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『ハサミ男』『アルテミス』読んだよ

ここのところなんとなく「小説読みたーーーい」なバイオリズムだったものでエンタメ小説の世界に入り浸ってました。真面目な社会問題の本とか学び関係の固い本ばっかり読んでた反動かもしれません。面白すぎて日々読みふけっていたら、気がついた時にはnote更新がご無沙汰になっちゃってました。

小説にはつくづく魔力があるなと感じます。
会話文が主体だからとにかく読みやすいですし(もちろん世の小説の中には難解なものもありますが)、先が気になるから「次はどうなるんだ」と手が止まらなくなりますし、だいいち小説をあんまりゆっくり読むと「今主人公何してるところだったっけ」とか「こいつ誰だっけ」と人物とか展開を忘れやすくなってしまって十分に楽しみにくい。
それゆえ小説は読み始めるとほんと集中的に没頭しちゃうんですよね。
おかげで江草のTODOリストは火の車と化しましたが、それはさておき、いやー、楽しかった。

で、せっかくなので最近読んでた二作の読後感でも軽く記しておきます。

殊能将之『ハサミ男』

1つ目はミステリー小説『ハサミ男』。


先日Pouhonさんが「読ませたい」とご紹介されていたので、つい読んでしまいました。Kindle Unlimited対象なのがうれしい。


けっこう昔の作品ですが、映画化もされたヒット作。江草も名前は聞いていたものの読んだことはありませんでした。

主人公はこれまでにも2人少女を殺してる連続殺人犯「ハサミ男」。
3人目の標的として選んだ少女を殺す機会をうかがっていたところ、なんと「ハサミ男」と同じ手口で先にその少女が殺されてしまう。先を越された殺人現場で困惑する「ハサミ男」。
ここから結局自分が手を下してない「ハサミ男」事件の真相を追う羽目になる「ハサミ男」の姿と、事件を捜査する警察グループの二軸を描きながらストーリーが展開していきます。

ミステリー小説だけあってとりあえず血なまぐさいですが、設定がまず面白い。引き込み力があります。

実を言うと、真相のぼんやりとした輪郭自体は早々に江草は勘づいてしまったのですが、それでも巧妙に張り巡らされた伏線の数々や予想がつかない展開は、読んでて十二分に唸らされるものでした。

こんな複雑な話をきっちりまとめあげるなんて、小説家ってどんな頭してるんだろうとつくづく思わされます。
小説家ヤバい。

江草も読んだ後に知ったのですが、これだけの才能を持った作者の殊能将之さんは残念ながら早世されてしまったそう。
大変惜しまれます。


アンディ・ウィアー『アルテミス』

二作品目はアンディ・ウィアーによるSF小説『アルテミス』。

アンディ・ウィアーは『火星の人』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』などのベストセラーを出されている人気SF作家さん。江草も両作とも大好きです。

以前『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読み終えた後、その感激の勢いで同作者の『アルテミス』も買っていたのですが、たまたま小説バイオリズムからはずれてしまったのかそのまま積読状態で放置してしまっていました。

今回ようやく小説バイオリズム周期がまたやってきたので、満を持して拝読したというわけです。

『アルテミス』は月面都市が舞台。「運び屋」の主人公が大事件に巻き込まれて大変な目に合うのですが、持ち前の頭脳と科学知識と技術力を駆使し、友人など仲間の協力も得ながらピンチを乗り越える作品です。月面都市を巡る陰謀が渦巻く感じはいくぶんサスペンステイストがありますが、基本的には冒険ひしめくSF活劇という感じです。

『火星の人』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が宇宙で孤立した人物が主人公の孤軍奮闘型のストーリーだったのに対し、『アルテミス』は小規模とは言え月面都市というコミュニティの内部の話なので、周りに人がたくさんいる状態でのストーリー展開というのが大きな違いですね。

いくぶん主人公のノリが軽い感じ(アメリカン・ジョークを隙あらばぶっ放してる感じ)なのが好き嫌いが分かれるかもしれませんが、江草的には普通に楽しめました。

月面都市ということで各キャラの出自が様々でとにかく国際色豊か。主人公はサウジアラビア人だし、都市はケニア人が統治してるし、アメリカ人やウクライナ人、ノルウェー人の仲間も出てくる(残念ながら我らが日本人は出てこない)。
その上で、それぞれキャラが立ちまくっている個性的な仲間たち。
そんなみんなが集って困難に立ち向かうクライマックスは、もう胸があっつあっつの大興奮ものでした。これこれ、こういうのが読みたかった。

そして、科学のノウハウで様々な困難をDIY的に突破していく光景は、いつものアンディ・ウィアーらしいとことで、相変わらずの斬新なアイディアや博識さに感心します。
その上で、ストーリー展開もハラハラドキドキ、一難去ってまた一難、うまくいくかと思ったら案の定トラブル発生と、読み手を全然飽きさせないジェットコースター的プロットを見事に構築しています。
ほんっと小説家の頭ってどうなってるんですかね。



……というわけで、ここのところ、こんな風に小説を堪能しておったのでした。
大変に楽しんだので、そろそろ、小説シーズンは抜けて書き物とか頑張ろうかなっと。

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