【旧約聖書:14】ダヴィデとゴリアテ②
そのころ、民たちは口々にこう歌った。
「サウルは千を討ち、ダヴィデは万を討った…」と。
それを聞いて、サウルは激しく怒り、ダヴィデを殺そうとした。
彼の下に神が宿っているのを見て恐れたからである。
サウルはダヴィデを怖れながら彼を支配しようと、彼の娘ミカルをダヴィデに与えた。
その後、サウルは何度もダヴィデを殺すべく人を遣わした。
しかし、そのたびに、ダヴィデを愛するサウル王の息子ヨナタンが
彼を弁護した。
その後も、サウルとダヴィデの攻防は続いた、
ある時、ダヴィデは洞穴に隠れていた、そこにサウルの軍が追ってきた。
そこで、こっそりダヴィデはサウルの上着の裾を切り取った。
そして、ダヴィデは部下に告げた。
「サウルを襲ってはならない。
彼は神によって油を注がれたものである。
その彼を殺すことは断じてあってはならないことだ。」
サウルが洞穴から出ていくときに、ダヴィデはこう彼に呼びかけた。
「王よ、なぜあなたはダヴィデが王を殺そうとしているというデマに、
耳を傾けるのでしょう。
王よ、この上着の切れ端をご覧ください。
私はあなたを殺すこともできたのにしなかった。
あなたは罪を犯していない私の命を奪い取ろうとしているのです。
どうか神があなたに正しい裁きをするようあなたを導いて下さいますように。」
これを聞いてサウルは激しく泣いた。
「お前は正しい者だ。
なのに、私はひどい仕打ちをした。
自分にとっての敵を見つけながら、お前はその者に害を与えることなく
立ち去らせることを許したのだ。
おまえは必ず王となり、お前の手によってイスラエル王国は打ち立てられるだろう。
それを今、私は知った。
私に誓ってほしい。
私の子孫たちを、私の名をこの世から消し去らないことを。」
しかし、その言葉を翻し、その後もサウルはダヴィデを執拗に追った。
その戦いは長く続き、そのうちにサウルもヨナタンも戦に倒れた。
その後、ダヴィデは30歳でイスラエルの王となり、40年間王位にあった。
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