。

少し引きが弱いなー、子バスかな?っと思って引き上げてみるとそこにはブルーギルの姿を拝める。

お、今度はなかなかの引きだ、エラ洗いも無く無事に釣り上げられたぜ、と思うとニジマスなのである。

安心してほしい。どちらも釣ればお金はもらえる。リアル志向のバス釣りゲーのため容易にバスを釣らせるわけには行かないのだ。

このような辛酸を嘗め続け、飲み続け、ようやくかかった大物バスでも弱いタックルだと「2秒で糸を切られる」。
リアル志向のゲームなのでどんなに弱いタックルでも大物バスは関係なく食いちぎってくるのだ。
プレイしたことある人は一度は経験しているだろう、「ぷるん」(アワセ)「ピンッ」 (糸テンションマックス真っ赤振り切れ)ドゥンドコドコドコドゥンドコドコ ... ピロリ 「糸が切れました」
ここでプレイヤーは切れてはいけない。自然との対話なのだ。

ここまで記載しておいてなんだが、私の文章力では魅力を十分に伝えきれていない。魅力を伝える前に再びやりたくなってきている。
本当に面白いゲームだからぜひやってほしい。20年前のゲームと侮るなかれ、リアル志向の本格的バス釣りが楽しめるであろう。

どうやってプレイすればよいかって?近くの中古ゲーム屋さんにGOだ!!!(ミニスーパーファミコンには惜しくも抽選漏れしてしまった)

グラフィック

良い。リアルな感じ。フィールドはちょっと雑だがキャスト画面になるとそれなりのグラフィックに。

タックルも丁寧に描かれている。
ポッパーのグラが一番気に入っている。ラバージグもリアル。ぶっちゃけ水中で動いているラバージグなんて見たことないからあのグラフィックが実際に正しいかどうかは不明。
だがラバージグを投げるとき、「イメージするのは常に最強のザリガニ」。

ファイト中のバスの動きもリアルな描写。まぁ水中で動いているバスなんて見たことないが。陸の上で見たバスですら数えるほどしか見てないぞ。
明らかにバスのグラフィックなのに釣り上げた時にブルーギルだったりニジマスだったりすることもあるのはいかがなものか。
まぁブルーギルが全力で動きまくってるグラを出されてもリセットボタン以外の選択肢がなくなるだけだからこの仕様で問題ない。

糸井重里氏の顔グラもよい。あとBAC(バスアングラークラブ、スタート時に強制加入させられる)の受付のお姉ちゃんもよい。元ネタは誰なんだ。
ミスターマリックの顔も出ているけど、本人に許可はとっているのだろうか。。。誰か知っていたら教えてくれ、そこんとこ4649

音楽

システム面では多少不満を記載してしまったが、音楽については批判する部分が一ミリたりとも存在しない。どの音楽もバス釣りの本質を外れることなくそれでいてしつこくなく、まったりとしていて、、、
特にOPのこれからの釣りに対してのワクワク感が現れる曲が好き。
youtubeで検索するとプレイリストが見つかるのでぜひ聞いてみてほしい。

効果音も良い。バス(+ 外道の仲間たち)のあたりの音「ぷるんっ」ってのが頭から離れない。いまだにあの効果音聞くと右手が即座に反応する。パブロフの犬である。

先進性

サテラビュー(衛星通信)で全国の人とオンラインでバス釣り大会ができた。SFCで。何を言っているのかわからねーと思うが...
とにかく時代を先取りしすぎた。リアルタイム時には参加できなかったので実際に参加した人いたら感想を教えてほしい。

攻略

ここまでリアル志向を伝えておいたが、やはり攻略というものは存在してしまう。今からプレイする皆様にとってはネタバレになってしまうのでここまでお戻りください。

バズベイトを使えばほぼ釣れる。大会もこれ一本で優勝可能。

現場からは以上です。赤星湖からお送りしました。

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