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夏の日(その4)



初めてお読みになる方はその1からお読みください。




唇を離したあとで、Mは言った。

 「でもわたし、今はつき合っている人いてるから、センセイの気持ちに応えられへん。」


 「それははじめからわかってる。でも、ホンマに好きやから……」



当時、私にも実はつき合っている恋人がいたが、あまりうまく行ってなかった。



傷つけ合うような付き合い方よりも、爽やかな片想いの方がいい・・・
私がそういう決心をしたとしても、決して不思議ではないだろう。



Mを早朝に下宿に送り届け、約3時間かけて私は当時の勤務先だった公立高校に直行し、9時30分からの職員会議に間に合った。



疲れからその日の会議であったことはほとんど覚えていない。(一睡もしてないから当たり前だ。)何が報告され、議論されていたのだろうか。
自分にとっての長いラブスト−リ−はこのときまさに始まったばかりであった。



その5へ続く

モノ書きになることを目指して40年・・・・ いつのまにか老人と呼ばれるようになってしまいました。