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【旧約聖書:10】エジプトのヨセフ⑤
ヨセフは、家で彼らを迎え、水を与え、ロバに餌を与えた。
そして、彼らの父について尋ねた。
彼は、元気なのか?生きているのか?と。
そして、弟ベンヤミンの顔を見ると、胸が熱くなって涙が込み上げてきた。
そして、家臣にこっそりこう告げた。
「彼らの袋の中に、穀物をめいいっぱい入れておけ。
そして、一番年下の者の袋には、私の銀の杯を穀物の代金とともに、
入れておくのだ。」
明け方、一行たちは、父ヤコブの元へと向かった。
ヨセフは、彼らのあとを家臣に追わせ、主君の杯を奪った罪を着せて、
彼らを再び呼び戻した。
そして、「善に対し、悪で報いるとは何事だ。」と言い放ち、
奪った者をわが奴隷とする、と断言した。
すると、兄弟たちは、
「私の父は一人の弟をすでに失くしています。
その上、末の弟まで失くしたら、わが父は悲しみはいかばかり、
死が訪れるでしょう。
どうかお願いです、あの子を私たちと一緒に帰らせてください。
父と私たちのために…」と懇願した。
それを聞いてヨセフはもう自分を抑えられなくなった。
そして、声をあげて泣き、自分の身分を明かした。
「どうか私を見てください。
私は、あなたがたが売った弟ヨセフです。
神は、あなたがたを私のもとへ寄こしました。
それは、あなたがたを生き延びさせるためです。
父に伝えてください、私のことを。
そして、ここに父を連れてきてください。」
そこで兄弟たちは、父ヤコブの下に駆け付けるなりこう告げた。
「ヨセフはまだ生きています。
エジプト全土を支配しているのは彼なのです…」
それを聞いて、ヤコブは茫然となった、
すでに亡くなっていると思っていたわが子が生きており、
さらにエジプト全土を支配する立場になっていようとは思わなかったからである。
父と息子ヨセフはエジプト・ゴシェンの地で再会した。
ヨセフは、父ヤコブの首に抱きつき、すがって泣き続けた。
ヤコブはヨセフに言った。
「もう私は今死んでもいい。
おまえの顔を見られたのだから。」
そうして、ヤコブは家族や家畜を引き連れて、ゴシェンへ移り住んだ。
ヤコブは、ヨセフの息子マナセとエフライムを引き寄せると、
彼らを祝福をした。
そして、息絶えた。
その後、ヨセフとその一族はエジプトに住み、
彼もその命の終わりを迎えた。
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