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【旧約聖書:11】出エジプト記⑦

神は、モーセに伝えた。
「ファラオに伝えよ。
 『私の民を去らせなければ、今度は、エジプトの民全員に、
  全ての災害を送る。
  私のような存在が他にはいないことをあなたが知るためである。
  今この時点でも、私が手を伸ばすなら、
  あなた自身をこの世から消し去ることすらできる。
  しかし、それをしないのは、私の力をあなたに示すため。
  そうして、私の名を全土に知らしめるためである。
  あなたは、今だなお、自分の存在に驕り高ぶり、民を去らせようとはし ない。
 見よ。明日の今ごろ、建国以来のかつてないほどの非常に激しい雹(ヒョウ)が天から降ってくるであろう。
 さぁ、今使いを送り、家畜を避難させよ、さもなくば雹に打たれて
 そのものは死ぬであろう。』と。」

それを聞いたファラオの家臣の者は、しもべや家畜を避難させた。
しかし、それを聞き入れなかった者は、野に彼らを残しておいた。
神はモーセに言った。
「お前の手を天に向けて伸ばせ。
 そうすれば、エジプト全土にわたって、全ての野の上に雹が降る。」
モーセは、杖を天に向けて伸ばした。
すると、突然、耳をつんざくほどの雷鳴が轟き、雹が降りはじめた。
こうして、雹は降りしきり、雷が闇を切り裂いた。
ただ、イスラエルの地・ゴシェンを除いては。

ファラオはとうとう心を変え、二人を呼び寄せた。
「今度は私が間違っていた。
 神が正しく、私と私の民が悪かったのである。
 神に祈ってほしい。
 もう雷と雹はもう必要ない。 
 私は、お前たちを去らせよう。
 おまえたちはもうとどまってはならない。」

モーセは彼に言った。
「私が町を出たら、すぐに神に祈りをささげましょう。
 やがて、雷も雹も止むでしょう。
 しかし、あなたがたはまだ、わが神を恐れていないことを私は良く知っています。」

そして、モーセが王の下を去った途端、雷も雹も止んだ。
そしてまた、彼の言葉通り、ファラオはなおもモーセ達の求めに応じなかった。

神は言った。
「ファラオのところへ行け。
 私が彼の心を硬くしたのである。
 それは、私の力、印をお前たちの息子や孫に語って聞かせるためである。
 こうしてお前たちは私が神であることを知るだろう。」

モーセとアロンは王の前に立ち、言った。
「神は言われました。
 『いつまで拒みつづけようとするのか。
  民を去らせないなら、明日、いなごをあなたの領土に送る。
  いなごによって地の表面は覆いつくされ、全てが見えなくなるであろう。それは、この地に残る全てのものを食い尽くし、全エジプトの家を覆う。これは歴史上かつてないほどである。』と。」

これを聞いてファラオの家臣たちは、このままではエジプトは滅んでしまう…
と危ぶみ、王の説得に努めた。
そして、王はようやくエルサレムの民の解放を了承し、こう告げた。
「さぁ、行け。
 そして、お前たちの神に仕えよ。
 だが、全ての者を行かせてはならない。
 壮年の男子のみが行くことができる。
 それ以外の者は許しはしない。」

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