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売買交渉 その2

 いよいよ、売買条件がまとまってきたら、最後のつめです。

 不動産は、買う時も、売る時も、契約書が全て、です。

 なるほど、家を買う時は、大きなお金を払うし、買った家にもしも何か問題があっても責任とってもらえるよう契約書がしっかりしておくのはわかるけど、家を売る時は、お金をもらってさえしまえば、もうその家にはかかわらないので、何も心配ないじゃないか、と思うかもしれません。

 でも、違うんです。

 契約次第で、契約した後、家を引き渡すまでに、やるべき責任を負うこと

 そして、家を売った後でも、責任だけずっと残っちゃうことがあるんです。

 家を売る時によくある、そして、大きな契約書の落とし穴は、大きく以下の2点です。

1 「現況融資」(げんきょうゆうし)での引渡し契約になっていない 
2 「契約不適合責任」(けいやくふてきごうせきにん)を負わない契約になっていない

 これらを契約書ではっきりしておかないと、もしくは、自分の不利な条件になっていると、予想外の負担を負うハメになります。

 つまり、大損をする可能性があります。

 では、1「現況融資」での引渡しになっていないとどうなるか。

 契約した後、家の引渡し日までに、いろいろ余計なお金の出費が発生することになったりします。

 たとえば、土地の面積がはっきりしていないから、専門家に測ってもらってはっきりさせるための費用(測量費用)、お隣との土地の境がはっきりしていない場合は、境をはっきりさせるための費用(境界確定)、更に、はっきりさせてみたら、こちらの建物がお隣の土地にはみ出していた(越境)とか、逆にはみ出されていた(非越境)があってその解決のための費用(越境・非越境の解消)、家の中の荷物をかたづける費用(動産撤去費用)、家が設備が壊れているのを直す費用(修繕費用)などです。

 しかも、基本的には、家の引き渡しを約束した日までにやる約束になっているので、その日までに終わらないと、契約違反となって、違約金という余計お金も請求されることにもなりかねません。

 なので、売る側としては、「現況有姿」、=今あるこのままの状態、そのままで売ります、現在何か問題が発生していても、売り手はその責任を負いません。

 そして、買い手は、現在の状態そのままで買います、現在の状態について、売り手に何かの責任は問いません、ということを約束し契約書にはっきりと書いておくことが大事です。

 次に、2「契約不適合責任」を負わない契約になっていない、とどうなるか。

 たとえば、これは、家を家を売って何年か後に、買い手から、修繕請求や、損賠賠償請求をされるキケンがあるんです。

 家を売って、はい、おしまい、ではなくなっちゃうんです。

 家を売って何年もして、そんな請求が来たら困りますよね?

 いつまで経っても、夜もオチオチ寝られません。

 そんなのイヤですよね、

 でも、契約書にそう書いてあったら逃げられないんです。
だから、契約書って本当に怖いんです。

 なので、売る側としては、このとおり、「契約不適合責任は負わない」という契約にするだけです。

 もちろん、これらは、買い手側が承諾しないと契約は成立しませんが、家を売る時の条件として、もう最初に言っておけばいいんです。

 この2点を盛り込んだ契約は、全然、普通です。

 後からだと、買い手から安くするための交渉の材料にされたりしますので最初に言っておくべきなんです。

 そして、これを受け入れてもらえないような買い手なら、他の買い手を探した方がいいです、ほんとです。

 それと、この売買契約書は、いつ確認するかというと、当然に必ず、契約の前に確認することです。

 悪質な業者とかになると、売買契約当日に初めて契約書を見せて、質問する時間も雰囲気も与えられないまま、買い手もそろって、今さら、断れず、まあ、なんとか大丈夫か、なんて軽々に判断して、後から、大変な目に合うことだってあります。

 売買金額の数字はもちろんのこと、自分がその金額で売ることを納得するための条件がモレなくちゃんと契約書に書かれているか、逆に、自分が聞いていない不利な条件が入っていないか、自分が納得した金額で売るために、そして、売った後から、想定外の責任を負わないために、契約書の事前確認は必須です。

 最後にもう一度、みなさんが個人で自分の家を売る時に、契約書はやっぱり大事

 「現況融資」での売買にすること、そして、「契約不適合責任」を負わない契約にすること、そして、なるべく早めにその内容を確認して、契約当日に備えましょう。

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