見出し画像

ニュースダイエット

 私は、産休に入ったタイミングから意図的にニュース番組やニュースサイトを見ないようにしている。なぜなら、私は共感性と想像力が高すぎるため、ニュース内容によってはうまく寝付けないような思いをすることも多いからである。ひどい事件が発生した際などは、被害者や被害者家族の心情はもとより、加害者の家族などの今後についても考えてしまい、むやみに思い悩んでしまうこともあったりした。ホルモンバランスの崩れやすい、産前産後においてこういったニュースから積極的に距離をとることは私の心身のバランスをとるためにも必要であった。

 実際、ニュース番組やニュースサイトを見なくなっても大きな問題は発生していない。コロナ禍もあって隣近所の人と話す機会もないので、雑談のネタを持つ必要がないというのも大きいだろう。しかし、雑談が時事ネタである必要もないのだから、趣味の話などで場をつなぐことができれば時事ネタを仕入れる必要はないのかもしれない。現状、夫や実家の家族、たまに会う友人などと話すときにも特段の不自由はしていない。地域に関する必要なニュースは地域の情報で手に入れられるし、SMSなどで受動的に入ってくるものもある。私にとってはそういったもので十分なのである。

 また、ニュース番組やニュースサイトを見なくなった分、時事ネタの考察や論考を行うようなYouTube番組はよく見るようになった。時事ネタとしては「ロザンの楽屋」、ニュース論考としてはテレビ東京のYouTube番組の報道特集などである。ロザンの楽屋では芸人のロザンのお二人が時事ネタに対してそれぞれの意見を語り合うといったもので、さまざまな視点が語られており、自分でも認識していなかった問題点が浮かぶこともある。また、YouTubeではコメント欄があるため、間違いや補足に対する指摘が乗っているということも大きい。テレビ東京のYouTubeチャンネルは取材記者本人や担当者が表立って調べたことを丁寧に解説する番組があり、一つのニュースを深く知りたいと感じる際にはとても参考になる。むろん、YouTubeもコメントも個人が自由に発信することができるものであるから真偽を自分自身で確かめることは大切である。しかし、必要な情報が意図的に隠されていたり、悪意的なタイトルで閲覧数を稼いだりするネット記事よりはよっぽどましなニュース源であると考えている。

 ニュースで全国さまざまに発生している事件の情報を知ることの大切さは認識している。しかし、ニュースで報じられる事件や事故は広い日本のどこかで起きたことであり、半径10キロ以内にはほとんど発生することではないのである。毎日ニュースに触れていると、いかにも日本は治安が悪く、日常生活にも不安を感じるような世界に思えてくる。それらのニュースを知り、自分でできる対策をとることは大切である。しかし、世界のどこかで事件が起きているからと言って、自分のすぐそばで四六時中そんなことが起きているわけではないのだ。自分にとって必要なニュースを取捨選択しつつ、ニュース一つ一つに丁寧に向き合うほうが新しい知見を得られるし、余計に心を疲弊させることがなくなるのである。

 私は今後、業種が営業にでも変わらない限りはこのままニュースダイエットを継続しようと思っている。毎日滝行のようなニュースに触れたところで、半年後にはそのニュースから得られたはずの知見もそのニュース自体も忘れられていることが多い。それならば、自分自身に入れる情報を最低限にして、その最低限のニュースを丁寧に調べたほうがよっぽど次の自分のためになる。情報があふれかえっている社会だからこそ、どこまで自分自身を摩耗させずに生活できるかを考えて過ごしていきたいと感じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?