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【旧約聖書:12】十戒③

そのころ、民たちはモーセが一向に姿を現さないことに
不安になり、アロンにこう言った。
「あぁ、神々をわたしたちのために造ってほしい。
 あの導き手であるモーセの行方が全く分からないから。」

そこで、アロンは言った。
「あなたたちが所有する全ての金の耳輪を外して、
 私のところへ持ってきなさい。」
人々はそれに従った。

アロンは、それらを受け取ると、鋳型で金の子牛の像を造った。
「見よ、これがあなたたちの神だ。」
そして、その前に祭壇を築いた。
「明日は、神への祭りである。」
翌日、人々は生贄を捧げ、飲んだり食べたりした。

その様子を見ていた神は、モーセに告げた。
「さぁ、下りていき、おまえの堕落した民を見よ。
 早くも、私の命から背いて偶像を造り、拝むとは。
 私は怒りで燃え上がっている。
 私にまかせよ。
 彼らを滅ぼすために。」

それに対して、モーセは神に嘆願した。
「どうか全ての御力を込めて、エジプトから救いだした民のことを思い出してください。
 悪意をもって彼らをわざわざ連れ出したのでしょうか。
 どうか、燃える怒りをおさめ、民へのお気持ちを思い直してください。」

神はその言葉に思いとどまり、気持ちを収めた。
モーセは、契約の板を携え山を下りた。
その板は神の筆跡が刻み込まれていた。

しかし、モーセたちは、山をおりて宿営に近づくなり、
その騒ぎの様子を見て怒りに駆られた。
人々は酒に酔い、踊り、惚けていたからである。
そして、携えていた板を投げ捨て、砕いた。

モーセはみなに告げた。
「誰でも神につく者は私のところへ来なさい。」
すると、レビ族がみな彼のところへあつまった。

彼は言った。
「神はこう言う。
 剣を持ち、宿営の中をめぐって、各自、おのれの兄弟、友、隣人を殺せ。」
レビ族(古代イスラエルの族長ヤコブの子レビを祖とする、古代ユダヤ教の祭司の一族)はその通りに行った。
その日、民のうち約3000人が倒れた。

モーセは言った。
「あなたたちはその兄弟、子に逆らっても神に身をささげたのである。
 それを神は祝福してくださろう。」


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